Red Velvet、IZ*ONE、TWICE……K-POPガールズグループによる、強力な個性伝えるサマーソング

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2019年06月22日 10:41  リアルサウンド

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Red Velvet『The ReVe Festival Day1』

 夏本番がまもなく到来するが、早くもK-POPの人気ガールズグループ――Red Velvet、IZ*ONE、TWICEよりサマーソングが届いた。正式に発売する前の曲もあるものの、ミュージックビデオはすでに公開されている。ひと足先にそれぞれのサウンドについてリリース順にレビューしていこうと思う。


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 3組の中で最もアグレッシブなのはRed Velvetだ。6月19日にリリースされたミニアルバム『‘The ReVe Festival’ Day 1』のリードトラックである「Zimzalabim」。この音作りは攻めに攻めている。祝祭ムードあふれるドラミングに暴れまくるシンセが絡み、突然さわやかなアイドルポップになったかと思えば、中近東風のミステリアスなリズムに乗せて「ジムサラビム」と呪文をとなえる。


 彼女たちの2017年のヒット曲「Red Flavor」の作者としておなじみのダニエル・シーザーとルドヴィク・リンデルが参加した「Zimzalabim」は、サウンドの隅々から今までのダンスポップを壊して新しいものを生み出そうとする前向きな姿勢が感じ取れる。それでいてRed Velvetが持つガーリー&クールな要素は少しも損なっていないのが驚きだ。このアバンギャルドな作風が現在のK-POPシーンでどう評価されるのか、とても興味深い。


 IZ*ONEの日本2ndシングル曲「Buenos Aires」は、今年5月に行われた初のファンミーティングで6月26日のCDリリースが発表されたが、このたびMVが公開となった。タイトルから想像するに、アルゼンチンタンゴをベースした曲かと思いきや、ジャイブ的なノリやEDM、シンセポップをバランス良く混ぜたトラックと歌謡曲らしいメロディラインで独自の世界を演出する。


 韓国では哀愁のムーンバートン路線でブレイクを果たした彼女たちも、日本のマーケットでは別のスタイルで勝負するのがベストだと考えたのだろう。結果的に2つのカラーを持つことになり、それがライバルとの差別化につながった。日本ではアーティスティックに見せることを避け、あくまでも大衆的な目線を大切する。この潔さを高く評価したい。


 そしてTWICEは“第2章のスタート”と題して新曲を2週連続でリリースする。2つのシングルのコンセプトは太陽と月が放つ“光”とのこと。まずは7月17日に発売となる日本4thシングル曲「HAPPY HAPPY」をチェックしてみよう。こちらは夏の昼をテーマにしたもので、“キュート”“アクティブ”“健康的”といったデビュー当初から変わらないグループのイメージを強調した明快なポップスだ。


 EDMのエッセンスを少し取り入れているものの、全体の印象はストレートなエレクトロポップ。彼女たちの作品の中では、2018年春に韓国で大ヒットした「What is Love?」のサウンドメイクに近い。チアリ―ディング風の掛け声や、〈会えてよかった/どんなときでも/何が起きても/I wanna be with you〉というわかりやすい歌詞、カラフルなMVなど、どれもがTWICEらしさに満ちている。


 もう1つは、夏の夜を表現した日本5thシングル曲「Breakthrough」で、7月24日にリリースされる。「HAPPY HAPPY」が彼女たちの持ち味をさらに推し進めた“王道のTWICE”なら、こちらは“新しいTWICE”を見せた野心作と言えよう。


 「Breakthrough」はコンプレクストロと呼ばれるジャンルに入るサウンドだ。シンセで作られた様々な音の断片を散りばめたトラックは、これまでのシングルになかった雰囲気を醸し出す。タイトルを繰り返すサビやダヒョンとチェヨンのラップなど、すべてがクール&セクシーに響き、〈誰かと比べられても/自分を叫び続けたい〉と力強く歌い上げる。K-POPシーンではここ数年、ガールクラッシュ(女性が憧れる女性)にスポットライトが当たることが多いが、日本5thシングルはこのワードを意識して制作したのではないだろうか。


 旬の3組がリリースした新曲はいずれも強力な個性があり、正直なところ共通点はほとんどない。だが、MVに関してはメンバーをスタイリッシュに見せるという点で一致している。かつては韓流ドラマのように起承転結のあるMVがもてはやされた時代があったが、今は短いカットをテンポ良く編集したMVが主流だ。


 大半のリスナーが動画配信サイトやSNSから音楽情報を入手している現在、短時間で楽曲の魅力をアピールできる映像が求められているのは当然のことだろう。K-POPは早くからそこに気付き、実践してワールドワイドな成功を収めたのだ。(まつもとたくお)


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