雨のシーンと重なる二階堂ふみの胸の内 『ストロベリーナイト・サーガ』再会を誓った最終回

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2019年06月21日 09:01  リアルサウンド

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『ストロベリーナイト・サーガ』(c)フジテレビ

 姫川(二階堂ふみ)の抱えてきた想いが全て明かされた『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系)最終話。前回の続きとして「ブルーマーダー」の後編が描かれた。


【写真】二階堂ふみ撮り下ろしカット


 姫川によって逮捕された木野(要潤)は、姫川立会いのもとガンテツ(江口洋介)に聴取される。姫川は木野の話を聞くうちに、木野の犯行動機が手に取るようにわかってしまい、代わりに話し出す。次第に木野も口を開き、同じ考えであったことを明かした。同じ頃、菊田(亀梨和也)は指名手配犯の岩渕(大下ヒロト)が潜伏しているため茅場組を張っていた。事情を調べていくうちに、岩渕と茅場(相島一之)は木野の仲間であり、ブルーマーダーは1人ではなかったことが判明。菊田は岩渕の身柄を抑えようとするが、岩渕の反撃にあい捕まってしまい、事件は立てこもりに発展。状況を聞いた姫川は菊田を救い出すため、岩渕を説得するのであった。


 説得シーンによって、今まではっきりと明かされてこなかった姫川の本音が全て語られる。過去にレイプ被害にあったこと、その傷が癒えず男性を愛せる自信も愛される自信も持てないこと、自分の身体にかかった呪いにもがき犯人を殺したいと強く思っていること、警察に属することで許しを得た気持ちになれたこと。全てが1話から抱えていた姫川のコンプレックスであり、菊田との関係や、ガンテツに言われてきたことの意味に繋がっている。そんな強烈な思いの丈を二階堂は鬼気迫る芝居で表現した。


 若干24歳にして、姫川が乗り移ったような目で演じきる二階堂ふみ。座長として『ストロベリーナイト・サーガ』を引っ張り、最終話のクライマックスに相応しい好演であっただろう。


 そして姫川は、人質にされた菊田に大塚(重岡大毅)の姿を重ね、命をかけて助けにいく。その決断は簡単なものではない。自分を黙って受け入れてくれた警察組織の中で築いた、姫川班という大切な仲間だからこそできた決断である。だがそこには菊田という男の求めていた愛はなかった。説得を聞いていた菊田もまた、それを痛感し部下という立場で気持ちに折り合いをつけるのであった。姫川は最後に菊田に対して「また姫川班として招集をかけたら来てくれるか」と問う。菊田ははっきりと同意の意思を示し、再会を誓い合った。


 全11話を通して犯罪の裏にある強い憎しみや悲しみが露呈した本作。そしてその事件に重なるように、姫川が抱えていた冷たい思い出が炙り出されていく。雨が降るシーンの多い本作は、そんな姫川の心の内が反映されているようだった。これからも姫川は自分の居場所を守り、警察の中でまっすぐと職務に全うするのだろう。そうすることで、自分の傷と対峙していくのだろうと考えさせられた。


(Nana Numoto)


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