2019年ブランパンGTシリーズのファイナルイベントとなるシリーズ第10戦バルセロナが9月29日、スペインのカタロニア・サーキットで行われ、オレンジ1・FFFレーシングのアルベルト・コスタ/アンドレア・カルダレッリ/マルコ・マペッリ組563号車ランボルギーニ・ウラカンGT3が都合6度セーフティカーが導入された波乱のレースを制し、逆転でシリーズチャンピオンを獲得した。
4月にイタリア・モンツァで開幕したブランパンGTシリーズおよび同シリーズエンデュランスカップもいよいよ最終戦。このバルセロナ・ラウンドはワールドチャレンジ・ヨーロッパと合わせたブランパンGTカップと耐久シリーズ、それぞれのチャンピオンが決定する一戦だ。
決勝前日の予選を制しポールポジションを奪ったのは、ポルシェワークスドライバー3名を擁すローヴェ・レーシングの98号車ポルシェ911 GT3 R。その後方にはエンデュランスカップのチームランキング2位につけるブラックファルコンの4号車メルセデスAMG GT3、同首位オレンジ1・FFFレーシングの563号車ランボルギーニが続いた。
晴天のもと迎えた決勝ではスタート直後の1コーナーで、コスタ駆る563号車ランボルギーニが先行車2台を交わしてトップに浮上する。しかし、このオーバーテイクはコース外から行われたとして、レースコントロールからコスタにポジションを戻すよう指示が飛んだ。
レースは1周目に開幕戦のウイナー、ダイナミック・モータースポーツの54号車ポルシェ911 GT3 Rが他車に押し出され、グラベルを突っ切ってタイヤバリアに激突、マシンが横転する大クラッシュが発生したことで1回目のSCが導入される。このSCランは45分以上続きリスタートは21周目に切られることとなった。
その後まもなく迎えた1回目のピットタイミングでは首位に立った4号車メルセデス以下、98号車ポルシェ、563号車ランボルギーニなど上位勢が同時にピットに向かった。ここで563号車ランボルギーニは2番手に浮上することに成功。また、ディフェンディグチャンピオンのAKKA ASPチーム、88号車メルセデスAMG GT3が4番手にポジションを上げてみせる。
スタートから1時間38分後、2度目のSCラン開けのリスタート時にマペッリ駆る563号車が勝負に出た。ターン1〜2にかけて4号車メルセデスと接触しながらオーバーテイクしてトップに立つ。エンデュランスカップのランキング首位に立つSMPレーシングに対して24点ビハインドのチームが唯一、逆転で耐久チャンピオンとなる条件をひとつクリアする。
奇跡の逆転戴冠を狙う563号車ランボルギーニは、その後も相次いだフルコースイエローとSCランをものともせず、トップ浮上後はライバルを一歩リードするペースで終盤までレースをリード。フィニッシュまで残り4分で迎えた最後のリスタートもマペッリから代わったカルダレッリが冷静に決め、3時間レースのチェッカーフラッグをトップをくぐり抜けた。
■カルダレッリ、マペッリ組がトリプルクラウンを達成!
一方、表彰台争いは混沌を極めた。レース中盤、98号車ポルシェがドライブスルーペナルティを受けたことで88号車メルセデスが3番手に。これを追うベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの2号車アウディR8 LMSが2時間35分過ぎ、ターン10で前年王者に仕掛けるが、このタイミングでメルセデスの加速が鈍ったことでアウディが追突してしまう。
この影響で88号車メルセデスは左リヤタイヤのエアを失いスロー走行となると、最後はクラッシュでレースを終えてしまった。
終盤に3番手となった2号車アウディは最後のリスタート直後、今度はターン1で4号車メルセデスに襲いかかる。2台はターン2にサイド・バイ・サイド状態で侵入するも、わずかに接触。ともに姿勢を乱しコースを外れたことでポジションを大きく落とすことになってしまった。
この間に4、5番手につけていたRモータースポーツの76号車アストンマーティン・バンテージGT3と、ベントレー・チームMスポーツの107号車ベントレー・コンチネンタルGT3が労せずポジションアップに成功し最終的に2位、3位表彰台を獲得した。
また、今レースで2ポイントを追加すれば自力でのエンデュランスカップ王者が決定するSMPレーシングの72号車フェラーリは、オープニングラップ中に他車と接触したことでパンク。ほぼ最後尾まで順位を落としたものの、レース終盤には入賞に手が届く12番手までポジションを挽回してみせる。
しかし、残り時間40分となって焦ったか、ミゲル・モリーナが先行車に追突しスピンを誘発させてしまったことでペナルティを受け、万事休す。この結果、モリーナ/ダビデ・リゴン/ミカエル・アレシン組に24点差をつけられていたカルダレッリとマペッリが大逆転でエンデュランスカップチャンピオンに輝くとともにブランパンGTカップでも、ランキングトップにつけていたブラックファルコンのマーロ・エンゲル/ルカ・ストルツ組を上回り逆転での王座獲得を実現させた。
なお、オレンジ1・FFFレーシングとカルダレッリ、マペッリ組はブランパンGTワールドチャレンジ・ヨーロッパでもタイトルを獲得しており、エンデュランスカップ、ブランパンGTカップでの戴冠によって“トリプルクラウン”を達成している。