タイで築きつつあるJリーグの立ち位置

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2019年11月24日 10:11  テレビドガッチ

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テレビドガッチ

Jリーグの“アジア戦略”を、11月23日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20〜)が特集。北海道コンサドーレ札幌の野々村芳和代表取締役社長CEOとJリーグメディアプロモーション海外事業部の小山恵をゲストに招き、タイをはじめとする東南アジアサッカーの今を伝えた。

総人口6億5000万人、GDP300兆円を超える巨大なマーケットを誇る東南アジア諸国。Jリーグは、アジアサッカー全体の底上げ、その先にある日本サッカーの進化を目指し、2012年にアジア戦略を本格的にスタート。リーグ運営や選手育成などのノウハウをアジア各国に提供し、有望選手をスカウトしてJリーグの舞台に立たせてきた。しかし、インドネシア代表のイルファンやベトナム代表レ・コン・ビンなど各国のトップ選手がJリーグに移籍してきたが、レギュラー定着には至らず結果を出せずにいた。

しかし、2017年に北海道コンサドーレ札幌にタイの英雄・チャナティップが加入したことで事態は大きく動き出した。2018シーズンは8ゴール2アシストを記録し、東南アジア国籍の選手として初めてJリーグベストイレブンに選出される大活躍。小山は「今はタイの子どもたちや若い選手がJリーグでプレーしたいと言ってくれている」と手応えを語った。

また、野々村は「このように言ってもらえることで、クラブの価値がより大きくなる。そのためにも東南アジアの選手を獲って活躍させたかった」と狙いを告白。実は、野々村が社長に就任した2013年、クラブは約10億円の売り上げだった。そこから様々な施策を打っていき、2019年は35億円程度に押し上げたが、それでもJ1の中では真ん中より下の売り上げ規模。「継続的に勝って多くの人を喜ばせるためには売上を伸ばさないと難しい」と語り、大きな目標として100億円の売り上げを設定した場合、国内だけでは達成できないと考えていたという。

そんな中、チャナティップが加入したことで、スタジアムや練習場にタイから観光客が訪れるようになった。さらにタイの有望な若手選手たちの研修ツアーで約100人が来日。アジアトップのJリーグのクオリティとチャナティップのプレーを生で体感すると、訪れた選手たちは「僕も札幌でプレーしたくなった」と目を輝かせた。近年、タイから北海道に来る旅行者の目的の1番がサッカー観戦になっており、野々村は「コンサドーレによって北海道を知ってもらえて人が来る。うちの試合を観なかったとしても北海道にはお金が落ちる。そのきっかけをサッカークラブが作っていることに価値がある。間接的に僕らのクラブに何かが戻ってきて、クラブが勝つという循環ができるのではないかなと思っている」と話した。


そして、チャナティップ効果は、タイでも表れている。バンコクにあるスポーツバーでは、コンサドーレのユニフォームを着て「We Are Sapporo!」とチャントを歌う人々の姿があった。彼らが見ているのはJリーグの生中継。タイでは、2017年から有料チャンネルなどで放送がスタートし、ある日の札幌戦では過去最高の40万人が視聴。圧倒的な人気を誇るイングランド・プレミアリーグに次ぐ視聴数を稼ぐこともある。また、あるサッカーショップでは、コンサドーレのチャナティップのユニフォームが仕入れるたびに売り切れ、これまでに300枚以上が売れているという。

さらに小山は「これまではこちらから提案していくばかりだったが、最近はタイ側からありがたいオファーが増えてきた。現地の人もJリーグの人気が上がっていると言ってくれるのでありがたい」と述べ、明らかにタイでの注目度は上がっているという。また、「ガリガリ君」で有名な赤城乳業は、コンサドーレからアジアプロモーションパートナーの誘いを受け、チャナティップを広告キャラクターに採用。すると売り上げは前年比150%にアップ。無料サンプリングの際も、チャナティップのパネルを置くようになってから劇的に良くなったという。

そして、野々村は「次に狙っている選手は?」と聞かれると「もちろんいる」と即答。しかし、「アジアのすごく良い選手であっても、Jリーグのトップレベルでできるかというとまだちょっと難しい」と率直に語り、「育成する感覚」の必要性を説いた。さらに、東南アジア諸国のトップ選手たちの獲得資金も高騰しており、「能力が高くて有名な選手は自国に置いておきたいと思う人が多いため高額。Jリーグに移籍すれば得点王になりそうなブラジル人選手より高いかもしれない。だけど、そうしてでもやっていかないと日本のサッカーが高いところにいかないので、トライするクラブが増えたら良いなとは思う」と話した。

また番組MCの勝村政信が「アジアの色々な国に行ってユース世代や国立のアカデミーなどを見てきたのですが、本当にレベルが高くて、Jリーグもうかうかしていると追い越される可能性が高いと感じた」とアジアの進化に言及。すると野々村は「そういう存在が近くにあった方が良い。日本はその上を常にいかなくてはいけない」と語り、「個人的にはアジアの中のプレミアリーグはJリーグであり続けないといけないと思っていて、そうなってくるとタイだけじゃなくて、インドネシアやベトナムの人たちがもっと注目して、金銭的にも潤って欧州にもっと近づくという環境になる。それでタイに抜かれるようではダメ」とコメント。また小山も「2026年からワールドカップの出場チーム数が48になり、アジア枠は現行の4.5から8に増加する。その時に、各国代表選手の大半がJリーグでプレーしているような世界観が描けると、アジアのプレミアリーグにJリーグはなれるのではないかと思う」と話していた。

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