Nissy(西島隆弘)を“ポップスター”たらしめる6つの理由 5周年記念ドーム公演から考える

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2019年05月14日 11:31  リアルサウンド

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 2019年4月30日、平成が終わった。国民的アイドルSMAPの解散やストリーミングサービスの定着など、この30年でアーティストや音楽産業のありかたもガラッと変わった。以前は男性のポップスターといえばジャニーズ一強のようなイメージもあったが、それすら変化しつつあるように感じる。時代は新たな担い手を求めているのではないだろうか。


参考:Nissy(西島隆弘)が魅せる次世代ポップスターの片鱗 パフォーマンスの魅力を改めて考える


 各々思い当たる人物がいると思うが、もし候補に入っていないのであれば早急に加えてほしいエンターテイナーがひとりいる。それは、Nissyこと西島隆弘だ。彼は『Nissy Entertainment ”5th Anniversary” BEST DOME TOUR』において、男性ソロ歌手史上最年少ドームツアーという偉業を成し遂げた。「Nissyで最年少なの?」という声も聞こえてきそうだが、他に男性歌手で単独ドームツアーを経験したアーティストは6人しかいない。しかも、桑田佳祐や小田和正、星野源といったそうそうたる面々なのだ。


 “なぜNissyが次世代を担うポップスターになりえるのか”ということを、4月25日に開催されたコンサートより紐解きたいと思う。本当はNissyになぞらえて24の魅力を唱えたいところなのだが、文字数の関係もあるので2+4の6トピックで勘弁してほしい。


 まず、アーティストとしての確固たる実力である。今回のセットリストは5周年記念ということもあり、とても攻めのセットリストで組まれていた。MVになっている曲、要はシングルカットされている曲やアルバムでのリードトラックで構成された内容だ。


 オープニングの「Affinity」のハイトーンに始まり、「LOVE GUN」でハードなダンスと共に高音のメロディーライン。続く「まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL」では、イントロをアカペラで披露し抜群の歌唱力を発揮した。ライブアレンジの効いたボーカルは、出だし3曲だけで彼が”ミュージシャンNissy”としていかに勝負しているかがわかる。また、ダンスにおいても限界無視のセットリストだったといっていいだろう。休みなくステップの続く「DANCE DANCE DANCE」、ソロダンスパートのある「Playing With Fire」を続けざまに組むなんて腹をくくって臨まないとできない。


 第二にコンサートにおけるストーリー性が極めて高い。彼のステージはオープニング、エンディングから非日常へ引き込む工夫があることはもちろん、伏線の引き方が緻密なのだ。


 例としてひとつあげるのであれば、4曲目のあとに挟まれた“バスで隣に乗ってきたNissyとどこかへ向かう”VTR。何気ないファンサービスの映像にも見えるのだが、実は次の曲への伏線となっている。Nissyの「このシチュエーション、懐かしいっすね。覚えてます? 俺は覚えてますよ」という言葉が指すのは、「ワガママ」のMVでのワンシーン。恋人役の女の子にスイーツを「あーん」してあげるところが、Nissyがご当地の食べ物を「あーん」してくれる映像とリンクするようにできているのだ。そして、バスが向かった先も横浜みなとみらい、「ワガママ」の舞台になっている思い出の地なのである。このようにNissy Entertainmentには、ライブだけで完結しない物語が仕込まれている。


 3時間ぎっしりのエンターテインメントも特筆すべきことのひとつだろう。風船と噴水の演出の「愛tears」、チアリーダーと共に魅せる「DANCE DANCE DANCE」、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの仲間たちが駆け付ける「The Days」。もちろん、ファンにとって大切なギフトである銀テープだって欠かさない。このように華やかなステージ創りが得意なNissyであるが、細かなところへも仕込みも忘れないのだ。


 それは至るところに散りばめられたNissyエッセンスである。最初のVTR中に飲み干す缶のデザインが「N 5」になっていたり、行動の基点になるエレベーターが「N5」始まりの「24」終わりになっていたりするのだが、これはまだまだ序の口。もっと細かなところでいくと、バス停が「ウエストアイランド24丁目 大桟橋N5前」という名前だったり、Nissyに関わる装飾が施されていたりするのだ。映し出される時間は、ほんの一瞬にも関わらずである。彼のライブに参加した人は「Nissyのライブは情報量が多くて、1回じゃ足りない」とよく口にするが、ディテールまでこだわりぬいて詰め込んだエンターテインメント要素こそそういわれる所以なのである。


 Nissyというエンターテイナーを語るうえで、1曲1曲の表現力も欠かすことができない。「Double Trouble」で色気たっぷりのセクシーオーラを放ったかと思えば、「恋す肌」では王子様感満載のキラキラスマイルで魅了する。即座に楽曲の世界に染まってしまうのは彼の強さのひとつだ。キネマ旬報ベスト・テンで「新人男優賞」を受賞した演技力は一役買っていることは間違いないが、“Nissy Entertainment”で語らずにいられないのは楽曲ごとに行われる衣装チェンジである。


 今回のライブでは大きくわけると、ファーコートやスウェットのセットアップなど7タイプのコーディネートを披露。そして、そのタイプのなかでもMVの衣装になったりジャケットを脱いだりサングラスをかけたりして、細かなニュアンスの違いでキャラクターを見せていった。細かくいうと、13タイプにもなる。“その曲の世界観が伝わるにはどうしたらいいか”ということを、ファッションでも魅せていくのも彼のこだわりのひとつなのである。


 また、魅せるだけでなく寄り添うのもNissyのコンサートの魅力といえよう。ファンの質問に答えるQ&N(Question for Nissy)や気球に乗って現れるアンコールなど、彼は心身共にオーディエンスに近づこうとする。「トリコ」では作中の”私がトリコになった5つの理由“になぞらえて、”Nissyからの5つのメッセージ“が伝えられたがそこでも彼は「みんなのおかげでここまで来れました」と語っていた。そして極めつけは、エンドロールの締めくくりに現れる“All Nissy’s fans I love you”。ファンがあってこそのNissyだということを、彼は誰よりも知っていて、そこに感謝しているのである。


 『Nissy Entertainment ”5th Anniversary” BEST DOME TOUR』は、いうならば今までのNissyの総集編。彼の5年間の軌跡をたどるような時間だった。初の4大ドームツアーであるにも関わらず全公演即ソールドアウトし、しかも昨年の『Nissy Entertainment 2nd LIVE』より男性ファンの比率が圧倒的にあがっている。異性だけでなく同性までも虜にしてしまう、あのクオリティーのエンターテインメントを生み出すのは一朝一夕にできることではなく、彼ががむしゃらに挑戦を続けた結果なのだ。


 ソロプロジェクト1曲目の「どうしようか」をNissyと共につくり、今回のドームツアーに足を運んだSHIROSE(WHITE JAM)は、「彼の日々を輝かせる“挑戦”を人々は魔法と呼ぶのだ」と言っていた(WHITE JAM公式サイト)。挑戦をたくさん繰り返して紡がれたNissy Entertainmentだからこそ、人々に魔法をかけることができるのである。令和の時代に必要とされるのは、たくさんの魔法を見せてくれるNissyのようなエンターテイナーなのではないだろうか。


 努力の天才でありながら、それを包み隠して魔法使いになって見せるエンターテイナーNissy。「次の時代を彼に託してみたい」と思わさせられるには、十分な一夜だった。(坂井 彩花)


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