Hey! Say! JUMP、CHEMISTRY、須田景凪……映像作品とアーティストの豊かなコラボレーション

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2019年08月20日 13:11  リアルサウンド

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CHEMISTRY『CHEMISTRY』

 山田涼介の主演ドラマ『セミオトコ』(テレビ朝日系)主題歌として話題を集めているHey! Say! JUMPの「ファンファーレ!」、自身10年ぶりのドラマ主題歌となったCHEMISTRYの「Angel」、注目のアニメーション映画『二ノ国』の主題歌「MOIL」を含む須田景凪の新作EPなど、ドラマ、アニメ、映画などの主題歌となった新作を紹介。映像作品とアーティストの豊かなコラボレーションを楽しんでほしい。


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 Hey! Say! JUMPの25thシングルの表題曲「ファンファーレ!」は、山田涼介が“命を救ってくれた女性に恩返しするために人間に姿を変えたセミ”を演じるドラマ『セミオトコ』の主題歌。7日間の限られた命を大切な人とともに生きることにかけた“セミ”の感情を反映したこの曲は、切なさと愛らしさをたっぷり込めたメロディ、ピアノ、ストリングス、スティールパン、パーカッションなどを取り入れた華やかなサウンド、“限りある人生を思い切り生きよう!”という思いが込められた歌が印象的なサマーチューン。気持ちよくハジけられるビートと奥深いメッセージを含んだ歌詞をバランスよく共存させることで、幸福感と普遍性を同時に味わえるナンバーに導いている。


 9月25日に再始動後初となるオリジナルアルバム『CHEMISTRY』のリリースを控えたCHEMISTRYから、アルバムのリードトラックとなる両A面シングルが届けられた。「Angel」はドラマ『それぞれの断崖』(フジテレビ系)の主題歌として制作されたミディアムバラード。90年代のR&Bを想起させるトラック、ブルージーなアコギ、壮大なストリングスがひとつになったサウンド、そして、愛と憎しみに引き裂かれる人々を描いたドラマの物語とリンクした歌詞。人間の深遠をリアルに歌い上げる、二人の成熟味に溢れたボーカルが絶品だ。80年代のソウル〜AORをアップデートさせた「Still Walking」における、爽やかさと切なさが溶け合う歌声も気持ちいい。懐かしさを意図的に反映させた松尾潔氏の的確なプロデュースワークは流石の一言。


 今年1月22日に約5年ぶりとなる日本武道館ワンマンライブを開催、さらに初のベストアルバム『阿部真央ベスト』をリリースするなど、10周年を迎えて精力的な活動を継続している阿部真央のニューシングル『どうしますか、あなたなら』は多部未華子主演のドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK総合)の主題歌。爽やかな雰囲気のバンドサウンド、解放感のあるメロディライン、そして、〈完璧な自分を諦める勇気を/ダメな自分も愛せる生き方を〉というフレーズがひとつになったこの曲は、ちょっとだけ自分を変えようとする主人公の姿を描いたドラマの物語とリンクしているのはもちろん、10周年を契機にして自分の殻を破ろうとしている阿部真央自身のモードとも重なっているようだ。


 今年1月に1stEP『teeter』を発表。7月14日には東京・中野サンプラザホール公演を成功させるなど活動の規模を拡大させ続けている須田景凪が2ndEP『porte』をリリース。「veil」はTVアニメ『炎炎ノ消防隊』(TBS系)エンディング主題歌(幼いときのトラウマを抱えた主人公・森羅日下部にフォーカスしたアッパーチューン)、アニメーション映画『二ノ国』の主題歌「MOIL」(〈大人になった 大人になってしまったみたいだ〉というサビのフレーズが印象的なミディアムナンバー)を含む本作は、J−ROCKとボカロ文化の融合をさらに押し進め、アーティストとしての独創性を際立たせた作品。個性的なリズムアレンジと重層的なギターアレンジ、超キャッチーな旋律を含め、心地いい違和感とポピュラリティーを同時に楽しめる楽曲が並ぶ。


 デビュー作『inside you EP』、2nd EP『Wonderland EP』がスマッシュヒットを記録、ハスキーでダイナミックな歌声を音楽ファンにアピールしたシンガーソングライターmilet。この夏は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』、『SUMMER SONIC』などの大型フェスに出演も果たした彼女の3rdEP『us』の表題曲は、ドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系)の主題歌。どこかエキゾチックな香りが漂うメロディライン、フォークロアとエレクトロを融合させたサウンドが、シンガーとしての彼女のスケール感を際立たせている。“好き”という言葉を伝えられず、葛藤と愛情の挟間で揺れ動く感情を描いた歌詞も印象的。心の内側にある複雑な思いを大らかに解き放つ表現力にもぜひ注目してほしい。(森朋之)


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