欅坂46のパフォーマンスは、”映像の破壊力”と”団体演技”が肝? 東京ドーム公演開催を機に考える

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2019年08月14日 15:41  リアルサウンド

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欅坂46『欅共和国2018』(通常盤)

 欅坂46が『夏の全国アリーナツアー2019』の追加公演として、9月18〜19日に東京ドーム2daysの開催を発表した。4年目にして初の東京ドーム公演とあって大きな期待が寄せられている。


(関連:欅坂46は、メンバーにとって”自分を発見できる場所”に 『別冊カドカワ 総力特集』から考察


 4〜5月に開催されたアニバーサリーライブは大阪と東京の2会場に分け、比較的小さな会場を選んだ分、今までの活動を凝縮したようなライブを展開していたが、今回は打って変わって5万人を収容可能な東京ドームである。何倍も差のある規模の会場でどのようなライブを作り上げるのか気になるところだ。そこで、大きな会場における欅坂46のライブの魅力とは何かについて考えてみたい。


 まず、一般的に大きな会場におけるライブのデメリットとして挙げられるのが、客席から舞台までの距離が遠くなることで演者やステージが小さくて見えにくくなってしまう点だろう。しかし、この点については多くのアーティストがそうであるように、今までも常にスクリーンを各所に設置することで解消してきた。そして、欅坂46のライブはむしろスクリーンを通してでも伝わる”映像の破壊力”が肝である。


 たとえば、2017年の『欅共和国』や同年の全国ツアーなどで、平手友梨奈の見せる鬼気迫る表情がスクリーンに映し出された瞬間に観客がどよめいたことがあった。さらに、2018年の『欅共和国』の終盤で平手の衣裳が早変わりした(ように錯覚させられる)演出は、多くの観客がスクリーンを通してライブ鑑賞していることを逆手に取ったトリックになっていた。メンバー一人ひとりの微細な表情の変化を確認できるのもスクリーンがあってこそ。このように、映像から伝わるものも彼女たちのライブの魅力のひとつとなっている。


 また、たとえ一人ひとりが小さくとも、グループ全体で見せる”団体演技”も欅坂46の魅力だ。


 最新シングル曲「黒い羊」を始めとしたレパートリーの多くは、ステージを縦横無尽に行き来するダンスになっている。個々の動きや振りと同時に、メンバー全員の配置が流動的に変化し、注目されるメンバーの裏でそれを支えているメンバーの存在など、普段のテレビ披露時では確認できない部分も発見できる。舞台全体を俯瞰視点で楽しめるドーム会場は、欅坂46のフォーメーションダンスを堪能するにはうってつけだ。


 逆に、大きな会場でライブを行うことのメリットとして挙げられるのが、小さな会場では実現できないような大掛かりな演出が可能になる点であろう。


 これまでの欅坂46は、影絵などの繊細な演出もありつつ、床が水槽でできたセンターステージと炎の特殊効果の組み合わせなど迫力あるものから、野外ステージでのウォーターショットやウォータースクリーンといった会場の特性を利用したものまで幅広く取り組んできた。そのため、東京ドームとなるとその日だけの特別な仕掛けも予想される。


 たとえば、嵐が先駆けて導入し話題となった「ムービングステージ」(観客の上部を移動する透明なステージ)や、2017年のツアーに登場した「可動式の超特大LEDビジョン」(2083インチの超ワイドスクリーン)などは、特大のドーム会場で”アーティストとファンの距離を縮める”ための画期的な舞台装置だ。乃木坂46が2年前の東京ドームで使用した「プロジェクションマッピング」も、ライブ全体を締めくくる重要な役割を担っていた。(参考:https://realsound.jp/2017/11/post-129587.html)こうした流れに続くような、欅坂46の”目玉”となる演出に期待したい。


 そして、何よりも”大音量の迫力”を体験出来ることと”一体感”こそ、ドーム公演最大の魅力である。今回の公演が発表された時に、ライブの恒例となっている開演時の「Overture」があの東京ドームでシンガロングされる光景を想像し、興奮を覚えたのは筆者だけではないはずだ。それは現地に居合わせた者にとって何にも代えられない体験となることだろう。


 本日8月14日には『欅共和国2018』のDVD/Blru-rayも発売される。欅坂46のライブは映像化されることが少なく、公演の度にファンの間で「円盤化希望!」の声が上がり、もはや合言葉のようになっている。それだけ欅坂46にとってはライブ公演が重要なイベントとして位置付けられているのだ。東京ドーム公演を前に、今一度彼女たちのライブを振り返ってみてはいかがだろうか。(荻原 梓)


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