渡辺麻友と広瀬すずの苦悩 『なつぞら』女性の出産と働き方がテーマに

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2019年08月16日 12:22  リアルサウンド

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『なつぞら』(写真提供=NHK)

 茜(渡辺麻友)の出産、退職をめぐり一悶着あったことでなつ(広瀬すず)も働きながら子を産むことに不安を覚える。しかしその一ヶ月後、なつも妊娠するのであった。『なつぞら』(NHK総合)第119話では、女性の出産と働き方が描かれた。


 翌日から産休に入るという茜は、克己(川島明)、神地(染谷将太)と共になつの家を訪れる。茜が産休の挨拶に行った際、社長から産休明けに契約社員にすると告げられたことを、なつと坂場(中川大志)に伝えにきたのだ。神地は自分ごと以上に腹を立てていた。茜はこれを受けて、出産後は退職すると決めたという。この話を聞いたなつは、自身にもいつか訪れる妊娠について考え、まわりの社員に聞いて回るなど不安そうな素振りを見せた。


【写真】茜(渡辺麻友)の子を愛でる神地(染谷将太)


 そして無事出産を終えた茜は、実際に産んでみると、復職しなくてよかったと漏らした。もちろん子を愛するがゆえの発言だが、その言葉にはどこか、未練を断ち切るためのような切なさも滲む。なつは、これからも仕事を辞めたくないと考えていた。しかし、なつと坂場の前には、まだまだ女性の出産と仕事の両立に寛容ではない時代の、子を産んでから働くという壁が立ちはだかる。


 そうして一ヶ月後、なつもまた医者から妊娠を告げられた。妊娠がわかった時こそ嬉しかったというなつだが、坂場への報告の際は笑顔がなく浮かない表情だ。やはり、仕事を辞めることを気にしていた。しかし坂場は妊娠を心から喜び、出産を望む。そしてなつに「仕事のことは産んでから考えればいい」と話す。坂場は、自身が家で仕事をしていることもあり、なつが育児に困ればいつでもサポートすると申し出た。そしてなつに「君がその道を作るんだよ」と女性の職場復帰への“開拓”を提案するのであった。なつはこの言葉を受け、ようやく子を産むことを喜ぶことができた。


 妊娠がわかったとき、ひとりで喜び、産むことを勧めた坂場は、思い悩むなつを思いやっていないようで少々デリカシーのなさを感じた。しかし坂場は、なつが仕事を辞めないようにサポートすることを伝える。そしてなつの開拓精神に火をつけた。結果的にはなつの気持ちを救ったのだ。


 出産、育児にまつわる就労問題は、現代社会でも根強い。なつのように道を切り開いてきた人がいるからこそ、働きながら出産する女性のための法整備も徐々に整いつつある。過去の開拓者の労を多とする回となった。


(Nana Numoto)


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