ENDRECHERI、新アルバム『NARALIEN』が堂々の1位獲得 楽曲から溢れ出す堂本剛の色気

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2019年08月25日 01:21  リアルサウンド

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リアルサウンド編集部

 参考:2019年8月26日付週間シングルランキング(2019年8月12日〜2019年8月18日/https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2019-08-26/)


(関連:堂本剛は時間も空間も超えた大きな流れの中で歌う 『東大寺LIVE 2018』映像から感じたこと


 2019年8月26日付のオリコン週間アルバムランキングで1位を獲得したのは、堂本剛のソロプロジェクト、ENDRECHERIが放った新作『NARALIEN』。推定60,852枚を売り上げて、2位にダブルスコアをつけて堂々の首位を飾った。次ぐ2位と3位も初登場だ。2位はSUPER★DRAGON『3rd Identity』で31,239枚。そして3位は倉木麻衣『Let’s GOAL!〜薔薇色の人生〜』で19,998枚。


 Aqoursとしても活動する声優の斉藤朱夏が発表したソロデビューアルバム『くつひも』が初登場5位を記録しているのも注目したい(売上は13,038枚)。声優のソロアーティストデビューがコンスタントに続くなかでも印象的なスタートだ。はつらつとした歌声を中心に据えつつ、ストリングスをフィーチャーしたバラードからミッドテンポのナンバーで固めた内容も、爽やかな直球J-POPという趣の良作。


 さて、今回取り上げたいのは、なんといってもENDRECHERI『NARALIEN』。前作『HYBRID FUNK』から約1年3カ月ぶりのリリースで、堂本剛本人のストレートなファンク愛が突き詰められた内容となっている。


 もともと堂本剛は音楽性や作品が如実に示すファンクへの傾倒ぶりを通じて、その筋の愛好家からもその名を知られていた。個人的には、2016年のゴールデンウィークに放送されたNHK-FMの特番『今日は一日”JB(ジェームズ・ブラウン)&ファンク”三昧』にゲストとして招かれ、ファンク愛をとうとうと語っていたのが印象深い。さらに、近年は音楽フェスへの出演を通じて、人気の幅をより広げている。「あのフェスで見たけどとにかくライブがヤバかった」、なんて感想がよく聞かれたものだ。


 とはいえ、いかにENDRECHERIが「本格的」で「ファンクをわかっている」プロジェクトか、あるいは堂本剛が敬愛するPファンクをいかに再現できているか、みたいな話をしたいわけではない。そもそも筆者がファンクにそこまで造詣が深くないということもある(どう考えても堂本剛のほうがずば抜けて愛も知識も深いだろう)。


 むしろ、そうした音楽性からあふれ、はみ出ている堂本剛の存在感こそ注目すべき点かもしれない。じりじりと反復するリズムとリフから生まれる抑制されたセクシーさであれ、キレ味の鋭いカッティングと抜けの良いビートが醸し出すグルーヴであれ、あるいはややいなたさの残る泣きの歌メロであれ、いずれもファンクという音楽が内在してきた要素ではある。しかし、最新作『NARALIEN』をはじめとしたENDRECHERIの近作が放っている色気は、やはり堂本剛のキャラクターあってこそのものであるように思う。


 実際、アルバムを一聴して思い浮かんだのは、「本格派のファンクだ!」なんていういまさらな感想ではなく、「堂本剛の歌、めっちゃいい……!」のひとことに尽きる。


 「NIPPON ENDRE ver.」や「音楽を終わらせよう HEIAN ver.」は、彼の過去のレパートリーを現行ENDRECHERIの演奏でリアレンジした楽曲だが、ここで聴けるややクドめでもある発声と節回しは、なんともセクシーだ。思い返してみればKinki Kidsでの数々のヒット曲を通じて多くの人が親しんできた、節々にケレン味や過剰さを湛えた彼の歌声を、いちばんおいしく味わえているのがENDRECHERIなのではないか……とさえ思う。さらに、リズムの処理、とくに発声のモタらせ方や声の長さのコントロールが抜群に切れ味が良い。「FUNK TRON」や「4 10 cake」の軽快なグルーヴにも、「NARALIEN」の荒々しく痙攣的なグルーヴにも的確にのりこなすリズム感覚は素晴らしい。


 堂本剛のジャンルに対する理解度や愛の深さを伺い知れるだけではなく、彼自身の魅力をファンクにのせてありありと感じ取れる、そんな一枚だ。詞やアートワークを通じて表現されているユニークな世界にも深入りしてみたいところだが、また別の機会に。(imdkm)


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