挑戦6年目でのIMSA初優勝。マツダ代表「最後の30分は無線が入るたびに心配になった」

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2019年07月02日 17:41  AUTOSPORT web

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「必勝」と書かれた広島・宮島の巨大しゃもじを手に、優勝した55号車マツダRT24-Pに腰掛けるジョン・ドゥーナン代表
6月30日、アメリカ・ニューヨーク州のワトキンスグレンでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第6戦ワトキンスグレン6時間レースが行われ、マツダチーム・ヨーストの55号車マツダRT24-Pと77号車マツダRT24-Pが、チーム初の優勝をワン・ツー・フィニッシュで飾った。

 予選、決勝を通じて速さはあるが、表彰台の頂点に立てない。2018年シーズン最終戦プチ・ル・マンでチーム初のダブルポディウムを獲得したマツダチーム・ヨーストは、今季も第4戦ミド・オハイオで再び2台のマツダRT24-Pが2位、3位となった。

 このレース後、マツダUSAモータースポーツのディレクターを務めるジョン・ドゥーナンは「今回もレースをリードし、ポールも2回とっている。あとは勝利を手に入れるだけだ」と語っていた。

 あれから8週間後、「まもなく優勝を手にすることができる」と自信をみせていたドゥーナンの前にようやく待ち望んだ光景が広がった。ハリー・ティンクネル、ジョナサン・ボマリート、オリビエ・プラ組の55号車とトリスタン・ヌネス、オリバー・ジャービス、ティモ・ベルンハルト組77号車がランデブーでザ・グレンのフィニッシュラインを跨いだのだ。

 前日の予選で今季3度のポールポジションを獲得したマツダは、決勝でも2台が揃ってライバルたちを圧倒するスピードをみせつける。

 スタート直後に相次いだアクシデントからレースがリスタートされると、首位を走る77号車と、2番手につける55号車は3番手以降のマシンをぐんぐんと引き離していく。レース中盤、フルコースコーション(FCY)によって築いたギャップが帳消しになってもマツダ勢の勢いは留まることを知らず、スタートから4時間過ぎまでレースを支配し続けた。

 ところが、レース時間残り1時間あまりで導入されたFCYの影響で、ライバルのアキュラ・チーム・ペンスキーの6号車アキュラARX-05にリードを許してしまう。

 しかし、首位を奪われた55号車マツダはコース上で、僚友77号車マツダも最後のピットストップでこれを逆転し、最終的に2台のマツダRT24-Pが総合1位と2位でフィニッシュ。スカイアクティブ・ディーゼルエンジンを搭載したマツダLMP2から始まった、IMSA最高峰カテゴリーへの挑戦6年目を迎えたチームにとって初めての優勝を確かなものとした。

■「すべてが完璧でなければ、この結果はなかった」とボマリート

「2台のマツダRT24-Pはどちらも優勝に値する走りをみせ、結果としてチーム初の勝利をワン・ツー・フィニッシュで飾ったことは喜びをより大きなものにしただろう」と語るのは長年に渡ってマツダとともに戦ってきたボマリートだ。

「僕は長い間ずっとマツダに所属し、チームと一緒にとても多くの浮き沈みを経験してきた。マツダの社員からチームのエンジニアリング、スタッフ、ドライバーまで、みんながプロジェクトに根気強く取り組んできたんだ」

「今日、僕たちはとても速いクルマを持っていた。まさに勝ちに行く瞬間だった。でも、それにすべてが完璧でなければならず、実際にそうでなければこの結果はなかったと思う」

「この優勝は僕のキャリアのなかで最高の瞬間のひとつになった。プログラムに参加したすべての人と時間そして、それらが生み出したエネルギーのおかげだよ」

「また、達成感は素晴らしいものがあるが、僕はもう来週の週末について考えているんだ。さっそく2勝目を飾ろうじゃないか!」

■オリバー・ジャービス「2位は普通がっかりするものだが、今この瞬間はチームメンバーと一緒に喜びあえる」

 また、77号車マツダを駆り、チームのワン・ツー・フィニシュに貢献したジャービスは「多くのパートナーがこの結果を待ち望んでいたが、ついに実現させることができた」とコメント。

「今日は僕たちにとって特別な日であり、みんながこの結果を誇りに思っている。そして、今後はこれを定期的に行う必要があるんだ!」

「今日のレースで僕たちのクルマは本当に速かった。レースでこれだけのペースの違いが出たのには驚いたが、これにペンスキーが入ってきたことで面白くなった。最後のバトルはとても楽しかったよ」

「僕は2年前、最高のレースをするためにマツダチーム・ヨーストに加入した。レースで2位になれば、がっかりするのがほとんどだけど、今この瞬間はチームメイト、チームメンバー全員と最高の結果を喜びあうことができるよ」

 チームを率いるドゥーナンは「それはアメージングな旅のようなものだった」と初優勝に至るまでの道のりを形容する。

「我々は、優勝に近いと言われながらそれを果たせず、それでも諦めずに挑戦し続けてきた。“飽くなき挑戦”こそが、マツダのフィロソフィなのだ」

「私たちのゴールはマツダファン、マツダオーナー、マツダレーサー、日本やアメリカ、ヨーロッパ、そしてその他世界各国のマツダセールスやその他のスタッフのために、表彰台の真ん中に立つことだった。私たちは、この日を長く待ち望んでいたんだ」

「我々は今回のレースを前に『私たちの1日になるのでは』と感じており、他のコンペティターと立ち向かうことに集中してきた。しかし、最後の30分は、何かが起きやしないかと、無線から何か聞こえるたびに心配したよ」レース終盤の胸中を吐露。

「ソウルレッドクリスタルのマツダRT24-Pがフィニッシュラインを跨ぐのを見て、特別な1日になったことを実感した。これは、マツダブランド全体の勝利だ! これ以上幸せなことはないよ」

 チームの悲願だった初優勝を、伝統あるワトキンスグレンで飾ったマツダチーム・ヨースト。彼らの次なる戦いは7月6〜7日、カナダのカナディアンタイヤ・モータースポーツ・パークで行われるIMSA第7戦モスポートだ。

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