広瀬すずVS貫地谷しほり 『なつぞら』新天地で始まった夢への闘い

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2019年06月05日 12:21  リアルサウンド

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 憧れの東洋動画に入社し、充実した日々を過ごすなつ(広瀬すず)。ところが『なつぞら』(NHK総合)第57話では、アニメーター・セカンドのポジションについている大沢麻子(貫地谷しほり)から思いもよらぬ言葉をぶつけられ、落ち込むというよりも、なつにしては珍しく怒っていた。


 現在お世話になっている「風車」の女将・亜矢美(山口智子)にコーディネートされた素敵な洋服を身にまとい、意気揚々と出社するなつ。だがまだ彼女は新人中の新人。自身の性格や生活を理解してもらえていない現在、そのスタイルに込められた意味を勘違いされてもおかしくはない。


【写真】亜矢美(山口智子)コーディネート姿のなつ(広瀬すず)


 そんな中、なつは麻子に目をつけられてしまう。どうやら彼女は美大卒で、入社してすぐにいまのポジションに大抜擢された、超優秀な人材らしい。アニメーションとは、ラテン語で魂を意味する“アニマ”に由来しており、絵に「魂」を込めようと真剣に向き合っている麻子からすれば、なつの姿は見ていてあまり気持ちのいいものではないのだろう。「会社に何しにきてるんだ?」というものである。なつは麻子から「目障りだからうろちょろするな」という、最上級に厳しい一言までをも引き出してしまうのだ。


 だがなつだって遊びに来ているわけではない。寝ても覚めても頭の中は絵のことでいっぱいで、前から彼女のことをよく知っているものたちは、それを理解している。日々彼女を応援する私たちだってそうだろう。なつは空腹も時間も忘れ、一つひとつの絵に向き合っているが、それにまだ麻子は気がついていないのだ。


 ちょうどこの6月。私たちの世界においても、なつと似たような状況に置かれている方がいるのではないだろうか。入社から少し経ち、職場には慣れはじめたものの、周囲の人々の理解を得られるにはまだもうしばらく時間がかかる。この過程で、誤解を受けたり、自分自身のやる気が空回りしてしまったりなど、多くの方が経験していることだろう。だがなつを俯瞰的に見てみると、彼女にはいつだって味方がいるのだ。闘いは始まったばかりである。


 さて、なつは作画科で麻子からボツにされた絵を持ち帰り、自分なりにキャラクターの感情を想像しながら一心不乱で描き上げた。「人はどうして泣くのか」という問いと、かつての自身の記憶とともに。それを偶然手にした麻子のハッとした表情で幕を閉じたが、彼女のこの表情は何を意味するのか。次回58話では、またも大きな展開が生まれそうである。


(折田侑駿)


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