カラテカ・入江慎也、「闇営業で吉本解雇」に考える「人脈」なるものの脆弱さ

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2019年06月28日 00:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

入江慎也インスタグラムより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「人脈は金で買えないしね」関ジャニ∞・村上信五
『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系、6月24日)

 6月24日放送『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で、「若い時の自分に伝えたいことランキング」を紹介していた。第1位は「外国語を学べ」、第2位は「海外旅行に行け」、第3位は「人脈を広げておけ」といった結果だった。

 同番組司会の関ジャニ∞・村上信五は「人脈を広げておけ」に同調したのだろう、「人脈は金で買えないしね」と発言していた。

 人脈とは、金で買えない貴重なものであって、ゆえに若いときから、人脈を広げるように心がけておかねばならない。推測だが、村上発言を補強すると、このような意味になるだろう。

 そういえば、かなり昔の話になるが、村上が所属するジャニーズ事務所の先輩・少年隊が一世を風靡していた頃、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)に出演したことがある。その際、演歌の女王・小林幸子が彼らを「ジャニーズ事務所の子は礼儀正しくて、如才ない」と感心していた。ジャンルを問わず、大御所の懐に飛び込み、かわいがってもらうのは“人脈”を広げるのに有効な手段なのかもしれない。

 一般人でも、「〇〇さんを知っている」「××さんと飲んだ」といった具合に、有力者の名前を口にする人がいるが、これも人脈というのが得難いものであると認識されているから、自慢になるのだろう。異業種交流会というものが昔からあるのも、「人脈によって成功の突破口が開ける」と思っている人が多いことを物語っているように感じる。しかし、人脈があればオールOKかというと、ちょっと違うのではないだろうか。

 5月20日放送の『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)では、社長や著名人などと親しくなることで、利益を得ようとする“人脈女”3人が登場した。ジョニー・デップなどの海外セレブと親しいモデル、不動産業など会社社長と交遊がある女優、お笑い芸人と親しいグラドルが出演したが、失礼ながら、彼女たちはいずれもドラマや雑誌の常連ではなく、知名度としては発展途上だろう。彼女たちが人脈(主に男性)から得たものは、食事をごちそうになることや、渡航費や滞在地での生活費、お小遣いまでもらえる海外旅行だと話していた。テレビで話しても差し障りがないネタに絞ったのかもしれないが、「幅広い人脈」が生み出すものとしては、ちょっとスケールが小さくないだろうか。人脈によって得られる利益ではなく、「食事や旅行程度はプレゼントしてもらえるけれど、仕事の直接的なメリットにつながるわけではない」というビジネスの厳しさが、かえって浮き彫りにされたように私には感じられた。

 このように人脈があったところで、仕事でプラスになるとは限らないというのが私の個人的な考えだが、才能に恵まれた人は、人脈をビジネス化できるようだ。「友達5000人」を豪語していたお笑い芸人・カラテカ入江慎也は、株式会社入江コネクションを設立。昨年8月に『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)に出演した際、副業の月収が350万円であり、お笑いでの収入をはるかに上回っていることを明かしていた。

■入江の「人脈」はもう通用しない?

 しかし入江は今月、「フライデー」(講談社)に、事務所である吉本興業を通さずに仲介した営業、いわゆる闇営業の相手が大規模詐欺グループであったことを報じられた。雨上がり決死隊・宮迫博之やロンドンブーツ1号2号・田村亮などの人気芸人も参加していたそうだ。入江をはじめとして全員が「反社会的集団とは知らなかった」「ギャラはもらっていない」と説明し、入江は吉本興業を解雇、宮迫らは当初は厳重注意という処分を下されていた。しかし、その後、金銭の授受があったと認められ、宮迫らも、当面の間謹慎することになった。

 芸人としての活動はできなくなっても、副業としての「イリエコネクション」があるから、大丈夫。そう考える人もいるだろう。しかし、「イリエコネクション」に価値があるのは、入江が吉本興業に所属している現役の芸人の場合ではないだろうか。ビジネスの基本は信用だが、「イリエコネクション」に仕事を頼む人は、入江が知名度のある芸人であることを信用の担保にする人もいるだろう。加えて吉本興業という大きな組織に属しているのであれば、トラブルがあったときに、そこに駆け込むこともできる。

 また、お笑いの世界は、先輩を立てるのが鉄則だというので、入江を助ける後輩が出てくるのではと思う人もいるかもしれない。が、その論理が生きるのは、先輩後輩双方が現役の時ではないだろうか。それに、先輩を常に立てるというお笑いの世界の掟から言うと、今回の騒動は「入江が相手先の素性も確かめずに、先輩に迷惑をかけた。ヘタしたら、先輩の芸人生命にかかわる事件を起こした」とみることもできるだろう。そんなトラブルメーカー入江と現役の芸人が交流を持つかと言われると、首をかしげざるを得ない。

 結局、人脈をビジネスにつなげるために必要不可欠なこととは、大企業など信用されている機関に所属し、自分もそれなりに結果を出す、つまり実力があることではないだろうか。人脈があるから成功したのではなく、それなりに成功すると人脈がついてくる、ということだと思う。「知り合い」や「友達」だからおいしい仕事が回ってくるほど、ビジネスの世界は甘くない。

 冒頭で触れた「人脈は金で買えない」発言の村上は、ポスト中居正広とも言われるMC力で、今、伸び盛りだろう。ここまでの地位を築けたのはもちろん自分の実力だが、大前提として、ジャニーズ事務所所属であることが“信用”を与えてくれていることは、疑う余地はないのではないか。

 つまり、どんなに人脈を築いたとしても、入江のように解雇になっては元も子もない。かつて興行は反社会的勢力が取り仕切ることが多く、ゆえに芸能界とはずぶずぶな関係であった。しかし、時代は変わり、コンプラインス的にそれが許されなくなっている。週刊誌の記者でなくても、スマホさえあれば、証拠の音声や画像が録れて拡散できる時代であるため、自分にとって不都合な話をもみ消すことはできない。 

 安全第一。人脈を広げることより、工事現場でよく見るあの標語を、芸能人のみなさんは今一度かみ締めた方がいいのかもしれない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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  • 今回の騒ぎで分かるのは人脈は量より質って事じゃない?入江氏だって今はどん底でしょう、今助けてくれる人と離れていく人が同数とは思わない。
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