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「セカンドオピニオン」、主治医は不快になる? ならない? 医師の“本音”

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2019年05月26日 17:00  AERA dot.

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AERA dot.

写真※写真はイメージです (Getty Images)
※写真はイメージです (Getty Images)
 患者が納得のいく治療を選択するためのセカンドオピニオン。患者の権利といえども、その後の主治医との関係も気になるので、本音を知りたいところ。どうすれば、医師を味方につけることができるのか。セカンドオピニオンに関する医師アンケートを読み解いた。

【アンケート】医師の“本音”は…「セカンドオピニオンを受けたい」と言われたら関係は悪くなる?

*  *  *
「複数の先生に父の検査の数値と体を総合的に診てもらって、透析に踏み切りたいと思いました」

 会社員のミホさん(40代・仮名)は先日、高齢の父親について、主治医から「腎不全で人工透析が必要だ」と説明を受けた。父親の病状がそんなに深刻だとは思ってもみなかったという。いくつかの検査値に問題はあったものの、ミホさんから見て父親は元気に過ごしていたからだ。

 ミホさんは、雑誌や本で透析について情報を集めた。透析患者やその家族の話を聞くと、水分摂取の制限など通院も含めて生活の制約が多そうに思えた。透析を一度始めたら、それをやめることは死につながる。主治医のことは信頼していたが、専門的な意見をもっと聞きたかった。

「セカンドオピニオンというと、先生との関係に角が立ちそうだし、うまい言い方はないかしら……」

 ミホさんは、主治医への話の切り出し方に頭を悩ませている。

 このところよく耳にするようになった「セカンドオピニオン」。国立がん研究センターのがん対策情報センターによると、「患者さんが納得のいく治療法を選択することができるように、(中略)担当医とは別に、違う医療機関の医師に『第2の意見』を求めること」をいう。

 ただ、言葉は知っていても、主治医との関係が悪くなるのが心配で言い出しにくいという患者や家族は多く、そもそもどう受けたらいいのかわからないという人もいるだろう。

 そこで今回、本誌では医師専用のコミュニティーサイトを運営するメドピア社の協力で、医師300人にアンケートを実施。セカンドオピニオンについて医師の“本音”を聞いた。

 まず、患者から「セカンドオピニオンを受けたい」と言われたことがあるかどうか。これについて「言われたことがある」と回答したのは190人(61%)、「言われたことがない」と回答したのは123人(39%)だった。言葉だけでなく、仕組みとしてもある程度は普及しているようだ。

 セカンドオピニオンで患者や家族が気になるのは、主治医との関係がどのように変わるのかだろう。

 アンケートでは、患者に「セカンドオピニオンを受けたい」と言われたときの心証を聞いた。すると、187人(60%)が「何とも思わない」と回答し、「歓迎する」の109人(35%)と合わせると、ほとんどの医師がセカンドオピニオンに対し、ネガティブな印象を持っていなかった。

「主治医との関係は悪くなるか」という質問にも、「悪くならない」と回答したのは244人(78%)で、「悪くなる」と答えた39人(12%)と比べて圧倒的に多かった。

 理由については、「患者さんの権利の一つ」(40代男性・眼科)、「決めるのは患者自身」(50代男性・一般外科)、「特に難治性の疾患は多くの意見を求めたほうがいい」(60代男性・一般内科)など、当然のこととして受け止めている医師や、「患者さんが納得して治療を受けてくれたほうが、信頼関係が深まる」(40代女性・腎臓内科/透析)、「医師と患者が同じ方向を向いて治療するのがベスト」(30代女性・呼吸器外科)など、よりいい関係が築けると考える医師もいた。

 興味深いのは、具体的な状況を尋ねると、「肺がんの確定診断後に、こちらからお勧めした」(30代男性・呼吸器内科)、「治療に不安そうだった場合、セカンドオピニオンを勧める」(40代男性・精神科)、「がんで手術を予定されている患者さん全員に、セカンドオピニオンの話をします」(50代男性・一般外科)など、医師側からセカンドオピニオンを提案するケースも見られたこと。主治医が気分を害するというのは患者や家族の杞憂のようだ。

 その一方で、「悪くなる」と答えた医師も。「主治医にもプライドがある」(50代男性・アレルギー科)、「全面的に信頼してくれている患者よりも当然、悪くなるはず」(30代男性・神経内科)など、本音が見え隠れする。

