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【インタビュー】映画『駅までの道をおしえて』新津ちせ「『オーディションに受かった』と聞いたときは、頭が真っ白でした」笈田ヨシ「『子役だから』と特別なことはなく、一緒に仕事をする相手として接しました」

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2019年10月23日 15:11  エンタメOVO

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写真新津ちせ(左)と笈田ヨシ
新津ちせ(左)と笈田ヨシ

 直木賞作家・伊集院静の小説を映画化した『駅までの道をおしえて』が10月18日からロードショー公開された。本作は、愛犬の帰りを待ち続ける少女サヤカと、孤独に生きるフセ老人の交流を、1年半にわたる丁寧な撮影でつづった温かな物語。サヤカとフセ老人を演じるのは、200人を超える候補者の中からオーディションを経て主役の座を勝ち取った新津ちせと、『沈黙 -サイレンス-』(16)などで世界的に活躍するフランス在住の笈田ヨシ。見事な共演を披露した年齢差77歳のコンビが、撮影の舞台裏を語ってくれた。




−とても温かくて切ない、すてきな物語でした。まず、完成した映画を見た感想をお聞かせください。

新津 台本を読んだときとは、全然印象が違っていました。台本よりもグーッと胸が締めつけられるような気持ちになって、自分が自分じゃないように見えて、最後は泣いてしまいました。

笈田 映画には、ハラハラドキドキしたり、泣いたり笑ったりするものも多いですよね。でもこの映画は、そんなふうに刺激を求めるのではなく、ぷかぷか雲が浮かぶ空や、川が流れる風景を眺めるような、静かな気持ちで楽しんでいただけるのではないかな…と。その中で、人が生まれて、年を取って、亡くなり、また次の人が生まれて…という世の移り変わりに思いをめぐらせつつ、人生について考えてみる…。そういう時間を与えてくれる映画ではないかと思いました。

−それでは、出演が決まったときの気持ちを教えてください。

新津 私は以前から犬が大好きで「この役をやりたい!」と思っていたので、お母さんから「(オーディションに)受かった」と聞いたときは、信じられなくて、頭が真っ白になって、自然と涙がポロポロ出てきました。

笈田 オファーを受けたときは、まだ彼女とは面識がありませんでしたが、僕も犬が好きなので、犬と一緒に映画に出られることがうれしかったです。

−お互いに、会うのは初めてだったそうですが、初対面の印象は?

新津 笈田さんは世界中で活躍している俳優さんだと聞いていたので、ちょっと緊張していました。でも、会ってみたら優しく話し掛けてくださったので、すごくうれしかったです。私はもともと、人とお話をすることが好きで、学校でも新聞部に入って、同じ部のみんなと話し合ったりいろんな人に取材をしたりしながら新聞を作っています。笈田さんも、空き時間に「僕はこういうところに行って、こんなお芝居をしたんだよ」と話してくださったので、すぐに仲良くなることができました。

笈田 美人で、かわいいらしくて、礼儀正しくて、すてきなお嬢さんだな…と。『子役だから』と特別なことはなく、いつもと同じように、一緒に仕事をする相手として接しました。ただ、皆さんご存じのように、動物や子どもと一緒に仕事すると、俳優は“食われて”しまいます。この映画ではその両方が相手なので、「立派に“食われよう”」と思っていました(笑)。

−ちせちゃんは、サヤカに共感できましたか。

新津 台本を読んだとき、「自分に似ているな」と思いました。サヤカが、犬が好きなところもそうですし、ルーと出会って、飼いたいという気持ちを真剣に両親に伝えるところも。私も「これをやろう」と思ったら、すぐに行動する性格なので、似ているな…って。

−笈田さんは、ちせちゃんとお芝居をした感想はいかがでしょうか。

笈田 あまり芝居をしているという感じはしませんでした。僕が演じたフセ老人は、独りぼっちですが、僕も一人暮らしをしているので、サヤカと出会って癒やされる気持ちは、よく分かります。ですから、それは芝居というより、自分そのもの…みたいな気持ちで。だから、まるで普通に僕が思っていることをしゃべり、同時に彼女の話を聞いているような気分でした。おかげで、一緒にいる時間はとても幸せでした。一緒にサンドイッチを食べたときは、楽しかったよね(笑)。

新津 すごく楽しくて、おいしかったです(笑)。

−劇中にはルーとルースという2匹の犬が重要な役で登場します。犬たちとは、どんなふうに過ごしていましたか。

新津 2匹とも人懐こくて、すごくかわいかったので、お芝居しているときもしていないときも、同じように接していました。でも、ルーもルースも、撮影中にどんどん成長していくので、それを見ていたら「大きくなったなぁ…」と思いました(笑)。

−ちせちゃんが原っぱでルーと遊ぶシーンは、とても楽しそうですね。

新津 ルーは原っぱに行くとすぐに駆け出すので、あの場面は本当に遊んでいるような気持ちでした。ルーとは1年半ぐらい一緒に暮らして、ご飯をあげたりお世話をしていたので、ルーも懐いてくれて、すごく楽しかったです。

−ルースはどうでしたか?

新津 ルースは、あるご家族の飼い犬だったのですが、撮影のとき、ルーとルースが仲良くじゃれ合って遊んでいたので、終わった後に離れ離れにしたらかわいそうだねという話になって、今は、ルーも、ルースの家で一緒に暮らしています。先日、学校からの帰り道の途中、ルーとルースが待っていてくれたことがありました。その日は私の誕生日で、監督やスタッフさんが、サプライズで2匹を連れてきてくれたんです。すごくうれしかったです。

笈田 僕はルースと過ごす時間が長かったのですが、もともと保護団体から来た犬で、不幸な過去があるらしく、人間に対して不信感を持っているようでした。最初はとても怖がっていたので、危険な人間ではないということを伝えようと、柔らかく、優しく付き合うようにしました。初めは犬と遊んでもらおうと思っていたのに、僕の方が犬の動きに慣れなければならないので、大変でした(笑)。でも、楽しかったですね。

−観客にはこの映画のどんなところを見てほしいですか。

新津 サヤカとフセさんとルーとルースが、年齢や言葉の壁を超えて、心と心を通わせていくところです。撮影の中で、サヤカとして泣いたり笑ったりしたことが、いまも自分の中に残っていて、私がこれからつらい経験をしたときにきっとサヤカが心の支えになってくれると思います。映画を見てくださった方にとっても、この作品がそういう温かい存在になれたらうれしいです。それから、ルーとルースの名演技もぜひ見てほしいです!

笈田 大切な人や動物を失い、その悲しみが重く、深く心に残った経験がある人は多いのではないでしょうか。この映画に登場する2人も同じです。彼らがその悲しみをくぐり抜けていく姿をご覧いただき、ご自身のつらい思い出をどう処理するかという参考にしていただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)


新津ちせ(左)と笈田ヨシ

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