2020年始動のフルEVラリークロス『Projekt E』向けマシン公開

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2019年09月30日 13:41  AUTOSPORT web

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STARDが開発製造を担当したフォード・フィエスタRXスーパーカーEvo.4ベースの『Projekt E』用EVマシン
2020年のWorldRX世界ラリークロス選手権のサポートクラスとして、FIAがラウンチを目指している電動フルEVラリークロスカーの『Projekt E』車両が競技に先立って公開され、9月14日にラトビアのリガで開催されたWorldRX第9戦、ビカルニエキ・ナショナル・スポーツ・ベースの会場で初めて公の前に姿を現した。

 元WRCドライバーのマンフレッド・ストールが率いる技術集団、STARDがWolrdRXに投入しているフォード・フィエスタRXスーパーカーEvo.4のシャシーをベースに開発された電動RXマシンは、総出力450kW(613馬力)、最大トルク1100Nmを誇るSTARD製“REVelution”パワートレインを搭載。約0.032秒で0〜90%のトルクを立ち上げることができ、モーターは瞬時に最大の14000rpmにまで到達。最高速度は240km/hを記録する。

 600馬力級の内燃機関(ICE)を搭載する既存のWorldRX参戦車両もこの共通パワートレインを搭載し、EVコンバートすることが可能で、現在のテクニカルレギュレーションに則ったシャシーであれば、新規の車両製作を行うことも認められている。

 現状では、このSTARD製“REVelution”を含め純粋にモータースポーツに特化したピュアEVパワートレーンと、市販EVのモーターなどを転用した発展型ユニットの双方が、同じ規則の元で性能調整を行いながら競技することが想定されている。

「モータースポーツ、とくにラリークロスでの技術的景観と将来展望を一変させる、この革新的なプロジェクトにおいて、WorldRXプロモーターのIMGと密接な協力関係を築くことができて、とてもうれしく思っている」と語ったのは、開発プロジェクトを担ったSTARDを率いる、ストール・グループ代表のマンフレッド・ストール。

「現在、あらゆるカテゴリーがハイブリッドやEVでのエレクトリック・レーシングに乗り出しているが、この『Projekt E』が際立っている点は、この電動RXスーパーカーが市販ロードカーのモーターを転用できるところだ」

「約0.032秒で1100Nmを発生するレースカーのパフォーマンスを想像してみてほしい。瞬時に1万4000回転まで回る電気モーターのマシンを操るのは、とても印象的でエキサイティングなものだ」

「我々の『Projekt E』は、2020年にラリークロス界にまったく新しい、革新的な次元を追加することになるだろうね」

 さらに、WorldRXのプロモーターであるIMGモータースポーツの代表、ポール・ベラミーも「このマシンの発表が、市販ベース・モータースポーツの歴史的転換点になるだろう」との見通しを語った。

「自動車業界の電動化は急速に進んでおり、量産車ベースのモータースポーツの分野でその先駆者になれることを誇りに思っている」

「ラリークロスは圧倒的なトラクションによる加速性能と、高速でのホイール・トゥ・ホイールのアクションが売り物だ。この『Projekt E』が採用する電動パワートレーン技術は、従来のラリークロス界でも経験したことのない、未曾有のトルクレベルが実現する」

「これから、このスポーツにとってエキサイティングな時代が始まる。2020年のFIA格式選手権として、週末のレースフォーマットでは従来のパフフルなICEによるサウンドとバトルを楽しんでもらい、同時に『Projekt E』による未来の"風味"も加わることになるだろう」

 2019年6月に正式なプロジェクトとしてアナウンスされた『Projekt E』は、2020年シーズンのWorldRX欧州ラウンドの数戦でプレイベントが催される予定で、これにより本来はWorldRXのトップカテゴリーに据える計画だったこのEVによるレースが、複数マニュファクチャラーの関心欠如や支援休止で頓挫して以降、グローバルな選手権でどの程度の潜在的ポテンシャルがあるかが評価されることになる。

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