常習犯もいる!? お笑いネタの「パクリ問題」、最大の被害者は松本人志?

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2019年04月17日 19:00  citrus

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写真:INSTARimages/アフロ

 

イベントで描いた絵が「他人の盗作(パクリ)」だとして銭湯絵師の勝海麻衣さんが炎上しています。Twitterの「パクツイ」疑惑も持ち上がり、騒ぎはまだ収まりそうにありません。

 

「パクリかどうか問題」は、お笑いの世界でもよく話題になります。

 

最近だとHEY!たくちゃんさんが「他のモノマネ芸人の数多くのネタをパクったのではないか?」と『水曜日のダウンタウン』で追求されて、最終的に「パクリました」と認めました。テレビの人気番組で本人自らパクリを認めるなんて! 前代未聞だとSNSで話題になりましたが、今回の勝海さんと比べると、大した炎上ではありませんでした。

 

 

■ 「パクる」のはダメだけど「カブる」のはお互い様?

 

そもそも、お笑いは「パクリかどうかの線引き」が非常に難しいジャンルです。お笑いのネタは、オリジナリティを求められる反面、突飛すぎるとお客さんに伝わりません。場面や仕組みを「想像できる」けど、ボケや展開は「予想できない」。そんな絶妙な切り口を、芸人は必死で探しています。

 

狭い所をみんなで狙っているわけですから、カブってしまうことはあり得ます。単にカブったのか、故意にパクったのか。判断するのは難しくなります。

 

 

■「パクればウケる」とは限らない

 

また「面白いネタをパクればウケる!」とも言い切れません。例えば他の芸人の面白いネタをパクって、そうとは知らないお客さんの前で披露したら、ある程度はウケるはずです。しかし、オリジナルを超えるのは簡単ではありません。

 

同じネタでも、その人の外見やキャラクター、声質や言い回しなどの個性で、ウケは大きく変わる。それらは総じて「ニン」と呼ばれます(私もよく作家さんから「そのネタはニンと合っていないよ」とダメ出しされています……泣)。

 

プロのネタ作家も、依頼主の芸人さんの「ニン」に合うネタを作ることが前提になります。M-1とTHE MANZAIの二冠を成し遂げたパンクブーブーの佐藤さんも、NSCの作家コースの授業で「どんな人にも対応できるようになったら、それがプロ(の作家)」と発言しています。ニンと合っているかは「ウケるネタ」の必須条件と言えるでしょう。安易なパクリはウケません。

 

 

■「ダメ、ゼッタイ」パクリはリスクが高すぎる

 

もちろん「ニンの近い人の芸を参考にする」というのはあると思います。しかし、近づきすぎるとそれこそ「パクリ」を疑われます。

 

「あれって、あの人のネタのパクリじゃない?」

 

芸人の世界は狭いので、映像に残らないライブ会場での「犯行」も、同業者にはすぐバレます。HEY!たくちゃんさんの件も「あの人の前では新ネタはやらない方がいいよ」と噂が回っていたそうです。そういう空気はお客さんにも伝わります。途端にウケなくなってしまう。ウケるとは限らないのに、すぐにバレてウケなくなる。パクリはリスクが高すぎるんです。

 

 

■「笑い」は縛れない。笑えなくなるから

 

HEY!たくちゃんさんがある意味「笑って済まされた」のはなぜか。バラエティ番組で、面白おかしく紹介されたのもあるでしょう。しかしそれ以上に「それが松本人志さんの番組だったから」が大きいと思います。

 

松本さんほど「パクられた」人はいません。漫才、コント、トーク。お笑いのあらゆるスタイルを開拓してきた先駆者です。例えば、お題に対するボケを書いて見せる「フリップ大喜利」は、松本さんがはじめたオリジナルの形です。しかし、いま若手芸人のライブでフリップ大喜利を見て「松っちゃんのパクリじゃん!」と糾弾する人はおそらくいません。

 

松本さんはこのような以降の芸人に与えた影響について「細かいことを言うと(盗作と思えるものも)あるよ。あるけれども、それは言わんなぁ」とコメントしています。

 


“笑い”は、縛れないよ。『これが、俺のんや、これが、誰のんや』とやりだしたら、どんどん笑えなくなるから一番あかん。(中略)揉めてることが面白くもなんともないもんね

 

パクリは「いろんな意味で笑えない」ということですね!(ドヤ顏)

 

ちなみに「ドヤ顏」も松本さんが広めたと言われています。すごすぎる……

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