 また、「話の仕方によっては、不快となる場合があるかもしれない」(60代男性・一般内科)、「患者の態度による。横柄な態度で言われたら誰でも腹が立つ」(30代男性・放射線科)という意見も。セカンドオピニオンは患者の権利といえども、医師も人間。コミュニケーションのとり方によっては、関係がこじれてしまう可能性はあるようだ。

 一般的に、セカンドオピニオンを利用したいときは、主治医に「診療情報提供書」を作成してもらう。いわゆる紹介状のことで、患者の症状や診療内容、検査結果などが書かれている。

 患者は、意見を聞きたい医師(医療機関)に連絡を取り、セカンドオピニオンを依頼する。専門外来を設けていると、専用の受付があることも。第三者の専門医は、提供書などを確認し、基本的には面談で自院の治療方針や意見などを患者に話す。医療機関によるが、面談時間は1回30〜60分程度が多く、費用は自己負担(自費診療)だ。

 千葉県東金市にある浅井病院で主にうつ病や神経症などの患者を診る精神科医の赤木孝匡さんは、自身の経験を踏まえて説明する。

「セカンドオピニオンを担当した医師は、基本的に患者さんに説明した内容を主治医にフィードバックします。患者さんのなかには転院を前提に受ける方もいらっしゃいますが、主治医の元に戻るのが原則です」

 以前勤めていた病院では、こんなことを話す患者がいたという。

「先生、実は○○病院のA先生に診てもらっていて、こういう薬を出してほしいって言っているんですが、出してくれないんです」

 その患者から現在受けている治療内容を聞き取って、「よい治療法だと思うので、主治医の先生と相談されたらどうですか」とアドバイスしても、その患者は主治医や受けている治療に不平、不満ばかり。紹介状を見せてほしいとお願いしたところ、「先生が怖くてもらっていません」。

「いい治療法を探したい気持ちはわかりますが、これでは患者さんのためになりません」(赤木さん)

 JR東京総合病院(東京都渋谷区)名誉院長で、麻酔科・痛みセンターで診察している花岡一雄さんは、痛みの専門家としてセカンドオピニオンを受けることが多い。同院は痛みの治療では専門外来を設けておらず、希望があった場合は受けるが、困ったケースもあるという。

「診療情報提供書を持ってこない患者さんが多いのです。どんな治療を受けていたのかも、検査の結果もわからない。当院でイチから検査を受ける必要があるが、自費だと高額になる。結局、保険診療としてほかの患者さんと同様に一般外来で受けざるを得ないという状況です」(花岡さん)

 こうした患者の場合、主治医への不信感があることが多く、「セカンドオピニオンというよりも、ドクターショッピングに近い」と、花岡さんは感じている。

 アンケートでは、医師が患者からどんな病気(状況)でセカンドオピニオンを受けたいと言われたかも聞いた。病気では「がん」が圧倒的に多く74人(42%)で、次は精神疾患(11%)。心臓病、脳血管の病気、婦人科の良性疾患と続く。「がんの疑いがあり当地での精密検査を勧めたら、近県の大学病院で診てもらいたいと紹介を依頼された」(50代男性・一般内科)というように、最初の診断と治療方針をめぐる段階で受けるケースや、「乳がん術後の多発転移の症例。院内の外科に紹介しようとしたら、別の病院を希望された」(40代男性・一般内科)など、進行がんや転移がんの段階で受けるケースがあった。

 桑名市総合医療センター(三重県)顧問で、膠原病リウマチ内科の松本美富士さんが経験するセカンドオピニオンで多いのは、線維筋痛症という難病の診断や治療方針をめぐって。リウマチなどの膠原病では優れた治療薬がある上、ガイドラインも確立している。

「多いのは、治療内容とその効果の説明が、自分の考えていた治療法や期待度とずれていたときですね。それに納得できずにセカンドオピニオンを希望される方もいます。心情的には残念ですが、後に納得されて戻ってきて、当院で治療をされる患者さんとの関係は良好です」(松本さん)

(本誌・山内リカ)

※週刊朝日  2019年5月31日号

このニュースに関するつぶやき

  • 自分の判断がすべて正しいと思う医者は辞めろ、人を殺すだけだ! 自分に何が出来るか出来ないか考えろ。専門以外の患者の主治医になったら、ちゃんと専門の先生の意見を聞け。
    • イイネ!0
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  • 「他の先生の意見を聞く事もできますよ」って逆にアドバイスしてくれる先生もいるらしい。そういう先生の事は信頼できそうな気がする。
    • イイネ!609
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