改めて考えた人が死んでるものをコンテンツとして「消費」することの意味。『艦これ』二期を前にそぞろ歩く佐世保の街

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2019年05月08日 12:01  おたぽる

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おたぽる

撮影/昼間たかし

『艦隊これくしょん -艦これ-』の二期はまだかな……と思う今日この頃。6周年を迎えたわけだが、なんだかんだと『艦これ』はまだやっている。


 それを前にようやく訪れたのが佐世保である。西海の守りは堅い佐世保だけど、出かけるには遠い。地図で見ると、東京からは遙かな果てに見える。ゆえに、いまいち期待はしていなかった。軍港はあっても、たいして魅力的な街じゃないのだろうなと思っていた。


 というのも、今回の佐世保へ向かうルートがどんどん期待値を下げていた。今回の佐世保訪問は別件の取材で福岡市を訪れた、いわばついでの旅。今やアジアの一部に意識を振り切った福岡市は繁栄を極めている。


 来年のオリンピックを前に、まったく盛り上がりのない東京に比べて福岡には新興の気運がある。でも、一歩福岡を離れると雰囲気はガラリと変わる。


 鉄道を乗り継ぎ、唐津から伊万里、松浦、そして平戸へ。海を挟んだ島にあるのが街の中心になっている平戸。かつて貿易港として繁栄した面影はもはや少なく、ただ鄙びた港町。観光案内所の人に尋ねると「ここ、田舎なんで……」と自嘲する。



 そんな経路を通ってやってきた佐世保は……大都会だった。


 比較するとすれば呉だろう。軍事史跡をめぐる旅ならば呉は舞鶴と一二を争うくらいに充実している。美味い店もたくさんある。でも、広島の衛星都市のようになった今となっては、街はいまいち活気にかける。


 対して、佐世保は目を見張るような軍事関係の見どころは少ない。でも、街には驚くほどの活気がある。



 ともあれ、まずは『艦これ』関係。ちょうど休日だったこともあり、向かったのは海上自衛隊の艦艇公開。午前中に出かけたら、3番目だった。



「いつもこんなもので、ちらほらとしか来ないですよ」


 そんな係の人の誘導で、公開されている艦艇へ。こういう状況だから案内もマンツーマン。まだ若い自衛官は「あの、そんな詳しい話できないんですけど、申し訳ないです」と。なので、ぐるりと一周しながら世間話。佐世保の生まれだという彼は高校を出てから奉職して3年目。



「これ、訓練でたまに撃ちますけど、ホントに撃つことになったら、どうなんでしょうね
……」


 話をしているうちに、そんな本音もポロリと出る。大陸に近いゆえに、独特の緊張感も
あるのかなという風にも見える。


 おそらく『艦これ』目当てでの旅の見どころであろう佐世保史料館(セイルタワー)の後、たまたま言葉を交わした地元の人との会話でも、そんな感想が。『艦これ』のおかげで街が賑わうこともある。でも、それは喜ばしいことばかりではないとも思っているという。



「かつての戦争が観光の資源になっているわけですけど<楽しい>ってだけでは割り切れない部分もありますよね」


 なるほど、これはその通り。広島とか長崎とかを歩いていると、時折、前の戦争で連合国だった国の人にも出会う。我々日本人が広島や長崎に抱く意識と、彼らのそれは、大いに違う。



 そぞろ歩きをしながら、幾度か匂いにつられて店に入った。意外にもこの街で美味いのはメキシコ料理だった。それは米軍の存在によって根付いたもの。その美味さに感動し、休日を楽しむ米軍関係者らしき人々の姿を見ながらも、複雑な想いは胸から消えなかった。
(文=昼間 たかし)


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