”元アウトローのカリスマ”瓜田純士が大ヒットアニメ『天気の子』をメッタ斬り!

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2019年08月16日 21:02  日刊サイゾー

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写真短気の子・瓜田純士と、その妻・麗子
短気の子・瓜田純士と、その妻・麗子

“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士(39)が森羅万象を批評する不定期連載。今回は、新海誠監督の最新作『天気の子』の鑑賞を依頼し、率直な感想を語ってもらった。同監督の前作『君の名は。』を酷評した瓜田だが、果たして今回はどうなるのか……?

『天気の子』が大ヒット中だ。公開から8月11日までの時点で、観客動員584万人、興行収入78億円を突破した。公式サイトなどによると、そのあらすじは以下の通り。

〈高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するように、連日降り続ける雨。そんな中、帆高は一人の少女(陽菜)に出会う。彼女には、祈ることで空を晴れにできる能力があった――〉

 音楽は前作同様、RADWIMPSが担当。小栗旬、本田翼、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子ら豪華声優陣が脇を固める。

 ちなみに数年前、新海監督の前作『君の名は。』に対し、「0点」という厳しい採点をした瓜田だが(記事参照)、その後、評価が変わったという。

「こないだテレビで『君の名は。』を見直したら、案外よかった。RADWIMPSの音楽や、あの絵に慣れたせいもあるけど、ストーリーも凝っていて面白いと感じた。それだけに、この新作には大いに期待している」と言って、新海ファンの愛妻と共に映画館に入って行った。

 さてさて、鑑賞後の心の天気は、晴れなのか、曇りなのか、雨なのか――。劇場の外で待ち伏せて、直撃インタビューを行った。

 ✳︎ ✳︎ ✳︎

――いかがでしたか?

瓜田純士(以下、純士) いやぁ、ひどい!

瓜田麗子(以下、麗子) えええっ!? 最高やったのに……。

純士 まず、この手のストーリーをやるのに新宿を舞台にしちゃダメだと思いました。帆高がチャカ(拳銃)を拾うシーンが出てきたけど、「新宿でチャカ」となると、きっとそれが原因となって、何かものすごくディープな事件に巻き込まれるんだろうなと期待してしまった。

 ところが、チャカにまつわるストーリーが出てこない。監督としたら、チャカを使えばスリリングな映画になると思ったんだろうけど、なんの伏線にもなっていないからガッカリしました。だったら新宿に触るな、と言いたい。新宿はもっと毒々しい世界なのに、街の使い方を間違えてんじゃねーよと。

 そもそもいくら16歳とはいえ、拳銃の不法所持、発砲、公務執行妨害までついて、保護観察処分はないでしょう。本来なら、特別少年院送致になるはずで……。

麗子 うるさいわ! そんな細かいことはどーでもええねん! あのピストルのおかげで緊張感と後半へのつながりが生まれて、めっちゃよかったやん。それにウチもちっちゃい頃、公園でよぉ物を拾ったで。だから、拾った物を宝物にするあの純粋な気持ちがわかんねん。それを、いざというときのためにお守りにしとってんやろな。ホンマは届けやなアカンけどな。

純士 アカンのはこの映画だよ。ヒロインの陽菜にしたって、天気をいじれる能力があるというから、もっと太古の何かの魂が乗り移ったり、新宿のチャカのバイオレンス展開と絡んだりしつつ、壮絶な死とか罰当たりとかタイムトラベルでもあるのと思いきや、たいしたことは起きていない。

 総じて言うと、なんにもない。スッカラカンなんですよ。なのに、終始意味ありげな音楽をかけっぱなしで、帆高が勝手に事態を大きくしているだけ。別に警察から逃げなくてもいいわけだし、「助けるために撃った」と言えばいいだけのことなのに。きっと「彼女が好きで、彼女を守るために逃げる男」ってのが新海監督の中で、ものすごく伝えたい絵だったんでしょうね。だからまったく何も起きていないのに、大声でわめいて冷や汗をかいて、かったるい音楽をかけて、涙をちょちょぎらせながら走り回っている。走っている場合じゃねーだろ! とっとと家に帰れっつーの!

