『スカーレット』が問いかける働くことの意義 喜美子を“大人”な荒木荘の住人たちが導く

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2019年10月21日 12:11  リアルサウンド

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『スカーレット』写真提供=NHK

 NHKの連続テレビ小説『スカーレット』が4週目を迎えた。喜美子(戸田恵梨香)はちや子(水野美紀)が勤める新聞社からの引き抜きオファーに頭を悩ませることになる。


参考:『スカーレット』水野美紀、『奪い愛』に続く“振り切った演技”で物語を支える 次週は喜美子の恋も?


「うち、ちや子さんとこの新聞社で働かせてもらいます!」


 喜美子は引き抜きの話を聞いて、こう宣言した。家族に仕送りをする喜美子にとって、新聞社が出した「給料五倍」の条件は大きなものなのだ。喜美子はその場で決断するが、ちや子は「こういうことはよう考えて決めんと」「焦ったらあかん」と喜美子をなだめ、雄太郎(木本武宏)と共に現状を整理する。ちや子は、腕を買われて泣きそうになるほど喜ぶ喜美子の気持ちを受け止めると、働くにあたって必要な条件をまとめる。


 こうして、喜美子は「荒木荘」に戻り、帰宅する大久保(三林京子)を上機嫌で見送る。荒木荘の仕事を辞めれば、大久保の厳しい指導やストッキングの内職から解放される。しかし酒田(溝端淳平)に、大久保が喜美子のために用意したおにぎりを渡されると、喜美子はそれをじっと見つめ、悩ましい表情を浮かべていた。その夜、喜美子、ちや子、雄太郎、酒田は、新聞社で働くことについて話し合い、雄太郎の発案で、喜美子は新聞社で数時間だけ試しに働くことになる。


 15歳の喜美子の思いを真摯に受け止めつつ、大人としてアドバイスする荒木荘の人々。ちや子は、即決しようとする喜美子をなだめながらも、働くのに必要な条件を一つ一つ聞き出し、酒田は熾烈な世界が広がる新聞社で喜美子を働かせることについての不安を口にする。雄太郎は自分の過去は語らなかったものの「どんなにええ条件言われてもやなあ、職場に合う・合わんちゅうのがあるねんな」と経験則を語った。


 3人は決して喜美子を子供扱いしない。誰一人「〜すべき」とは言わず、より良い条件で働きたい喜美子のために意見する。そんな3人の前だからこそ、喜美子も「お金はうち、大事やし、ほしいし、大好きです」と胸を張って伝えやすかったに違いない。荒木荘の人々のアドバイスや大久保が作ってくれたおにぎりは、後々、喜美子の仕事への価値観に影響を与えることになるだろう。(片山香帆)


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