藤森慎吾、チャラいだけじゃない? 『インハンド』『ザ・ファブル』出演で硬軟自在の俳優へ

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2019年05月17日 06:11  リアルサウンド

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 オリエンタルラジオの藤森慎吾が、2019年に入り俳優として出演作を増やしている。


参考:『インハンド』松下優也が山下智久に最後に投げかけた言葉 遂に紐倉の過去が明らかに


 この「増やしている」という感覚を覚えたのは先日、映画『ザ・ファブル』(6月21日より全国公開)の試写で藤森が出演しているのを観てからだ。芸人が特別ゲストとして単発で映画やドラマに姿を見せることは珍しいことではない。しかし、それが短期間のうちに2作、3作と続いていったとすれば印象は次第に変わっていく。


 2003年に結成されたお笑いコンビ・オリエンタルラジオは、「武勇伝」のリズム芸でデビュー後、瞬く間にブレイクを果たした。2016年にはダンス&ボーカルユニット・RADIO FISHとして、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にも出演するなど、お笑いだけでなく幅広い活躍を見せている。相方の中田敦彦は、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日)での熱量の込もったプレゼン力で個人としても注目を集め、今年3月には新刊『労働2.0 やりたいことして、食べていく』(PHP研究所)を発売するなど、実業家としても軌道に乗っている。対して、藤森が現在力を入れているのが俳優としての仕事だ。


 オリエンタルラジオとして中田と共に初主演を果たした映画『津軽百年食堂』(2011年)を始めに、ドラマ『示談交渉人 ゴタ消し』(読売テレビ・日本テレビ系/2011年)、『悪夢ちゃんスペシャル2014』(日本テレビ系/2014年)、『少女のみる夢』(テレビ朝日/2016年)、『でも、結婚したいっ! 〜BL漫画家のこじらせ婚活記〜』(カンテレ・フジテレビ系/2017年)と断続的に出演を重ねてきてはいたものの、基本的には1話限りの出演や、単発ドラマが多かった。


 そんな藤森が俳優として本腰を入れ始めたのが、今年2月に公開された野村萬斎主演の映画『七つの会議』。藤森はオリエンタルラジオでのネタ、バラエティ番組出演時の“チャラ男”のイメージが非常に強い。しかし、ドラマ『半沢直樹』(TBS/2013年)、『下町ロケット』(TBS系/2015年〜)シリーズでも知られる池井戸潤原作の『七つの会議』において、強烈な存在感を放っているのだ。藤森が演じる新田雄介は、プライドが高く社内で犬猿の仲である営業部の粗を探すことに執着する経理部課長代理という、いわゆるクズ役。女性社員に向かって怒号を飛ばし睨みつけるその姿は、これまでの藤森のイメージとは大きくかけ離れている。


 続けて、4月には藤森にとって初の連続ドラマレギュラー出演となる『インハンド』(TBS系)がスタート。演じるのは、牧野巴(菜々緒)と共にサイエンス・メディカル対策室で働くエリート官僚・御子柴隼人で、上司や強者になびいてしまう風見鶏キャラだ。藤森は役柄について、公式コメントの中で「監督からは、エリートではあるけどそんなにキリっとしてないイメージだと言われているので、チャラ男な雰囲気を3%くらい残しつつ(笑)」と語っている。第1話での道で見かけた牧野に声をかける場面は若干のチャラ男要素を感じさせるものの、物語の終盤に紐倉哲(山下智久)の義手を巡る過去について牧野に報告する姿には行政機関で働く堅実なイメージを持たせていた。


 そして、『インハンド』とバトンタッチするようにして6月より上映を開始するのが映画『ザ・ファブル』。この作品において藤森が演じる河合ユウキはメインキャストではないが、ファブル(岡田准一)の相棒・ヨウコ(木村文乃)をバーで口説こうとする様子は、チャラ男そのもの。『ザ・ファブル』は、アクションとコメディを掛け合わせた作品であり、映画序盤、徐々にストーリーが過熱していく中でアクションシーンに合わせてインサートされる藤森のおチャラけた姿は、これから始まる『ザ・ファブル』のテンションを象徴しているようでもある(ちなみに、藤森は序盤以外にもあるシーンで出演している)。


 『ザ・ファブル』と同じアウトロー作品で言えば、映画『闇金ウシジマくん Part3』(2016年)への出演も過去にあった。新宿・歌舞伎町の歓楽街には弾けたキャラが付き物であり、そのイメージが定着している藤森は誰もが納得のハマり役だ。けれど、一方で『七つの会議』や『インハンド』のようにスーツを着た堅物キャラも演じられる。その振れ幅ある演技が藤森の俳優としての魅力だろう。


■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。


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