熊田曜子、夫と義母の愚痴連発――タレントとして「プラスにならない」と感じるワケ

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2019年06月21日 00:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

熊田曜子インスタグラムより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「食べるって言ってたのに」熊田曜子
(6月12日、インスタグラムより)

 芸能人を指して「あの人は、〇〇キャラ」と言うことがある。これは、その芸能人が「〇〇という役回りを背負っています」ということだろう。つまり、ある種の演技なわけだが、そうは言っても、そのキャラを、はっきり覆されるとなんとなく変な感じがするのはどうしてだろうか。

 例えば、タレントのLiLiCo。スウェーデン人の父と日本人の母のダブルで、もともとは演歌歌手。ブレークのきっかけは『王様のブランチ』(TBS系)の映画コメンテーターになったことだった。「肉食系」と公言してはばからなかったLiLiCoは、レギュラー出演中の『ノンストップ』(フジテレビ系)で、ゲストとして登場したムード歌謡グループ・純烈の小田井涼平に出会う。初対面の時から縁を感じていたというLiLiCoだが、別の番組で共演したことをきっかけに交際をはじめ、結婚。いいなと思ったら、すぐに行動するのは“肉食キャラ”にふさわしいと言えるだろう。

 しかし、結婚後のLiLiCoは変わった。夫を“主人”と呼び、『ノンストップ』によると「夫をキッチンにいれない(料理はLiLiCoの担当という意味)」「夜中2時に起きて、主人の朝ごはんを作っている」といった具合に、もはや“肉食キャラ”ではなく、梨園妻のようなキャラの変化を遂げている。それが彼女の考え方、生き方だから他人がとやかく言うことではないが、「キャラとして」考えるなら、視聴者が違和感を抱いたり、多少混乱することは否めないだろう。

 このように、キャラというのは難しい。安易に変えるのはNGだが、ずっと同じキャラでは生き残れないのもまた事実だろう。特にママタレ業界は飽和状態が続いているので、何かキャラが必要になる。

 ママタレ業界で頭ひとつ抜け出した存在と言えば、ゆうこりんこと小倉優子ではないだろうか。夫から褒められたエピソードを語るなど、愛され妻キャラだったゆうこりんだが、妊娠中に夫が自分の後輩と不倫していたことを「週刊文春」(文藝春秋)にすっぱ抜かれ、離婚を選択する。ひと昔前、離婚といえば不幸でしかなく、家庭用洗剤などファミリー向け商品のCMには出られないと考えられていた時期もあったものの、ゆうこりんは離婚後、オリコン調査の「好きなママタレ」ランキングで1位を獲得し、P&Gの柔軟剤入り洗剤「ボールド」のCMに出演するなど、高い好感度を誇ることに。それは、シングルマザーとして、子育てと仕事にまい進するというキャラが好感をもたらしたということだろう。

 このように、かつては「みっともない」「隠したい」とみなされていたことが、今は「それもあり」と受け入れられるようになっている。それをビジネスチャンスと思っているのか、単にいろんなことがユルいのか、定期的に話題になっているのが、タレント・熊田曜子ではないだろうか。

 結婚前はおバカキャラとしてバラエティに出演することもあった熊田は、現在3人の子どもを育てるママタレント。以前、子どもたち3人を児童館に連れて行ったが、「大人1名につき、子ども2名までなので入れない」という注意を受け、中に入れなかったとブログに書いて、物議を醸した。安全性確保のための規則なので、施設、熊田、どちらに非があるという話ではないだろう。しかし、児童館の名前をはっきり書くあたりに、疑問が残る。子育て施設のお粗末さは、少子化にも関わる問題なので明らかにされてしかるべきだが、児童館の名前をあげれば、ネットの時代、少数ではあっても、そちらに抗議する人がいるということは、想像がつくのではないだろうか。3児を育てる社会派ママっぽいようにも思えるが、熊田は「やられたら、やり返す」といわんばかりのトゲを持っているのではないだろうか。

 そんな熊田、今度はインスタグラムのストーリーズに「朝起きて一番にする家事が、一口も食べてもらえなかったご飯の処理」と夫に対する愚痴をアップした。児童館の抗議と同じように「食べるって言ったのに」「このパターンもう100回は経験してるけど、かなりのダメージ」といった具合で、「言われたから用意した(押しつけではない)」「1〜2回のことではない」というように、自分の正当性を匂わせるかのような文章も添えている。

 そのほかにも、義母との確執(義母に食事を誘われて断ったら、義母が熊田の母に電話して、熊田の不心得をなじったり、怒りのLINEが長文で来たこと)や、夫が父の日にもかかわらず外出しようとしたが、頼んだら家にいてくれたなど、不安定な結婚生活を匂わせるものが多い。

 「結婚生活のささいないら立ちを隠さないキャラ」でいくのか、それとも、離婚のために今から自分に否がないイメージをつけようとしているのかはわからないが、どちらにしてもあまりプラスにはならないのではないだろうか。

 夫婦間のことで世間が同情してくれるとしたら、ゆうこりんのような“妊娠中の不倫”をはじめ、モデル・亜希(元夫である清原和博氏は覚せい剤取締法違反で逮捕された)のように、法に触れる案件で、100対0で夫側が悪くないと、意見が割れてバッシングの矛先が熊田に向くこともあるだろう。中途半端な揉め事はダメで、「そりゃ、夫が悪い」と10人中9人に言われるようでないと、自分のイメージだけが落ちて終わってしまう可能性がある。

 料理の件でいえば、幼い子どもが3人もいる中で、きちんと食事を準備したのにもかかわらず、必ず「メニューが悪い」「まずいから、夫が食べない」という人が出てくるだろう。義母の件も、熊田はブログで「義母に子どもを預けた」などのエピソードを書いていることから、「育児を手伝ってもらってるんだから、我慢しろ」という攻撃がないとは限らない。

 昨年4月に『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)に出演した熊田が、「夫が無断で会社をやめ、自分で仕事を始めていた」と語っていた。となると、「自営業の夫が、いつのまにか私の稼いだお金を全部使って事業に失敗した」くらいのインパクトがあるネタを放り込めないと、世間の同情を得るのは厳しいのではないか。

 芸能人が、きらびやかな世界に住む、手の届かない人物だった時代は終わり、今やいかに「あなた(一般人)と一緒」と思わせるかが人気のカギとなっているように思う。もしそうだとするならば、思わず視聴者が絶句するような不幸を引く力と、それをキャラとしてうまく見せる力が、これからの芸能界では求められるのかもしれない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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