麗子 ひどい……(泣きそうな顔に)。

純士 ごめん、ごめん(と妻に謝る)。でも、これが本音だから。編プロの男が「月刊ムー」のライターっていう設定はいいにしても、それが物語に効果的に絡んでいない。「今こういう都市伝説を検証しているんだが、俺はおっさんだから向いていない。ちょうどおまえぐらいの年齢の子を探していた。ちょっと潜入取材に行ってこい」ってことで帆高が事件に巻き込まれ、その最中に謎の少女と出会い、発砲したチャカの硝煙がきっかけで古代の天気にまつわる壮大なスケールの話に発展して……とかならいいけど、そういう感じでもなかったじゃん。

 で、ここで走らなきゃいいのにって場面で、ことごとく走り出すでしょ、あの帆高ってバカは。チャカだってとっとと捨てればいいものを、なぜか後生大事に抱えたまんま逃げている。陽菜の能力にしたって、なぜ備わっているのかの説明が足りないし。

麗子 説明、あったで。

純士 あったけど、足りない。腑に落ちないんだよ。天気をいじったことのひずみで、街一個を吹き飛ばしちゃうとかの大事に至るならわかるけど、そこまでのことは起きていない。好き勝手に能力を使って、勝手に少女が消えて行く。そして意外と簡単に再会できちゃうから、前作のような切なさもない。そのくせ、泣かせの音楽だけはしつこくしつこくかかっている。いつドラマチックなことが始まるの? と待っているうちに2時間が終わっちゃった。本当に新海って子は……。

麗子 ラブホのシーンとか、めっちゃほほえましかったし、キュンキュン来たやん。

純士 せいぜいあそこがハイライトでしょう。でもそれにしたって、新海監督が憧れていたであろう思春期の子どものちっぽけな冒険みたいなもんを、とんでもない大ごとをやらかしているように見せているだけ。監督の人生経験が浅いから、あんな陳腐な物語になっちゃったんでしょう。

 帆高を追うリーゼントの刑事の走り方もまたキモいんですよ。で、帆高が逃げている最中に、なぜか女上司がタイミングよくバイクで現れる。ルパン三世の峰不二子がやるなら、ああいうご都合主義も許せるんですよ。でも、あの絵のタッチでやられると興醒め。ああいうルパンみたいなスリリングな展開を一切遊んでないオタクが手がけるとこうなっちゃうのか、という悪例だと思いました。

麗子 モンキーパンチ(ルパン三世の作者)も、そんなに遊んでいないと思うで。

純士 でも、モンキーパンチにはセンスがあるじゃん。

麗子 それは贔屓目やわ。

純士 いや、新海監督にはセンスがないの! 警察モノとか事件モノに手を出すのは、向いていない。あと、コミカルな描写も不向きかな。てるてる坊主のシーン。あれで笑わそうとしているんだとしたら、センスがないですね。

 新海監督は男女の青くさいイチャイチャ描写のセンスはあるんだから、「今、私の胸元見てたでしょ?」「い……いや、見てません(照)」みたいなのを2時間たっぷりやってりゃいいんですよ。RADWIMPSも気の毒だよ。こんな監督に気に入られてさ。

麗子 こんな最高な映画を純粋に楽しめへん純士のほうがよっぽど気の毒やわ! どんだけ文句を言うたら気が済むねん!

純士 まだまだ文句は言い足りないね。ストーリーの進め方も気に入らない。もっと登場人物の会話や絵で物語を説明してほしかったのに、モノローグと音楽でグイグイ進めちゃっていたから、それはちょっと違うんじゃないかと。

 あと、天気を操るという大きなテーマを扱うんであれば、それなりの解説がないと。そんなでかいテーマに触っておきながら、納得いく解説がない。解説不足を、音楽や喜怒哀楽の表情でごまかしている印象を受けました。

 女や子どもはだませても、本とかが好きな大人の男は、この手の作品が苦手だと思うわ。思春期丸出し男の「全部俺のせいで」という思い込みで、勝手にトラブルを大きくしやがって。新海監督は、自己投影しているのかわかんないけど、ああいう主人公が好きなんだろうな。その感覚が俺には理解できないわ。

麗子 そこがええねんやん! どこにでもおる普通の子が、純粋な気持ちで頑張っているところに胸を打たれるねん!

