「大久保佳代子が、後輩から慕われていない理由」から考える、いま求められる理想の先輩像

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2019年11月08日 00:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

大久保佳代子Twitterより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「先輩面と言うか、恩着せがましい感じで接しない」オアシズ・大久保佳代子
『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系、10月29日)

 かつて『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「たいこ持ち芸人」という企画の回があった。たむらけんじによると「ネタを作るより、先輩に気に入られる方が早く売れる」そうで、出演者が、先輩をいかに気持ち良くするかのテクニックを披露していた。これは「仕事のない芸人が、世に出るためのテクニック」と見ることもできるだろう。そういう意味で、売れていない芸人にとって、全ての売れている先輩はありがたい存在と言えるのではないか。

 それでは、自分の力で仕事が来るようになった芸人にとって、どういう先輩が「いい先輩」なのだろうか。10月29日放送『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で放送された、「後輩にちゃんと慕われている? 相思相愛ウラ取りグランプリ」に、後輩の本音が隠されているように感じた。

 同企画では、まず芸人に、「可愛がっている後輩10人」をランキング形式で挙げてもらう。そこで名前が挙がった後輩たちに、同じく「お世話になっている先輩10人」をランキング形式で発表させる。お互いが1位を指名したら相思相愛で、ベストの関係となる。

 実際にアンケートを取ってみると、「自分は慕われていると思っていたが、後輩はそうでもなかった」という場合が多い。例えば、FUJIWARAの‎藤本敏史は、パンサーの向井慧、ジャングルポケットのおたけが自分を1位に指名すると予想していたが、実際は向井が5位、おたけが4位といった具合だ。

◎実はそれほど後輩に慕われていなかった大久保佳代子

 今回はオアシズ・大久保佳代子がオンナ芸人として初めてこの企画に挑戦し、森三中・黒沢かずことたんぽぽ・川村エミコが「自分を1位にする」と予想する。大久保いわく、黒沢は、自身の相方・光浦靖子とも親しいが、週に一度、大久保に電話をかけてきて食事をしているという。一方、川村とも、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)で共演してから、収録終わりに毎回飲みに行く関係になったとのこと。

 しかし、フタを開けてみると、黒沢は「お世話になっている先輩1位」に光浦を、川村は森三中・大島美幸を挙げる。

 黒沢は、光浦を選んだ理由について、「悩んでるときに、ずっと最後まで話を聞いてくれる」「私たちがお仕事をいただけるレールを作ってくれた」と説明。川村は、大島を選んだ理由について、「私の顔色も察してくれて『何かあったの?』と聞いてくださいます」「お仕事でもロケでも尊敬しています」と述べた。

 黒沢、川村の意見を見るに、後輩は先輩に「自分の話を聞いてほしい」「先輩に気づいてほしい」という包容力のようなものを期待しているのではないか。大久保は後輩と接するときに「先輩面というか、恩着せがましい感じで接しない」「私だって話を聞いている」と言っていたが、その姿勢が後輩たちにとって満足いかなければ、意味はないだろう。

◎失恋したいとうあさこを突き放したことも……

 「話を聞く」と言えば2017年、大久保とともに『中居の神センス塩センス!!』(フジテレビ系)に出演したいとうあさこが、こんなエピソードを披露していた。

 大失恋した大久保は、2日に一度のペースで、大親友である後輩・あさこ宅に泊まり、あさこも大久保用のパジャマを用意して、朝まで話を聞くなど親身になっていたそうだ。しかし、あさこが失恋をしたとき、大久保は「用事がある」とあさこを突き放したという。大久保は「同じ話を延々と。辛気臭い」と、その理由を語っていた。

 現実的に考えれば、失恋後にいろいろ考えたところで、どうにもならない。そんなのは本人もわかっているだろう。けれど、その一方で、心の整理のためにうじうじ考える時間を欲し、誰かに話を聞いてほしいと思うことはあるはず。それを親しい先輩が、「辛気臭い」と切って捨てるのはいかがなものか。特に大久保の場合、自分の失恋の際に、あさこに付き合ってもらったという“借り”があるのだから、聞いてあげるべきなのではないだろうか。

 悩みというのは、明確な正解があるとは限らないもの。しかも、悩んでいる人が誰かに意見を求めたとしても、結局のところそれを聞き入れず、自分の思った通りにするというのは、よくある話である。となると、悩みは「聞いてもらう」ことに意味があり、聞き手は、「いかに気持ちよく聞いてあげる」かが問われるのではないだろうか。特に後輩が先輩に相談する場合、力関係に差があるので、先輩が聞きたくなさそうなそぶりを見せたら、後輩は気を使って無理に話を終わらせるしかないだろう。後輩に対して「先輩面をしない」といくら大久保が思っても、歴然とした上下関係がある以上、後輩にその姿勢は伝わらないのではないか。

 『ロンドンハーツ』で、意外にも「お世話になっている先輩第1位」という声が多数集まったのは、有吉弘行だった。後輩いわく、有吉は後輩の出演する番組を見ていて、しかも褒めてくれるそうだ。有吉は「俺は後輩の話を聞いて、ずっとウケているだけ」と言っていたが、今の時代に慕われる先輩というのは、頻繁に会ったり、高い食事をご馳走するのではなく、自分の意見は言わずに、ひたすら後輩の言うことや仕事ぶりを、受け止めてあげる人なのかもしれない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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  • 基本的には「○○してくれるから」慕う、好きって価値観は好きじゃない。ただこの大久保って人、自分が失恋したときは頼っておいて、逆に自分が頼られた時は冷たいって酷いな。
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