三浦翔平の「もう2度とやりたくない」と「またやりたい」が交差する瞬間

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2019年04月24日 11:00  週刊女性PRIME

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三浦翔平 撮影/佐藤靖彦

 アメリカのコメディー俳優、スティーヴ・マーティンが書いた『ピカソとアインシュタイン〜星降る夜の奇跡〜』は、奇想天外なストレート・プレー。パリのバーで、もしも若き日のピカソとアインシュタインが出会っていたら? という発想のもとに繰り広げられるファンタジックなコメディーだ。この作品で三浦翔平さんが(岡本健一さんとWキャストで)挑戦するのは、若きピカソと未来からの訪問者という2役。一風変わったコメディーは、三浦さんの目にどう映ったのだろう。

せりふの面白さを稽古場で発見中!

最初に台本を読んだときはわけがわからなくて。どこが面白いのか、と頭を抱えました。なぜなら、文化の違いという部分が大きい。英語から日本語に訳すとヘンな感じで、説明されて初めて“あ、なるほど”と思うことが多くて。だから稽古をしながら演出家のランディ(ランダル・アーニー)さんとみんなで、どうしたら面白さが伝わるか話し合って、せりふを手直ししました。最初はわからなかったものが、いまは“これは面白い!”と思えるものになっています」

 日本公演を2度も手がけたアメリカの演出家、ランディさんの稽古場は「とにかく楽しい」そう。

まずは役者に“1回やってみて”と自由にやらせてから、調整を加えていく。ダメとは言わないで“最高、とてもいい。でも、こうしたらもっとよくなる”と、常に褒めてくれます。僕は褒められて伸びるタイプみたいです(笑)。

 ランディさんは俳優でもあるから、俳優の気持ちもよくおわかりなんですよ。“立ち稽古までに台本を全部頭に入れてこい”という演出家もいますが、ランディさんは“そんなの無理だよ”と。“最初は台本を持っていていいから、動きながら少しずつ固めていこう。俳優のやりやすいように作っていくのが僕の演出だ”と言ってくださるんです」

 三浦さんが演じるピカソ、未来からの訪問者の役はどんなキャラクター?

「このころのピカソは“青の時代”といって、暗く青い絵ばかりを描き、画家として模索している最中なんです。すごくフラストレーションがたまっていて、あともうちょっとで何かをつかめる、という時期。この時期のピカソ、人としての印象は最悪です(笑)。僕はあまり共感できません。ただ、女性たちを絵の活力にしたセンスは素晴らしい。

 対するアインシュタインも、相対性理論を見いだす、ちょっと前。だからこの作品中に天才それぞれが進化する、というところが見どころのひとつだと思います。未来からの訪問者は、やっぱり世界的に有名な大スターの若いころ。登場自体が壮大なギャグともいえる(笑)。衣装からして、まさに、という感じです(笑)」

大変そうと思いきや稽古は楽しさばかり

 主に映像の世界で活躍してきた三浦さんにとって、舞台は日本もののアクション『SAMURAI7』、劇団☆新感線『髑髏城の七人』に次ぐ3作目となる。

「会話劇のストレート・プレーは初めて。翻訳劇もコメディーも海外の演出家もWキャストも役変わりも、初めてづくしですべてが新鮮です。劇団☆新感線では体力的なしんどさがありましたが、今回は別の大変さですね。動きはそれほどないんですが、脳の運動量がすごいというか(笑)。

 ただ“翻訳劇って大変そうだな”という予想とは違って、いまは楽しいほうが勝っています。『髑髏城の七人』のときは稽古場が大変すぎて、本番が始まったらもっと大変で。“もう2度とやりたくない”と思ったんですが、終わったら“またやりたい”と思ったんですよ。だから今回、逆のパターンだったら、本番が進んで“もうやりたくない”ってなったらどうしよう、なんて考えています(笑)

 三浦さんが思う、舞台の魅力は?

「ランディさんも言っていたんですけど、やっぱり生モノなんです。“この90分が終わったら、同じ90分は2度とない。終わったら1度真っ白になって、次の1日にまた新しい『ピカソとアインシュタイン』をやる、その繰り返しなんだ。2度とこないその一瞬を楽しもう”って。それに尽きますね。やり直しがきかないのは怖いですよ。

 でも人間だし、間違えてしまうこともある。そこも含めてライブの面白さだと思っています。だってその間違えたところは、そのときに来ていたお客さんしか見られないものですよね? 俳優はなんとかフォローして巻き返そう、終わらせようと必死で努力をするから“それも含めてひとつの芝居だ”といえるんじゃないかな」

 実はいままでも「舞台をやりたい」と思い続けていたという三浦さん。今後も舞台姿を見せてくれそう。

「僕はこれまでほとんど映像でやってきたからこそ思うんですが、舞台は年に1本くらいはやりたいです。力がつきますから。舞台はごまかしがきかない。だから演劇人の人たちは土台が違うし“すごいな”といつも思わされます。

 蜷川幸雄さんの演出を受けられなかったのは悔やまれますね。やっと念願が叶ってストレートプレーもやれることになったので、これからもっとやらせていただきたいと思っているんです。今回はとにかくたくさんの初挑戦をしているので、本番ではまた新たな感覚を味わえるんじゃないかな。僕自身も楽しみにしています」

<作品情報>


『ピカソとアインシュタイン〜星降る夜の奇跡〜』


スティーヴ・マーティン作で’93年に初演されたファンタジック・コメディー。20世紀初頭のパリで、もしも若き日のピカソとアインシュタインが出会っていたら? という発想をハチャメチャな展開で描く。日本では’97年と’00年に上演されており、今回はそのときの岡本健一&川平慈英がピカソ役&アインシュタイン役に再挑戦するのに加え、三浦翔平&村井良大がWキャストで初参戦。それぞれ相手チームがピカソ&アインシュタインを演じる公演では、未来からの訪問者&発明家シュメンディマン役を演じる。


◆4月25日〜5月9日 よみうり大手町ホール


◆5月12日 大阪・森ノ宮ピロティホール


公式サイト(

http://hpot.jp/stage/picassoeinstein2019

<プロフィール>
みうら・しょうへい◎1988年6月3日、東京都生まれ。2007年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでフォトジェニック賞・理想の恋人賞を受賞。2008年に『ごくせん 第3シリーズ』で俳優デビューし、一躍人気者に。主な出演作にドラマ『ダメな私に恋してください』『好きな人がいること』『奪い愛、冬』『会社は学校じゃねぇんだよ』、映画『THE LAST MESSAGE 海猿』『カノジョは嘘を愛しすぎてる』『ひるなかの流星』などがある。

<取材・文/若林ゆり>

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