純士 誰だって頑張っているよ。俺だって。

――奥様はこの作品をどのように評価していますか? 

麗子 大満足です。ホンマに素晴らしい作品やと思います。哀愁と、まっすぐさと、キレイな心と、キレイな絵。しかも音楽もええところで入ってくるから、ええ意味で「もうホンマに新海って子は(ハート)」と思って(笑)。

純士 単なるファンだろ。

麗子 うん。やっぱウチ、新海監督とRADWIMPSの大ファンやわ! 今回、『君の名は。』の瀧と三葉が出てきたシーンもあったやろ? あれ、新海ファンのウチからしたら、めっちゃうれしかったわ〜!

純士 悪いけど、そんな嫁の感性を俺は全否定するわ。本当に吐き気がする。

麗子 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで、純士は新海監督が嫌いやから、なんでもかんでも気に食わんとイチャモンつけてるだけなんちゃう?

純士 いや、違う。前作を見直して、新海監督の才能も見直したんだって。これを活字で読んだら面白いだろうな、と思ったんだよ。だからこそ、今回は残念だった。期待していた分、余計に腹が立ってきちゃって。

 何度も言うけど、全体的に何も起きていないんですよ。始まってもいなければ終わってもいないままエンドロールになっちゃった。猪木とアリの試合と一緒ですよ。演出は派手だし、本人たちは決死の戦いのつもりだけど、実は何も起きていないっていう。

麗子 純士はお小言が多すぎる。小姑みたいで鬱陶しいわ。ウチは『君の名は。』のときもそうやったけど、終始涙が止まらへんかったわ。今回はネギを切っているシーンでも涙が出てきたもん。ネギやから泣いたんちゃうで。あの思いやり言うんかな。男女の距離が少しずつ縮まっていく感じにホロッと来たんや。

純士 なんで帆高が陽菜をそんなに好きになったのかもよくわからないけどなぁ。マックでハンバーガーをもらった程度のことで、「陽菜! 陽菜!」って、あそこまでなるかね?

麗子 それが思春期の恋やねん。些細なことから惹かれ合うもんやろ?

純士 あんなに思い込みが激しかったら病気だよ。もっとルパンのように、オシャレにできないもんかね。

麗子 普通の男の子やもん。そんなん期待したらアカンわ。

純士 宮崎駿の作品だって、普通の人が登場するけど、もっと壮大な物語があるじゃん?

麗子 駿に近ない?

純士 近くないよ。

――新宿が主な舞台だったことに対し、奥様はどのように感じましたか?

麗子 ウチは新宿在住やから、めっちゃうれしかった! 街の再現度がすごかったですね。あ、ここ行ったことある! あ、ここも知ってる! って感じで、物語に一層入り込みやすかったです。

純士 バイトがなかなか見つからず、行くあてもなく新宿をさまよう。そして人の冷たさに打ちひしがれながら、野良猫に餌をやる。その展開が古いっつーの。そもそも家出してないで早く帰れよ。なぜ帰らないのかの説明もないし。

麗子 思春期の男の子はいろいろあんねん。音楽もアカンかった?

純士 ただただ耳障り。音楽って、ここぞの場面に取っておかないとダメだと思うんだけど、この映画では「曲を流すのは今じゃねーから!」のオンパレード。あんなにしつこく流されると、耳と心が疲れちゃう。

麗子 そんなん言わんといて。RADWIMPSも最高やったけど、あの女性ボーカル(三浦透子)の歌は、あいみょんの100倍よかったやん。

純士 あんな場面で使われたら、あの歌手もかわいそうだよ。

麗子 純士の心ない言葉の数々を、純粋な新海監督がもし読んだらと思ったら胸が痛い……。かわいそうやわ……。

純士 ぜひ読んで傷ついてほしい。そして、次回に生かしてほしい。

――今のところ辛辣な意見しか言っていない純士さんですが、強いてよかった点を挙げるなら?

純士 街の細かい風景描写は評価できるけど、そんなのはソフトでなんとでもなるし。あの独特の人物の絵にはだいぶ慣れたけど、それでも表情が乏しい気がしました。家出中の横顔も、疲労困憊しているようには見えないし。

麗子 それ、よかったところちゃうやん!

