【球数制限を考える】ポニーリーグが大会で「球数制限」を導入、今後はアプリ導入も

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2019年05月28日 12:14  ベースボールキング

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5月26日、江戸川区球場で日本ポニーベースボール協会による「第43回全日本選手権大会 ポニーブロンコの部」の開会式と試合が行われた。
初めて「球数制限」を導入
「ポニーブロンコの部」は、中学生の硬式野球リーグであるポニーリーグの1年生の部門。23チームが集まり、5月26日から6月23日まで、5つの球場でトーナメント戦が行われる。今回、注目されるのは、ポニーリーグの大会として初めて「球数制限」が導入されたことだ。
「大会細則」には、
(03)1日の投球数の制限を85球とする。(85球を超えたら、その打者が終了後に投手を交代する。)と明記された。

中学硬式野球の主要5団体(ボーイズ、リトルシニア、ヤング、ポニー、フレッシュ)からなる日本中学野球協議会では、中学生投手の投球制限に関する統一ガイドラインで、

1.試合での登板は以下のとおり制限する。
1日7イニングないとし、連続する2日間で10イニング以内とする

と決めているが、球数制限を設けたのはポニーリーグが初めてだ。
両軍合わせて6枚のスコアシートを作成
「球数制限」を導入するうえでは、主催者、両軍ベンチは「投球数をカウントする」というこれまでにない作業が発生する。
4月に市原ポニーベースボールの練習試合を取材した際には、スタッフが増員され、球数を「正の字」で数えていたが、今回の公式戦では、主催者が球数のカウントもできる特性のスコアシートを作成し、主催者と両軍ベンチに配布していた。



スコアシートは一般のものとほとんど変わらないが、各打席の右側の投球を書く細い欄が二つになっていて、投球内容(空振り、見逃しストライク、ボール、ファウルなど)とともに、1打席ごとの投球数が記入できるようになっている。
ベンチと記録室では、従来のスコアシートに加えて、両軍の球数入りのスコアシートも作成しなければならない。両軍合わせて6枚のスコアシートが作成される。

ベンチ裏の記録室では、ハーフイニングごとに球数のアナウンスをする。両軍ベンチのスコア担当者は、それを確認し、手元の数字と違っているときは記録室に申し出る。記録室は両軍ベンチのスコアシートと記録室のスコアシートを突き合わせて球数を決定する。
作業としては煩雑になるが、「球数制限」の導入には、こうした業務がつきものだ。大学や社会人とは異なり、専従スタッフが少ない少年野球では父母などの負担になっていく。
スコアラーを買って出た保護者に「作業が増えますね」と聞くと、「子供を守るためなので、負担には感じない」とのことだった。
並行してアプリの導入も検討中
球数制限の導入を主導した、日本ポニーベースボール協会、本部事務局の田本剛氏は、

「球数制限は、今後の少年野球では避けて通れないことですので、親御さんが子供たちをより近くでしっかり見れるという意味でも、良い部分の方が大きいのではないかと思います。
もともと導入するという話は事前に各チームに伝達していましたが、導入するのはこの大会が初めてなので、まずはやってみて、改善点があればその都度考えていくということになります。
これに並行して、『Easy Score』というアプリの導入を検討しています。タブレット端末に1球ごとに入力すれば、スコアや球数がオンタイムで分かります。設定しておけば、球数制限に達したらアラームが鳴るようにもなります。今回は江戸川球場の試合で試験的に使っていますが、このアプリを公式戦で本部と、各チームが使用するようになれば、負担は軽くなると思います。
導入にあたっては、やはり“大変だ”という声もありましたが、子供たちのために父母が少しだけ汗をかけばクリアできることですので、やってみようよ、と説明しました。並行してアプリの導入などで負担軽減の努力もします」




導入に賛成する指導者たち
開会式に参加した指導者10人に話を聞いたが、「球数制限」に反対する人はいなかった。
「もともと聞いていた話だし、私も必要だと思っていたので、導入できてよかったと思う」という声が多かった。
中には、
「うちのチームでは、自分たちだけで球数をカウントしていた。練習も含め、以前から子供たちの球数を数えていたので、まったく負担には感じない」
と語る指導者もいた。

この日は季節外れの猛暑で、朝8時過ぎには球場の気温は28度に達した。大会主催者側は、球場に集結した選手を座らせて来賓の祝辞を受けた。こういうところにも「子供を守る」というポニーリーグの考え方が表れていた。
試合では暑さもあって、1イニングで30球を超える球数を投げる選手もいた。早いイニングからブルペンでは投手が練習を開始した。
少年野球の現場では、今後、こうしたことが「当たり前の光景」になっていくのだろう。(広尾晃)

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