東海オンエア・虫眼鏡はなぜリスペクトされるのか? 誕生日を機にその魅力を分析

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2019年09月29日 15:51  リアルサウンド

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 本日9月29日は人気YouTuberグループ“東海オンエア“、虫眼鏡の誕生日だ。ツイッター上では、ファンによって次々と誕生日を祝うメッセージが投稿されており、彼の人望が伺える。なぜ彼が、これほどまでに多くの視聴者の支持を集める存在になったのか。27歳の誕生日をきっかけに振り返りたい。


(参考:東海オンエア・虫眼鏡に聞く“グループの変化”「みんなが自信を持ち始めている」


・東海オンエアと視聴者を結ぶ存在感
 東海オンエアは、リーダーのてつやを中心に、かつてのクラスメートや部活仲間が集まった6人組。そのなかで虫眼鏡は、唯一“てつやのバイト先の先輩“という異色の関係性を持つ。それゆえに冷静な眼差しで、的確にツッコミを入れつつ、メンバーと視聴者との架け橋役を担ってきた。きっと東海オンエアの面白さが“内輪ウケ“に留まらないのは、虫眼鏡がいてくれるからではないだろうか。いや、もしかしたら虫眼鏡を通して、私たち視聴者が東海オンエアの“内輪“に入れてもらっているのかもしれない。


 生まれながらのエンターテイナーで天才肌のてつや、予想の斜め上をいく奇才さと子煩悩パパという二面性を持つしばゆー、会社員とYouTuberの二足のわらじを履きこなしていた不言実行のイケメン(担当)のりょう、情熱的なシンガーでもありド天然な愛されキャラでもあるとしみつ、ゲスさと癒やし系を兼ね備えた謎の魅力で慕われるゆめまる。そんな5人の強烈な個性に対して、虫眼鏡は少々口が悪さもあるが根が真面目な至って常識人だ。


 「前職が教師」という経歴を持つものの、それが珍しいのはYouTubeという特殊な世界だからこそ。一般社会では、むしろ虫眼鏡のほうが普通に近い。その“普通の感覚“を持った虫眼鏡は、私たち“普通“な視聴者にとって、自分を投影しやすい鏡のような存在なのだ。「自分が東海オンエアの中にいたら……」そんなスキを私たちに与えてくれているようにも思えてくる。


・YouTuberに必要な「覚悟」と倫理観
 もちろん、私たちはすでにYouTuberという職業が、世間の想像以上に過酷であることを知っている。自分で企画を立て、撮影、編集とすべての工程を担っていく時間的なハードさ。人気を維持し続けるためにはコンスタントに面白い企画を出し続けなければならないプレッシャー。そして炎上しないよう常に多方面への配慮も欠かせない。


 東海オンエア内において“常識ポジション“にいるということは、その最前線に立たなければならないということ。メンバーと同じようにハシャぎつつ、ときにはメンバーのお尻を叩いたり、拭ったり、物理的にお尻を眺めたりしながら、東海オンエアを仲良しグループから仕事仲間に導いていく。そんな虫眼鏡の言動を見て、私たち視聴者は自然とリスペクトしてしまうのだ。それは、“普通“ではなかなかできないことだ、と。


 バカなことを真剣にやり続けるには、むしろ真面目でなくてはならないのだ。そして、メンバーがバカなことに没頭できるように、虫眼鏡が真面目を引き受ける。それこそが東海オンエアの勢いが止まらない理由ではないだろうか。かつて、虫眼鏡は『【難問】虫眼鏡を一番よく知るのは誰?第一回虫眼鏡王!』の動画で、YouTuberにおいて大切なことは「覚悟」と答えていた。


 メンバーが、てつや→「やりたいことをやる」、りょう→「楽しむ心」と回答していたのは、まさに虫眼鏡のおかげでのびのびとできている証拠。また、ゆめまる→「倫理観」と答えていたのも、虫眼鏡が東海オンエアにおけるモラルそのものであることを伺わせる。虫眼鏡自らが編集したこの動画。ゆめまるの回答を受けて「だとしたらこのグループにいません」というツッコミのテロップもまた絶妙なバランス感覚だ。


・コンプレックスをさらけ出す親近感
 “常識人“ポジションであるのは、あくまでそれは個性的なメンバーが集まった東海オンエアの中で言えばの話。虫眼鏡自身も、かなりキテる方であることは間違いない。秀才ではあるものの、器用ではない虫眼鏡。求められていることに全力で応えようとすればこそ、ときには笑えない大怪我をしてしまうことも。「結婚より、今は東海オンエア」とプライベートを犠牲にしがちな発言もあれば、「家族との不仲」というセンシティブな情報もちょくちょくネタにしてきた。どこか皮肉めいたところも、虫眼鏡らしさのひとつ。


 時流に乗り、あっという間に人気者になっていったYouTuberたち。知名度が上がり、金銭的にも豊かになっていった彼らは、充実した表情を浮かべているが、東海オンエアが成功すればするほど、さらにメンバーのソロチャンネルが話題になるほど、コンプレックスを深めていくところもある。もちろん、それも含めて私たちを楽しませてくれるネタに違いないとは思いながら、そんなふうに何事にも諸手を挙げて浮かれることのできない部分、いつもちょっぴりこじらせて生きている私たち現代人の鏡にも見えてくるのだ。


 だから彼にとっては、きっとこんなふうに虫眼鏡の魅力を改めて掘り下げる、いわゆるアゲ記事はありがた迷惑でしかないものだとも思う。だが、いつも私たちがやってみたいけれど決してできないこと=“常識“を飛び越えて仲間ととことんバカをやり続ける、というパラレルワールドを見せてくれる虫眼鏡に、尊敬と感謝の意を伝えずにはいられないのだ。これからも、まだまだ大きくなっていくであろう東海オンエア。そのフィクサーとして虫眼鏡が大いに活躍することを心から祈っている。


(佐藤結衣)


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