純士 よかったところを探すのに、ここまで苦労する映画もなかなかないんだよ。

麗子 純士はひねくれすぎやねん。ウチも泣いたけど、隣のおばちゃんも、前の席の子どもやおっちゃんも、号泣しとったで。今回は純士も感動してくれていると思っとったら、全然違うかってんな。

純士 誤解なきよう言っておくけど、俺は決してあまのじゃくでコキ下しているわけじゃないからね。純粋に思っていることを言っているだけ。

麗子 悲しいわ。もっと価値観一緒になって、一緒に泣きたかったのに……。

純士 一つ確認するけど、ちゃんとストーリーを理解した上で泣いた?

麗子 当たり前や! ストーリーも絵も音楽もキレイやから感動したんや。

純士 絵と音楽にだまされているんじゃない?

麗子 ちゃうわ! ストーリーもいろんな角度から、こう来て、こう来て、こう来たやん(と言って方々から矢が飛んでくるような仕草)。

純士 こう来ても何も、ほとんど何も始まっていないんだけどな……。

――今のところベタ褒めの奥様ですが、不満点はありましたか?

麗子 最後のほうの展開があまりにも現実離れしているところと、猫はカロリーメイトを食べへんやろ? ってところと、都会のマックにあんな親切な店員はおらへんわってところだけが引っかかった。ウチ、上京して間もない頃、よぉ疲れ果てて新宿のマックで寝てもうたんやけど、いつもゴッツい警備員が問答無用で起こしにきたからな(笑)。以上3つのリアリティの欠如で、3点だけ減点やな。

純士 結局、「こんな青春っていいな」っていう監督の幻想を描いているだけなんだよな。俺がスポンサーだったら、監督にカネを渡して、「もっと歌舞伎町で遊んでこい!」と言いますね。

麗子 新海監督は女の人に対してキレイな夢を見てくれてんねん。そやから、作品もキレイやねん。

純士 フォーエバー・チェリーボーイかよ……。

――まあ、それこそが新海監督の持ち味という声もありますけどね。

純士 結局のところこれは、凡人のための映画なんでしょう。例えばですが、あるサラリーマンが財布を落とした。それを誰かが拾って警察に届けたとしましょう。凡人はそれを見て「いい人だ」と言って泣くんです。

麗子 ウチのこと、ディスってんのか?

純士 そうじゃないけど、俺みたいなタイプの人間は、そんなことでは感動しないんだよ。落ちた財布からハミ出た免許証の写真を見て、シャーロック・ホームズみたいな奴が、「むむっ、この顔には見覚えが!」と言って、警察には届けずに尾行を開始する。そういう物語に面白みを感じるんですよ。

麗子 そんな奴、おるか!

純士 何事も、ひねったり凝ったりオシャレだったりするほうが面白い。だから俺は、タカキューの服よりもイタリアのファッションのほうが好きなんだよ。

麗子 ウチもタカキューは嫌やで。フォーエバー21は好きやけど。

純士 もしこの映画が中国で売れたら、やっぱりなと思う。中国では売れても、イタリアやフランスでは売れないはず。

麗子 全世界で売れるわ!

純士 とにかく今回の作品は俺には無理だわ。こんなに熱を持って話しているのが嫌になってきたわ。

麗子 嫌よ嫌よも好きのうちや!

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 瓜田純士は正直者だが、お天気屋なところがあるのも事実。あれだけボロクソにけなした『君の名は。』を、のちに「面白い」と評した前例もあるため、新海監督の次回作が出る頃に再び『天気の子』の感想を聞いてみるのも一興かもしれない。
(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)

『天気の子』瓜田夫婦の採点(100点満点)
純士  0点
麗子  97点

※瓜田純士のYouTube好評配信中!(瓜田純士プロファイリング) https://www.youtube.com/channel/UCv27YAy0FZ-4wwisy5zPmeg

※「“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき」の記事一覧 https://www.cyzo.com/cat8/outlaw_charisma/

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  • この人に聞く時点で間違い。奥さんの方が、まだマシ
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  • 君の名はも天気の子も観ていません。絵が苦手です。
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