Aimer、倉木麻衣、miwa、NMB48、BiS……様々な表現に挑み続ける女性アーティストの新作

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2019年08月13日 13:01  リアルサウンド

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Aimer「Torches」

 “闇のなかの光”をモチーフにしたAimerのニューシングル、デビュー20周年を迎えた倉木麻衣のニューアルバム。キャリアを重ねるなかで、様々なトライとともに表現の幅を広げ、変化を続けている女性アーティストたちの現在地を実感できる新作を紹介する。


(関連:ドラマ『あなたの番です』は主題歌でも謎が深まる? Aimer「STAND-ALONE」歌詞を読み解く


 鮮烈なロックサウンドと孤独をテーマにした歌詞がひとつになったデジタルシングル「STAND-ALONE」(ドラマ『あなたの番です』主題歌)に続くシングル曲「Torches」は、TVアニメ『ヴィンランド・サガ』エンディングテーマ。楽曲の幕開けは、オーガニックな弦楽器の響き、そして、切なさと憂いを含んだAimerのボーカル。大陸的な雰囲気を感じさせるエキゾチックなサウンドのなかで彼女は、切実なメッセージと心地よい包容力を共存させた歌を響かせている。「Torches」(たいまつ、火)という曲名が示す通り、“闇のなかの光”を想起させる歌詞もこの曲のポイントだろう。様々な現実に直面しながらも、生きることを諦めないーーそんな祈りにも似た感情こそが、この曲の核なのだと思う。


 デビューシングル『Love,Day After Tomorrow』(1999年)から20年。アニバーサリーイヤーを迎えた倉木麻衣の12thアルバム『Let’s GOAL! 〜薔薇色の人生〜』は、いまやライフワークとなったアニメ『名探偵コナン』とのタイアップ曲「きみと恋のままで終われない いつも夢のままじゃいられない」「薔薇色の人生」、レディー・ガガの楽曲のプロデュースで知られるフェルナンド・ガリバイが参加した「Body talkin‘」のほか、デビュー当初を想起させるR&Bテイストのナンバー、さらにロック、バラード、エレクトロなど多彩なジャンルを取り入れた楽曲を収録。繊細で柔らかい独特の声質を軸にしながら、様々なテイストの音楽に積極的にトライすることで、ボーカリストとしての幅を広げてきた彼女の現在地を示す作品に仕上がっている。


 “こうしたらどうだろう?”“それともこうするべきだろうか?”と悩むくらいなら、複雑な感情を全部捨てたほうがいいーー昨年夏にリリースされた初のベストアルバム『miwa THE BEST』を経て届けられた約1年半ぶりのニューシングル曲「リブート」は、“再起動”というタイトル通り、心のなかにたまってしまったモヤモヤを吐き出し、新たな人生を歩もうとする思いを刻み込んだナンバーだ。現役女子大生シンガーソングライターとしてデビューして9年。20代半ばになった彼女はいま、音楽性やメッセージ、ビジュアルを含めて、新たなスタイルを模索している。「リブート」は、その起点となる楽曲と言えるだろう。エッジの効いたギターのアレンジ、凛とした意志を響かせるボーカルも心に残る。


 山本彩卒業に伴う新体制初のシングル『床の間正座娘』に続く、2019年2作目のシングル曲「母校へ帰れ!」は、いつの間にか“大人になってしまった”と感じている人々に向けたナンバー。何歳になっても失敗するし、成長できない自分がイヤになることもある。そんなときは“母校”に戻って(=10代の学生時代を思い出して)また一からがんばればいい。あまりにも愚直なメッセージだが、真っ直ぐでピュアな雰囲気のボーカルによって、王道の応援ソングに結びつけている。前向きな気分をどこまでも高めてくれるメロディライン、ホーンの音色を取り入れたバンドサウンドは、ロックバンド・universe(現在活動休止中)の永見和也が担当。


 BiSは何度でも蘇る(のか?)。今年3月に解散発表を行い、2度目の終焉を迎えた BiS が、応募総数2000人を超える候補者から選ばれた新メンバー5名で再々始動、1stアルバム『Brand-new idol Society』をリリース。攻撃的なギターロック、パンクロックを軸にしたサウンドメイク、濃密なエモーションを含んだメロディ、そして、BiSの現状とこの先のビジョンを反映した歌詞がぶつかり合う本作は、まるでドキュメンタリー映画のような臨場感、緊迫感に溢れている。軸になっているのはリードトラック「BiS-どうやらゾンビのおでまし-」。〈行かなくちゃ僕ら/何度でも飲み込んでいけ/何度でも行かなくちゃ〉という“そのまんま”の歌詞にわかっていてもグッとくる。(森朋之)


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