原田龍二、ファンとの不倫スキャンダルに見る「有名人の妻」という窮屈すぎる立場

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2019年06月07日 00:02  サイゾーウーマン

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原田龍二公式プロフィールより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「『原田、アウト』と言ってくださいました」原田龍二
(記者会見、5月31日)

 食傷気味な感があるが、不倫ネタというのは、なくなりそうでなくならない。

 6月2日放送『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、ダウンタウン・松本人志が「不倫ネタを扱うのはやめよう」とスタッフに提案したことを明かし、それでも放送する理由について「ないと番組が締まらない」と発言していた。確かに不倫ネタが、取り上げやすいことは確かだろう。人命が失われたわけでもなく、今の日本には姦通罪がないので警察のお世話になるという話でもないわけだから、面白おかしく話せる格好のネタとなる。

 最近で言えば、俳優・原田龍二の不倫を「週刊文春」(文藝春秋)がスクープした。原田はSNSで知り合ったファンの女性を車でピックアップして郊外の公園に移動し、車中で行為に及んだという。その時間わずか10分。性欲の処理係的な扱いに女性が憤慨、女性が「文春」にリークする形で取材が始まったそうだ。

 原田は釈明記者会見を開き全面的に謝罪したが、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)で「変態仮面」として出演した“実績”があるからだろうか、記者たちからは「性欲が強いのか?」とか「車内での性行為は好きか?」とおちょくっているとしか思えない質問もあった。謝罪という許しを請う立場だからか、言われたい放題になった気もするが、こうした「失礼な質問」が「あるコト」と組み合わさると、男性芸能人の贖罪を早めるのではないか。

 「あるコト」とは、妻のユーモアある返し、である。

 原田夫妻の場合、不倫がバレた際、妻は『ガキ使』にちなんで、「原田、アウト」と言ったそうだ。「アウト」という言葉は否定的なニュアンスを含んでいるが、絶対に許さないという激しい怒りは感じない。「何やっているんだか」という達観も含まれているように、私には感じられる。

 不倫は夫婦の問題であるので、配偶者が許せばそれで終わる。妻がユーモアのある返しで不倫という失敗を“容認”すれば、外野は何も言う権利はない。しかし、こうした妻が「できた奥さん」と褒められると、夫の不倫を許せない妻が「できてない妻」のように扱われてしまう。

 しかし同じ不倫された配偶者でも、男性の場合は違う。女優・藤吉久美子の不倫疑惑が持ち上がったとき、夫である俳優・太川陽介は不倫を否定する藤吉の言い分を聞き、「僕は信じる」と発言した。つまり、太川は「不倫はない」とする立場を取ったわけだから、許すも許さないもないのだ。

 また、元モーニング娘。・後藤真希の不倫が発覚した場合、一般人である夫は、不倫相手に慰謝料請求の裁判を起こしている。これは夫としての権利を行使しているだけだが、太川・ゴマキ夫の判断に、「ユーモア」や「許し」のニュアンスはまったく含まれていない。

 訴訟と言えば、今回リークした女性は原田のファンであることを考えると、原田が既婚者だと知っていた可能性は高い。となると、原田の妻は相手の女性を訴えることも、法律的には可能だろう。しかし、それをすると「原田を許していない」ととられかねず、「よくできた妻」の範疇から外れてしまうので、心理的には不可能ではないだろうか。

 夫の芸能人人生と生活を考えたら、妻は、本心は別として、許したようなことを言わなければ、自分と子どものクビが締まる。それに加えて、夫の芸能人としてのイメージを考えれば、ゴマキの夫のように慰謝料請求という権利を行使することもできず、一人で耐えるしかない。

 「有名人の妻」というポジションは、昔ならあこがれる女性も多かったかもしれない。しかし、スマートフォンとSNSを使って一般人が情報を拡散できるようになり、かつ情報をもみ消すのが難しい時代になると、実は発言や行動に制限がある立場と言ってもいいのではないだろうか。

 窮屈な立場であるのは、有名人の妻だけではない。ベッキーや矢口真里の例を見てもわかる通り、不倫をした女性は男性と比べてバッシングが激しく、長い低迷を余儀なくされる。

 『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)という番組をご存じだろうか。「イヤなオンナ」のネタを出演者が挙げていくバラエティーだが、男性を叩く番組がないことから推察するに、テレビにとって女性は叩いていいネタなのではないだろうか。

 だとすると、女性がしてもされても地獄の不倫報道がなくならないのは、当たり前だという気がしないでもない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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  • 高校生と中学生の子どももいるし、奥さんも穏便におさめたいですよね。
    • イイネ!14
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