NHK朝ドラ『スカーレット』放送目前。戸田恵梨香が陶芸家役に挑む

1

2019年09月28日 19:20  CINRA.NET

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

CINRA.NET

『スカーレット』ポスタービジュアル(画像提供:NHK)
NHK朝の連続テレビ小説『スカーレット』が、9月30日から放送される。通算101作目のNHK「朝ドラ」となる。

『スカーレット』は、滋賀・信楽の女性陶芸家・川原喜美子が主人公。第二次世界大戦直後、大阪から家族で信楽にやってきた喜美子が、男性ばかりの陶芸の世界に飛び込み、やがて自らの窯を持ち、独自の信楽焼を生み出そうと奮闘する様を描く。

ヒロイン・喜美子役を演じるのは、戸田恵梨香。脚本は『夏子の酒』『ホタルノヒカリ』『母になる』などの水橋文美江、音楽は『アシガール』などの冬野ユミが手掛けている。ナレーションはNHKの中條誠子アナウンサーが担当。

■明るくユーモラスな序盤。子供時代の喜美子役を演じる川島夕空が、主人公のキャラクターを強く印象づける好演。

先日にNHK放送センターで行なわれた試写会で、いち早く第1週放送分を鑑賞する機会を得た。全体的に明るくユーモラスな雰囲気で、「さすが朝ドラ」と思わせる安心感があった。試写会に集まった報道陣から笑いが起こるようなシーンもあったし、敗戦直後の貧しさ、やるせなさの描写もあるとはいえ、話がテンポ良く展開するためストレスは感じない。

第1週では主人公・喜美子の幼少期を描いており、戸田恵梨香ではなく子役の川島夕空が喜美子役を演じている。2008年生まれの川島は、埼玉出身ながら関西弁の演技も達者で、明るく活発で負けん気が強く、どこか抜けているが憎めない、そんな喜美子のキャラクター像を強く印象づける演技をしていた。

■個性的なキャスト陣。注目は父役の北村一輝&謎の男役の佐藤隆太

喜美子を取り巻く登場人物の中でも、とくにインパクトがあったのが北村一輝演じる父・常治。人情深いお調子者で、金と酒にだらしなく、トラブルメーカーでもある常治のキャラクターには、視聴者も大いに振り回されることだろう。母・マツ役の富田靖子や、喜美子に大きな影響を与えるであろう謎の男性・草間宗一郎役の佐藤隆太も光っていた。

子役たちの演技と、成長後のキャストにも注目だ。喜美子の妹・直子の子供時代はやくわなつみが演じているが、成長後は桜庭ななみが演じる。序盤はおんぶされている乳幼児の百合子の成長後は、福田麻由子が演じる。喜美子の同級生でお嬢様の照子の子供時代は横溝菜帆、成長後は大島優子が演じる。気の弱そうな同級生・信作の子供時代は中村謙心、成長後は林遣都がキャスティングされている。

■主題歌はSuperfly、OP映像は川村真司が制作に参加。「火」が作品を貫くテーマ?

主題歌はSuperflyの書き下ろし曲“フレア”。タイトル映像はクレイアニメーションをほぼ全編にわたって使用したもので、川村真司が制作に携わっている。なにかを形作る楽しさを感じさせる映像だ。

番組オフィシャルサイトでは番組タイトル『スカーレット』について、「緋=火に通じ、陶芸作品に表れる理想の色のひとつ」とし、「陶芸では、窯をたく炎が勝負。熱く燃えるような、情熱的な人生につながる」と説明されている。主題歌“フレア”についてSuperflyは、「川原喜美子が“炎”と向き合い作品を作る姿に共感し、私にとっての“炎”はものをつくること・生きていくための好奇心や好きという気持ちを表しているものだと気付きました」とコメントしている。

番組オフィシャルサイトで視聴できる予告編は、火と相対する喜美子の姿からスタート。鋭い眼つきで「もっともっと火ぃ焚くんや」と語る喜美子からは、凄みのようなものを感じさせる。

物語では、幼少期に大阪大空襲に遭遇したことが、川原家の子供たちの心に傷跡を残している様子も描かれる。「火」は情熱や作陶だけでなく、禍々しい戦争の「火」でもある。作陶に代表される創造や情熱の火と、暴力的な火の対比。それが『スカーレット』の物語を形作る軸となるのかもしれない。

■主人公の10代から成人後まで演じる戸田恵梨香。「男の世界を生き抜いてきた女性たちに敬意を持ちながら役を演じていきたい」

先日実施された試写会では、戸田恵梨香とチーフプロデューサーの内田ゆきが登壇。会見に応じた。

約3か月間およぶ稽古を経て、作陶に吹替なしで挑んだという戸田恵梨香は、「土を練るとき、(陶芸の)先生たちが使っている土の硬さだと、私の体重や力だと上手く練れないんです。私は水分を増やしてやっているんですけど、その稽古をやったときに本当に男の力仕事なんだな、男の世界なんだなと。女性陶芸家としてやっていくことの壁の高さを感じました。私も負けずにやらないといけないと思いました」とコメント。

戦後直後にアニメーション制作に挑むヒロインを描いた、前作のNHK朝ドラ『なつぞら』との共通点については、「当時、女性が前に立ってものを作っていくということ自体が難しかった。その時代の女性たちがいたからこそ、今の私たちがいる。その時代の女性たちに敬意を持ちながら役を演じていきたい。脚本、音楽をはじめ制作スタッフにも女性が多い。女でもここまでやってるぞ、というのを見せていきたい」と意気込みを語った。

喜美子の少女期から成人後も演じるが、学生時代を演じたことについては、「15歳って元気だな、と思いました」との感想。「台本に、わーいっていうセリフがあるんです。わーいって……私、普段の生活で言ったことあるかな、わーいってどうやって演じればいいのかなと迷って。意地になって、大喜びしている喜美子を演じましたが、カットがかかった瞬間に息切れしました。いまは22歳を演じているので、体力的に楽ですね」と会場の笑いを誘った。戸田恵梨香がどのようなヒロインを演じるのか。登場はまだ少し先になりそうだが、放送が待ち遠しい。
    ニュース設定