横浜流星の演技のギャップが堪能できる! 『愛唄 ー約束のナクヒトー』で見せた“等身大のリアル”

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2019年06月29日 12:01  リアルサウンド

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(c)2018「愛唄」製作委員会

 横浜流星主演映画『愛唄 ー約束のナクヒトー』のBlu-ray&DVDが、7月2日に発売される。横浜といえば、2019年1月クールで放送されたテレビドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)、通称『はじこい』をきっかけに大ブレーク。「ユリユリ」の愛称で親しまれ、“無敵ピンク“なヘアスタイルも一大ブームに。不良高校生ながら東大合格を目指すひたむきな姿、そして年上ヒロイン・春見順子(深田恭子)への真っ直ぐな恋心を見事に演じ、多くの視聴者の心をときめかせた。


 2019年だけで『愛唄 ー約束のナクヒトー』(1月25日公開)、『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(3月21日公開/Blu-ray&DVD、9月3日発売)、『チア男子!!』(5月10日公開)、『いなくなれ、群青』(9月6日公開予定)と、立て続けに4本の映画に出演。そのうち3本は主演作品だ。また話題のサスペンスドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)にも出演が決定するなど、その人気ぶりは右肩上がり。そんな今をときめく横浜の主演作である『愛唄 ー約束のナクヒトー』も、チェックせずにはいられない。


●無敵イケメンから繊細な青年まで魅せる、目の演技


 横浜のキャリアを語る上で、『愛唄 ー約束のナクヒトー』が欠かせない理由は、その役どころにある。『愛唄 ー約束のナクヒトー』は、人気音楽グループGReeeeNが脚本を担当し、大ヒットソング「愛唄」をモチーフに実話エピソードを織り交ぜたオリジナルストーリー。


 横浜は、恋する勇気を持てないまま余命宣告を受けてしまう真面目な青年・野宮透を演じている。突然、死に向き合わなければならなくなってしまった絶望と孤独感。その苦しみを受け止めきれず、優しい声をかけてくれる友人にも声を荒げてしまう場面も。


 その端正なビジュアルを活かして、『はじこい』ではアツくて真っ直ぐな不良高校生、映画『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』ではちょっぴり口の悪い強引なイケメン……と少女マンガからそのまま抜けでてきたキャラクターを多く手がけている横浜にとって、儚げで繊細な透は異色の役柄だ。それゆえに、改めて横浜の演技力の幅を感じられる作品になっている。


 なかでも特筆すべきは、その眼差し。横浜の目の演技は、まさに「目は口ほどに物を言う」。なかでも、余命宣告を受けて自分自身も動揺している中、“病気のことをちゃんと言わないと“と思いながらも、母親に心配をかけまいと笑ってごまかす場面は、切なさがこみ上げてくる。くるりと上向きのまつ毛とキュッと上がった口角で、一見その笑顔は愛らしい息子そのもの。だが、よく見るとまぶたは少し伏し目がちで全体的に憂いを帯びた眼差しなのだ。


 ヒロインの凪(清原果耶)に対する想いも、親友・龍也(飯島寛騎)への心境の変化も、眼差しで感じることができる。何か言いたげなのに、うまく言葉が出てこない……そんな何層もの感情が読み取れる表情が、キャラクターにリアリティをもたせるのだ。横浜の演技は、少女マンガらしい無敵なイケメンキャラを演じても、死の宣告を目の前にした悲しみにくれる青年を演じても、その心の内にある“不器用な等身大の男子“をリアルに感じさせる。


●ツッコまずにはいられない、愛されキャラな一面も


 『愛唄 ー約束のナクヒトー』Blu-ray&DVDでは、もうひとつ横浜の魅力=素の表情を楽しめるメイキング映像も収録されている。そこから感じられるのは、共演者からもスタッフからもイジられる愛されキャラな一面だ。


 突然、清原にカメラを向けられた横浜。少し戸惑いながらも「ショートコント!」とポスター撮影時の龍也こと飯島のマネを披露してみせる。だが、そのクオリティは……。思わず「伝わるかな〜」というツッコミが入ってしまうのも微笑ましい。


 さらに、海辺の撮影の合間に、またもや清原から「決め台詞を言ってくれるそうなので、海バックでどうぞ!」と、イケメンキャラのリクエストが飛ぶ。素直に応じる横浜だが「この波にのま……」と強い海風で、肝心な声がマイクに拾われず。これにはカメラマンから「声ちっちゃい(笑)」とイジられてしまう。


 さらに、ネコの加工がされるカメラアプリで遊ぶ横浜と清原の姿も。ふたりのケータイ画面をよく見ると、清原は横浜を撮影しているのだが、横浜が撮ったのはどうやら川村泰祐監督。見事な演技力を披露しながらも、素顔は誰もが放っておけない愛されキャラ。そんなギャップが共演者の心を開き、スタッフの「また一緒に仕事がしたい」という思いにつながるのだろう。


●ブレーク前から培った、確かな経験
 横浜の存在を『はじこい』で、はじめて知った人も少なくないかもしれない。だが、実は事務所に入ったのが小6の夏休みと、意外にも長いキャリアの持ち主だ。初仕事は『栄光ゼミナール』のCMで、その後、雑誌『ニコプチ』『nicola』のメンズモデルも務めてきた。


 ドラマ初出演は『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)。その後『リアル鬼ごっこ THE ORIGIN』(2013年)で初レギュラー出演を果たし、2014年にはイケメン俳優の登竜門とも呼ばれるレンジャードラマ『烈車戦隊トッキュウジャー』にトッキュウ4号/ヒカリ役で出演。そして、『愛唄』の第1弾となる映画『キセキ ーあの日のソビトー』(2017年)では、劇中で演じたグリーンボーイズとしてCDデビューも経験……と、順調に実績を築いてきた。


 芸能の仕事を始めて、およそ10年。それにも関わらず、横浜からはいつだって初々しさを感じる。その理由は、彼自身が自己採点を厳しくつけ続け、常に成長しようとしているからかもしれない。6月には『ZIP!』(日本テレビ系)の金曜パーソナリティーとして出演し、先日最終日を迎えたばかりの横浜。初出演後のインタビューに「楽しめた!」と、にこやかに答えていたが、意外にも自分自身には50点と辛口の評価をつける。


 だからといって、変に萎縮することもないのが彼のいいところ。翌週の放送回では、大好物のラーメン食レポに笑顔で挑戦。とんこつスープを飲んで「クリーミー……合ってますか?」と店主の顔をチラッとのぞく。そんな小動物のような仕草は『はじこい』の完成披露試写会&舞台挨拶でも、中村倫也に「子ギツネか!」とツッコまれ、笑いを誘っていたことを思い出す。その謙虚さと思い切りの良さが、多くの人を引きつけてやまないのだ。


 これまでも、これからも新しいジャンルの作品に挑戦するたびに、彼は厳しい自己採点をしていくのだろう。そして、持ち前の素直さと厳しさ、そして大胆さと明るさがあれば、とことん自分自身を磨き上げ、きっと令和の時代を象徴する俳優の1人になるに違いない。その成長の軌跡をリアルタイムで追っていく楽しみを、『愛唄 ー約束のナクヒトー』のBlu-ray&DVDからはじめてみてはいかがだろうか。


(文=佐藤結衣)


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