『ザ・ノンフィクション』整形オーディションに賭ける二人の女性「シンデレラになりたくて…2019」

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2019年06月18日 15:52  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。6月16日放送のテーマは「シンデレラになりたくて…2019(前編)」。整形オーディションに賭ける二人の女性を追う。

あらすじ:『整形シンデレラ』に賭ける二人の女性

 出場者は無料で美容整形が受けられ、さらにグランプリ受賞者には賞金300万円が贈られる湘南美容クリニック主催の『整形シンデレラオーディション』。第4回の応募者の一人、七海は地下アイドルをしている。二重のりを使った瞼のメイクに手間がかかり、何度もやり直すとメイクだけで2〜3時間かかることも。モデルを目指す叶華は歯並びが気になり、アルバイトは「マスクができるから」という理由で歯科医院を選んでいる。二人と、その家族を交えながら、整形前後の様子を伝える。

“感じのいい”七海と叶華が抱える容姿コンプレックス

 整形は『ザ・ノンフィクション』十八番のテーマであり、今年3月には美容外科医に密着した「あなたの顔、治します。」が放送され、有村藍里も患者として登場している。

 七海も叶華も家族仲が良好で安心して見ていられた。「幼少の頃から親に容姿を蔑まれていた」「親が整形に猛反対している」といった家族間での“地獄”がなく、よかったと思う。

 叶華はずっと歯並びを直したかったものの、費用を気にして母親に言い出せず、『整形シンデレラ』出場をきっかけに伝えることができた。母親は、初めて悩みの根深さを知り「申し訳ない気持ちがありました。小学5年生くらいまでのときに(矯正を)やってあげていたらこんな気持ちはしなかったのかな」と話していた。

 七海は弟が3人おり、整形費用を地下アイドル活動で賄おうと思っていたが厳しく、『整形シンデレラ』への応募を決意する。容姿のコンプレックスは時に、それが原因で嫉妬心の塊になったり、愚痴や文句ばかりになったりと、精神面に暗い影を落とすこともあると思うが、七海や叶華にはそうした部分が感じられず、二人とも家族の気持ちを気遣うなど感じがいい。年齢が若いため、まだスレていないのもあるかもしれない(湘南美容外科ホームページによると、七海は21歳、叶華は20歳)。

 『整形シンデレラ』において、整形手術を無料で受けられるのは、応募者のうちわずか10人と、かなりの狭き門だ。応募者は書類審査と面接で20人に絞られ、その後、3泊4日の合宿審査が行われる。そこで、「本当に整形が必要か」などさまざまに審査された後、最終的に10人が選ばれる。

 まったくの推測だが、この合宿の過程で「メンタル面が危うい」と判断された者は落とされるのではないだろうか。感情が安定している七海と叶華を見ていて思う。しかし、容姿の苦しみはメンタル面に相当“刺さる”ものであり、とても感じよくなどしてられない人もいるはずだと、想像して思いを馳せてしまった。

 今回の整形で、叶華も、また幼少期に白血病になり抗がん剤の影響で歯が黄色っぽくなってしまった七海も、自分の歯を削り、その上に白く整った歯を被せる「セラミック矯正」を行っている。自分の身の回りを見ても、セラミックではないが、大人になってから歯の矯正をした人は結構いる。

 歯を被せる「セラミック矯正」という手段があることはいいことだし、芸能界など「美で食っていく道」を目指すならやる必要もあるだろう。でもそうでないなら、自分の歯で食べていけるに越したことはないと思う。

 私自身は、歯並び以前にそもそも歯が貧弱で、死に急ぐように永久歯になり、それも次々と虫歯になり、幼少期から奥歯はほぼ詰め物だった。年齢を重ねるにつれ、詰め物のない真っ白な奥歯を持った大人を見ると育ちの良さを感じ、自分の不摂生が恥ずかしくなる。

 つくづく、子どもにしょうもない習い事をやらせるくらいなら、歯並びの悪い子は幼いうちに矯正してやる、虫歯にならない歯の磨き方を幼少期に叩き込んでやる、それが親心だと伝えたい。叶華がそうだったが、親にしてみれば愛嬌に思えるような子供の歯並びの悪さは、当人にとって深刻な悩みだったりするのだ。

『整形シンデレラ』と『ダイアナプロポーションコンテスト』

 『整形シンデレラ』で、一つ残念な点は、応募資格者が30歳以下なところだ。

 私は以前、補整下着で有名な“プロポーションづくり”のダイアナによる全国コンテスト『年代別ゴールデンプロポーションコンテスト』を見に行ったことがある(“自分のため”のキレイを認める――美容コンテストに咲く女たちの「キレイ!」の声)

 こちらでは20代、30代、40代、50代、60代以上と世代別で表彰が行われ、それがとてもよかった。まず、「美」は若い人のためだけのものではない、という姿勢がいいし、世代別にすることで、それぞれの世代に「美しさ」はあるというメッセージがきっちり伝わった。

 『整形シンデレラ』の対象が30歳までというのは、「経済的に余裕のない若年層に選択肢を与えたい」「若い世代にもっと来院してほしい」といった意図があるかもしれないが、個人的には中年、シニア部門設立を期待したい。

 次回の『ザ・ノンフィクション』も引き続き『シンデレラになりたくて…2019(後編)』。ひき逃げ事故に遭い顔や体に傷を負ってしまった母親と、発達障害を抱えるコスプレイヤー二人に焦点を当てる。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

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