映画『パラレルワールド・ラブストーリー』は玉森裕太の演技力の高さに驚く! 2つの世界で苦悩する理系男子を演じます

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2019年06月01日 11:51  Pouch[ポーチ]

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【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのはKis-My-Ft2の玉森裕太主演映画『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日公開)です。

原作は東野圭吾の同名小説で、共演は吉岡里帆、染谷将太。玉森さんは2つの世界を行ったり来たりして「どっちが現実なんだ!」と悩める理系男子を熱演しています!では物語から。

【物語】

コンピューター会社の付属研究所で最先端技術の研究をしている崇史(玉森裕太)は、ある日突然、2つの世界に迷い込んでしまう。1つの世界で、崇史は親友の智彦(染谷将太)から彼女の麻由子(吉岡里帆)を紹介されます。麻由子は、崇史が大学院時代に電車で見かけて密かに恋をしていた女性でした。

一方、もう1つの世界では、麻由子は崇史の恋人で同棲中。そして智彦は海外へ行ったきり、連絡が取れなくなっていました。崇史は目覚めるたびに2つの世界を行ったり来たりし、混乱します。

彼女の恋人は自分なのか、それとも親友の智彦なのか。そしてどちらが現実なのだろうか……と。

【パラレルワールドで変化する3人の関係性】

冒頭は可愛い恋物語なんです。山手線に乗っていた崇史が並行して走っていた京浜東北線に乗っていた麻由子に恋をして、車窓ごしに彼女を見つめたりして、いきなりキュンワールドですよ。

ところが、研究所勤務になり、智彦に紹介された恋人が麻由子だったところから、パラレルワールドを行き来する世界が始まります。

なんと、目覚めたら崇史と麻由子が同棲していて、観ているこちらは「???」。2つの世界の登場人物は同じですが、彼らの関係性が違うのです。「どうなっているの?」と、こちらが思うのと同様に崇史も脳内が大混乱。つまりこの映画は主人公と観客が同じ状況下で、崇史の身に起こった謎めいた2つの世界を体験する作り。お客さんも巻き込むミステリーなのです。

【身を削って熱演している玉森裕太】

麻由子と同棲している崇史は「何かがおかしい」と気づき、連絡の取れない智彦と接触しようとしますが、ときどき記憶がフラッシュバックして苦しみます。自分の身に何かよからぬことが起こっていると感じるのは恐ろしいこと。崇史はずっとそういう状態なので、どんどんやつれていくんですよ。

この映画の玉森さんは、キスマイのメンバーとして歌って踊っているときのキラキラの面影はありません。「今まで演じたことのない役。崇史に没頭して自分を追い込んで、撮影がなくても崇史のことを意識していました」と玉森さんは語っていますが、本当にかなり追い込んだ感がスクリーンに現れ、崇史と玉森裕太が完全に一体化していました。アイドルではなく役者でしたね、本当に。

【意外に深い恋愛と友情の物語】

本作、最後まで見るとわかるのですが、ベースにあるのは愛と友情なんです。誰かは友情よりも愛を選び、誰かは愛よりも友情を選んだことがパラレルワールドのきっかけ……。正直、スッキリとハッピーな気持ちになれる映画ではありません。でも真相を知るとかなり切ない気持ちになり、心がギューンと掴まれます。

複雑な構成なので、2度見ると1度目には気づかなかったことに気づいたりできるかも。1粒で2度おいしい味わい深いミステリー作品です。

執筆=斎藤 香 (C)Pouch

『パラレルワールド・ラブストーリー』
(2019年5月31日より、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー)
出演:玉森裕太 吉岡里帆 染谷将太 筒井道隆 美村里江 清水尋也 水間ロン 石田ニコル / 田口トモロヲ
原作:東野圭吾「パラレルワールド・ラブストーリー」(講談社文庫)
監督:森義隆
脚本:一雫ライオン
音楽:安川午朗
主題歌:「嫉妬されるべき人生」宇多田ヒカル(Epic Records Japan)

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