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【全国水道料金ランキング】1カ月2万円超も 家計を直撃する「水格差」の未来

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2019年06月06日 06:00  AERA dot.

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写真2040年時に予想される水道料金で、料金が低かった10水道事業体を抽出。EY新日本有限責任監査法人・水の安全保障戦略機構事務局「人口減少時代の水道料金 全国推計 推計結果 改訂版」をもとに編集部が作成
2040年時に予想される水道料金で、料金が低かった10水道事業体を抽出。EY新日本有限責任監査法人・水の安全保障戦略機構事務局「人口減少時代の水道料金 全国推計 推計結果 改訂版」をもとに編集部が作成
 福岡県みやこ町の一般的な家庭の1カ月の水道料金は、現在(2015年度)の4370円から2040年には約5倍の2万2239円に激増し、静岡県長泉町は今と同じ1130円──。EY新日本有限責任監査法人と水の安全保障戦略機構事務局が昨年発表した「人口減少時代の水道料金 全国推計 推計結果(改訂版)」には、そんな衝撃的な数字がズラリと並んでいる。

【表】1000円台から2万円超まで! 全国水道料金ランキング(都道府県別)

 日本人にとって蛇口をひねれば出てくることが当たり前だった「水」。それが、20年後には住んでいる地域によって利用料金に大きな格差が生まれる。「水道料金格差時代」のはじまりだ。

 水道料金の値上げが避けられないことには理由がある。明治大学公共政策大学院の田中秀明教授は言う。

「高度経済成長期に整備された水道は老朽化が進んでいて、今後毎年1兆円を超える更新費用がかかると予測されています。さらに、人口減少で水の需要が減り、工場など大口利用者は割安な地下水の利用を増やしています。使用量が減れば、水道事業の収入も減ります。現在でも、全国合計で、他会計から水道事業に年間約2000億円が繰り入れられています。今後は、水道料金の引き上げか税金の繰り入れがさらに増えるでしょう」

 前出の推計データは、現在公表されている統計をもとに、人口減少による収入減や設備の更新費用の増加を水道料金の値上げでまかなった場合などを想定して算出されている。20年後は遠い未来のことではない。

 日本水道協会によると、国内で年間給水量が最も多かったのは1997年の約170億立方メートル。それが2015年には151億立方メートルまで減った。一方で、3〜4人世帯の1カ月平均的な水使用量である20立方メートルの価格は、1997年の2926円が20年間で3228円まで増加した。経営が不安定な事業体は、今後は値上げのスピードが加速していく可能性が高い。

「人口が多いから」「水資源が豊かだから」といって、安心できるわけでもない。水道事業は独立採算制で、原則として利用者が払う料金でまかなわれる。同じ都道府県でも、住む地域によって値段に差が出ることが予想されている。たとえば、大阪府茨木市の2040年時の予想水道料金は2044円だが、河南町は1万629円。同じ大阪府内で5倍以上の差がある。

 そこで求められているのが、水道事業の広域化だ。水道の利用人数を多くすることで経営を効率化させ、値段の変動を抑えることが期待できるからだ。しかし、日本では上水道の経営主体だけで2000以上あり、水道事業の広域化は進んでいない。なぜか。

「水道料金が安い事業者は、高い事業者と合併すると一時的に料金が上昇します。水道料金の値上げは地域住民の生活に直結しますので、議会は値上げに反対します。誰もが『今のままではいけない』と思っていますが、有効な対策ができていないのが日本の水道事業の現状です」(前出の田中教授)

 昨年12月には水道法が改正され、自治体が施設を所有したまま日常業務の運営を民間に任せる「コンセッション方式」が導入された。しかし、「民間企業が水道事業に参入すると、株主に配当するために水道料金が上がる」などの批判も相次いだ。

 たしかに、パリやベルリンなど、民営化後に料金が高騰したり、水質が悪化したりしたことで水道事業が再公営化された事例はある。一方、フランスでは再公営化の動きと同時にコンセッション方式への以降は現在でも進んでおり、フランス生物多様性機構の報告書では、水道事業ではコンセッション方式に移行した事業と再公営化した事業はそれぞれ68事業で同数だった。

 もちろん、民営化すればただちに水道事業が効率化されるというわけではない。しかし、民営化を拒む側には別の事情もある。民間の水道事業関係者は言う。

「水道事業の案件は行政から高い価格で受注できるので、地元の企業やそこで働く公務員にとっては『おいしい仕事』。もちろん、そういった人たちは政治家にも通じている。電力やガスと違って水道事業の広域化が進まないのは、『既得権益』が強力だからという側面もある」

 今年1月には、山梨県笛吹市で、市職員が工事発注の価格情報を事前にもらしたなどとして逮捕された。背景には、同市内の水道事業者団体で派閥抗争があったという。こういった水道事業にからむ汚職疑惑は、この1年だけでも東京、大阪、岩手、新潟などでも起きている。前出の田中教授は、日本の水道事業についてこう指摘する。

「水道法改正で昨年に国会で議論になったコンセッション方式は、水道経営の一つの選択肢に過ぎないなのに、民営化が水道料金の引き上げや水の安全性の低下につながるといった冷静さを欠いた感情論が多かった。地域の実情に応じて費用対効果の高い運営方法を選択すべきですが、その前に広域化が必要です。いずれにせよ住民がもっと水道事業に関心を持たなければなりません」

 表では、全国1236水道事業体で将来予想される水道料金を都道府県別でまとめた。あなたが住んでいる地域の水道料金は、今後どうなるのか。2040年の予想値を確認して、「水の未来」を考えるきっかけにしてほしい。(AERA dot.編集部・西岡千史)

このニュースに関するつぶやき

  • ホント水に関して静岡は最高ですねw https://mixi.at/a9MbI5E
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  • こういうところに金を出すべきなのはずっと以前から分かっているはず。命の水を民営化して、政治家や外資が食い物にすべきでは無い。水と食糧は安全保障の根幹だ。
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