『なつぞら』清原果耶、言葉にできない思いを見事に表現 電話で“繋がった”奥原三兄妹

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2019年07月02日 12:41  リアルサウンド

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『なつぞら』写真提供=NHK

「もしもし?」
「もしもし、なつ?」


参考:『なつぞら』第81話では、泰樹(草刈正雄)が千遥(清原果耶)に一緒に働こうと提案する


 『なつぞら』(NHK総合)第80話は、前回終盤のなつ(広瀬すず)と富士子(松嶋菜々子)の電話シーンから再開した。千遥(清原果耶)が柴田家を訪れたものの、なつに会いたくないらしいと知り、なつは当惑する。詳しい事情はわからないが、とにかく急いで北海道に戻ることを富士子に伝えたのだった。記憶の中の妹の顔が不意に思い浮かぶなつ。“とても素敵な良いお嬢さんに見える”。千遥について富士子からそう伝えられると、言葉にできない思いが、なつの中でより一層込み上げているかのようだった。


 なつはその後「風車」に電話をして、亜矢美(山口智子)に千遥が帰ってきた旨を話し、仕事場に戻ると、下山(川島明)や麻子(貫地谷しほり)たちには休暇を取ることを伝えたのだった。


 「風車」には事情を知った咲太郎(岡田将生)も駆けつけ、なつ、亜矢美、咲太郎の3人がそろう。「とりあえず、電話してみろよ」と言う咲太郎に対し、「何だか怖い」と言うなつであったが、いよいよなつの方から柴田家に電話をかける。ちょうどその頃、柴田家では千遥が帰ろうとしていた時だったが、なつからかもしれないと思った泰樹(草刈正雄)がその電話に出る。そして、泰樹が千遥に受話器を渡すと、なつと千遥の会話が始まった。


「もしもし」
「千遥? 千遥なの? 千遥、お姉ちゃんだよ」


 「千遥」と呼びかけるなつ、そして「お姉ちゃん」と返す千遥。幼い頃の記憶が蘇ってくる。しばらくの間、離れていた2人が電話越しにつながったその瞬間は、“感動の再会”という言葉だけでは言い表せない特別な雰囲気が、「風車」にも柴田家にも満ち満ちていた。その電話の会話で印象的なのは、なつは「ごめんね」と伝えたことだ。そして、そんななつに対し、千遥は「ご心配おかけして、すみませんでした」と言う。互いの状況に思いを寄せ合う姉妹の姿が、そこにははっきりとあった。


 そして、続けて咲太郎がなつに代わって受話器を握り、思いのたけをぶつけるが、突然の驚きが続いて、千遥は思わず電話を切ってしまう。何をどう上手く言えば分からずに動揺してしまうのも無理はない。だが、その後しばらくして今度は千遥から、なつの元へと電話を掛ける。


「先ほどは、すみませんでした。お姉ちゃん」


 再びなつと千遥が電話でつながる。そしてこの電話の会話の中で、なつは「どうしても千遥に会いたい」と言う。すると千遥も「分かりました。私も会いたいです」と伝えたのだった。電話での会話が続いた今日の物語。表情やしぐさはもちろん分からない。それでも、ナレーションにあったように、「はっきりと家族の時がつながった」瞬間であった。


 そして特筆すべきは清原の名演だろう。電話で話しているだけなのに、そこに千遥が歩んできた人生、そして言葉には言い表せないなつと咲太郎への思いが、わずかに動く視線、声のトーンなどで見事に表現されていた。(國重駿平)


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