なつと千遥がついに家族に 『なつぞら』清原果耶が打ち明けた切実な望み

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2019年09月19日 12:01  リアルサウンド

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『なつぞら』写真提供=NHK

 なつ(広瀬すず)のいる“マコプロ”を、またも実妹の千遥(清原果耶)とその娘の千夏(粟野咲莉)が訪れた。前回この姉妹が会ったのは、千遥の働く小料理屋「杉の子」に、“ただのお客”としてなつたちが足を運んだ時だったが、それは千遥の希望でもあった。しかし、どうやら今回は、千遥がなつのことを実姉として、家族として頼ってきたようだ。


参考:『なつぞら』天丼から感じた清原果耶のルーツ 止まっていた姉妹の時間が動き出す


 連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合)第148話では、千遥がなつに、「杉の子」を辞めたいと打ち明けたのである。


 また千遥に会えたなつだが、やはり千遥の態度は妙にぎこちなく、よそよそしい。しかし彼女は生きるため、そして、幼少期の彼女を拾い育ててくれた人々のため、本当の家族であるなつたちとの関係を断ってきたのだ。なつのことを家族だと認めてしまえば、彼女の出自を知らない嫁ぎ先で問題となるし、そもそも、これまで生きてきた自分自身を否定することにもなるのではないだろうか。


 だが千遥はそこで一言、「お姉ちゃん」と口にする。なつや兄の咲太郎(岡田将生)らが「杉の子」を訪れた際、カウンターを隔てて調理場に立つ彼女は孤独であった。みなからの“涙攻め”にも屈せず、努めて冷静に他人を演じ、“お客と料理人”の関係を保とうとしていたのだ。彼女の前には実の家族がいて、自分に向けられた好意をたしかに感じていたはずであるが、それを正直に受け止めることがあってはならなかった。これを孤独と言わずしてなんと言うのだろう。


 そんな千遥が「お姉ちゃん」と口にした理由。それは、なつを家族だと認め、助けて欲しいからである。彼女は店を辞めたいようだ。18歳の時に料亭の次男の元に嫁いだらしいが、現在その彼には、千遥以外に別の女性との関係があるという。


 しかし、「杉の子」を作った、千遥の夫の父には恩義があるし(すでに亡くなっている)、出自を偽って結婚したのだから、これがバレたら育てのお母さんにも迷惑がかかる可能性が大。そして愛娘・千夏の親権もどうなるか……というのである。だが彼女は、これからは“堂々と生きたい”という切実な望みを持っている。


 「また家族になってくれる?」と千遥はなつに問いかけるが、たとえ誰に否定されようとも、なつは彼女の手を握りしめるだろう。もう独りじゃない、千遥には本当の家族がいる。


■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。


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