撮影監督カルロ・ディ・パルマの功績を振り返る ドキュメンタリー映画『水と砂糖のように』公開へ

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2019年09月10日 12:02  リアルサウンド

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『水と砂糖のように』(c)2016 ACEK s.r.l『水と砂糖のように』

 イタリアの撮影監督カルロ・ディ・パルマについてのドキュメンタリー映画『水と砂糖のように』が、11月30日より東京都写真美術館ほかにて公開されることが決定した。


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 映画史上の功績を讃え、ヨーロッパ映画賞撮影賞では「カルロ・ディ・パルマ賞」と自身の名前が付けられているディ・パルマのキャリアは、ルキノ・ヴィスコンティの初監督作『郵便配達は二度ベルを鳴らす』に参加した15歳から始まり、第二次世界大戦後の映画を革新したネオレアリズモとともに開花。モノクロからカラーに移行する中で、ミケランジェロ・アントニオーニとともに『欲望』『赤い砂漠』を生み出し、長きにわたるウディ・アレンの撮影監督として、『ハンナとその姉妹』などに携わった。


 本作は、アレンをはじめ、ヴィム・ヴェンダース、ベルナルド・ベルトルッチ、ケン・ローチ、ニキータ・ミハルコフ、フォルカー・シュレンドルフ、ミラ・ネールなど、多くの映画監督や関係者の証言で彼の才能とともに魅力あふれる人間性をあぶり出す。また、彼が撮影した、ロッセリーニ、ヴィスコンティ、デ・シーカ、ジェルミ、アントニオーニ、スコラ、ベルトリッチ、アレンなどの25作品の一部も挿入されている。


 プロデューサーは、ディ・パルマと人生を共にした女性アドリアナ・キエサ。キエサが選んだ監督ファリボルス・カムカリは「これは伝記映画ではありません。カルロ・ディ・パルマの生涯と仕事を顧みて再構築することは、映画の『黄金時代』の手法と価値を呼び覚まし再発見することです。もちろんイタリア映画のことですが、それは世界中の映画の作り手に衝撃と影響を与えた映画なのです」と語る。


 メインビジュアルは、彼が参加した作品の場面写真、タイトルロゴで構成され、そのスチールの間にディ・パルマの撮影時のメイキング写真が散りばめられている。印象的な赤のロゴは、モノクロからカラーに移行した時に、彼の素晴らしさを代表する色となった“赤”がモチーフとなっている。


■コメント
●フランチェスコ・ロージ監督
私たちは、真実の瞬間を再現するという映画への愛と情熱を共有していた。


●ベルナルド・ベルトリッチ監督
カルロは、台本を読み取ってそれを表現できる最高の撮影監督だ。


●ニキータ・ミハルコフ監督
モノクロ映画における技術を洗練させたのがジャン二・ディ・ヴェナンツォなら、カラー映画においてはカルロだ。


●エットーレ・スコラ監督
カルロは物語の魂である雰囲気というものに細心の注意を払った。


●ヴィム・ヴェンダース監督
私が学び私をかたちづくったすべての映画の現場でカルロは生きていた。


●ウディ・アレン監督
彼は、とても秀でた構成力と色彩感覚の持ち主。何をすべきか本能的に分かっていて、彼がやると、いつだってすばらしく見える。


(リアルサウンド編集部)


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