山下智久から“紐倉哲”に向けたメッセージも? 『インハンド』誰もが納得の最終回に

0

2019年06月22日 06:11  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

(c)TBS

 山下智久が主演を務めるドラマ『インハンド』(TBS系)が、6月21日放送の第11話にて最終回を迎えた。セミファイナルの第10話では、高家(濱田岳)の故郷・栃木県相羽村で新型エボラウイルスが発生し、日本中が大パニックに陥るという壮絶な展開に。映画並みのスケールとなった物語はどのようにして幕を降ろすのか注目を集めていた。


 最終回は、大まかに前半パートと後半パートに分けられる。内閣官房・SM(サイエンス・メディカル)対策室にいると言われていた内通者が御子柴(藤森慎吾)と発覚するが、“筋金入りの風見鶏”として、厚労の医政局長・瀬川(利重剛)らを録音データによって不正を立証。肺がんだった福山(時任三郎)が紐倉(山下智久)に未来を託し死亡。山中でエボラウイルスの研究を続けていた福山の息子・新太(磯村勇斗)を紐倉と高家が発見。美園(石橋杏奈)と亡くなった棚橋(平岡祐太)の間にできた赤ちゃんを高家が医者として取り上げる。


 こうして列挙して振り返っても、一つひとつが1話として扱えるほどの濃密な内容だ。特に紐倉が同じ科学者として新太に投げかける「今日が無事に終わらなければ明日は来ない。明日が来なきゃ明後日もない。100年後っていうのはな、そういったかけがえのない毎日の積み重ねでやってくるんだ」というセリフは、経験の差がにじみ出た、万人に刺さる至言だ。


 一方の後半パートでは、高家がエボラウイルスを発症。感染から5日以内に死亡すると言われる中、ついに高家は5日目を迎え、紐倉の言葉も聞こえなくなっていく。第10話での「僕たちが蒔いた種だ」という紐倉のセリフが示す通りに、このエボラウイルスを巡る物語は、5年前、当時助手を務めていた入谷(松下優也)を結果的に亡くした事件から繋がる連鎖だ。ケースは違えど、再び助手を亡くそうとしていることに、紐倉は涙を流し、膝をつく。高家が力尽きて握った手をベッドに落とすシーンは、以前紐倉がビルの上から入谷の手を離してしまった場面を重ねてしまう。


 意識が薄れゆく高家に投げかける「お前が僕を変えたんだ」「だからこれからもずっと僕のそばにいてくれ」というセリフ、紐倉がタイムカプセルに入れるはずだった「20年後の紐倉哲は相変わらず天才的な研究を続けている。優秀な助手と共に」というメッセージは彼の心からの声であり、その願いは生ワクチンの開発によって無事高家の生還と共に叶えられる。牧野(菜々緒)からついにパスポートを発行してもらった紐倉が高家と海外でも仲良く言い争う姿は、20年後も相変わらず凸凹コンビを続けている未来を想像させる。


 紐倉を演じた山下はドラマのクランクアップに「一生忘れないドラマになりました」とコメントしている。最終回の直前、山下は『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し主題歌の「CHANGE」を披露。自身が作詞した楽曲について「信念を貫いていけば未来を変えられるという希望を込めて書きました」と話していた。サビのラストに歌われる〈今-明日-未来「僕が変えよう」〉というリリックは、紐倉の生き方そのもの。「紐倉は意外と重なるんです」(『イブニング 2019年9号』より)という山下の発言も、最終回を終えた今、誰もが納得できる言葉に変わっている。


 「お前が僕を変えたんだ」ーーこのセリフには、『インハンド』を通して一歩次のステップに踏み出した山下から紐倉へ向けられたメッセージが込められているように思えてならない。(渡辺彰浩)


    ニュース設定