広瀬すず、『なつぞら』トップクラスの長ゼリフを披露 中川大志との未来は絶たれたのか?

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2019年08月02日 12:31  リアルサウンド

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『なつぞら』画像提供=NHK

 仲さん(井浦新)も製作に参加し、なんとか完成に漕ぎ着けた『神をつかんだ少年クリフ』。しかし、その興行は不入りに終わる。


参考:『なつぞら』第108話では、坂場(中川大志)がなつ(広瀬すず)への思いを打ち明ける


 昨日の放送で描かれた仲さんとの和解、そして仲さんが手がけたキアラの熱のこもったデザインを見ると、いやが応にも期待が高まってしまっただけにこの結果はなんとも悲しい。クリエイターたちの情熱とビジネスの成績が必ずしも比例するわけではないことを物語っている。余談だが、実際に1968年に公開された『太陽の王子 ホルスの大冒険』という作品は、製作中断を挟んで完成に3年あまりの時間と当初の2倍の予算をかけたにも関わらず、興行面では失敗という結果に終わった。のちに本作は再評価されており、今では日本アニメーション史を語る上では外すことのできない重要作となっている。


 興行の失敗を受け、坂場(中川大志)は経営陣に呼び出される。井戸原(小手伸也)が「責任は君の暴走を許したこの私にもある。映画部長である私は、その任を解かれることになるだろう。後任は親会社の東洋映画から送り込まれ 我々が自由に企画を決めることはこれでもうできなくなるだろう」と語るように、ともすれば東洋動画の自由な創作環境を奪ってしまうほどの大打撃を与えてしまった。


 社長の山川(古屋隆太)に退職を願い出た坂場は、なつ(広瀬すず)を呼び出し、婚約の解消を申し出る。なつにとっての一番の演出家になりたかった坂場にとって、演出家でいられなくなることは、なつの隣にいる資格を失うことと同義なのだ。


 坂場が13週で語ったアニメーションにしかできない表現、「ありえないことも 本当のように描くこと」という言葉に恋をしてたと明かすなつ。なつのこれまでは、人との繋がりが巡り巡って、ありえないようなところで化学反応を起こして、幸せを運び込むような人生だった。そんななつは、坂場の言葉に、生きる力に恋をしたと強く訴える。


 この「あれは本当に参った」から始まるなつの2分半に及ぶ長セリフは、『なつぞら』最長クラスのセリフだ。複雑なセリフに感情を乗せながら独白するさまは、主演の広瀬すずの底の見えぬ器が垣間見える瞬間だった。


 失意の果てに、茫然自失と部屋に閉じこもるなつ。その知らせを受ける咲太郎(岡田将生)。「もっと大事なものを僕は失ったんです」と明かす坂場。この3人の気持ちがいったいどう交錯するのか。明日放送の17週最終話、これまで以上に見逃せない1話となりそうだ。


(文=安田周平)


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