iPhone 11がユーザーに無断で位置情報収集 制限しても追跡されていた?

69

2019年12月09日 07:11  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

写真

 Appleはユーザーのプライバシー保護に誇りを持っていると企業と思われていたが、iPhone 11シリーズに、深刻なプライバシー問題が発覚した。


(参考:iPhone 12は5G対応&上位モデルは高速5G対応? Qualcomm社長「Appleとの関係が最優先」と発言


 iOSには位置情報アクセスをブロックしたり、アプリごとに制限したりできる設定がある。この設定では、一部のアプリに位置情報へのアクセスを許可し、他のアプリがアクセスしないようにできる。


 しかし、アプリのアクセスを全て制限しても、本体のアクセスをブロックしない限り、iPhone 11は位置情報を追跡していたのだ。これはソフトウェア更新プログラムで修正できるバグのように思えるが、Appleの当初の回答によると、意図された機能だったようにも思えてしまう。


・プライバシーポリシーと設定機能に矛盾
 『KrebsonSecurity』は12月3日「iPhone 11 Proの位置情報に問題」と報じた(参考:https://krebsonsecurity.com/2019/12/the-iphone-11-pros-location-data-puzzler/)。


 Appleの新しいiPhone 11 Proの奇妙な性質の一つは、携帯端末の全てのアプリとシステムサービスが個別に位置情報を要求しないように設定されている場合でも、ユーザーの位置情報を断続的に追跡することだ。Appleはこれは設計によるものだと述べているが、その対応はプライバシーポリシーと矛盾している。


 iPhoneの位置サービスのプライバシーポリシーには「ロケーションサービスが有効になっている場合、iPhoneは定期的に近くのWi-Fiホットスポットとセルタワーのジオタグ付きロケーションを匿名で暗号化された状態でAppleに送信する」とある。


 このポリシーでは、ユーザーは1回のスワイプで全ての位置情報サービスを完全に無効にできると説明している。システムサービスをタップして、各ロケーションベースのシステムサービスをオフにして無効にすることもできるとされている。


 しかし、このモデルでは、位置サービスを完全にオフにしない限り、無効にすることは出来ない。これは、iPhone 11 Proデバイスの最新のオペレーティングシステム(iOS 13.2.3)でも起こっている。最新のiOSを搭載したiPhone 8では、これを再現することはできなかった。


 これについてAppleは当初、懸念を抱いておらず、iPhoneが設計どおりに機能しており、実際のセキュリティへの影響はないと回答。位置サービスが有効になっている場合、ステータスバーに位置情報サービスのアイコンが表示されるという。


・「Appleなら、もっと早くに解決できただろう」という指摘も
 この問題について、『Forbes』は「Appleなら、もっと早くに解決できただろう」と指摘(参考:https://www.forbes.com/sites/kateoflahertyuk/2019/12/04/apple-iphone-11-iphone-11-pro-location-privacy-issue/#3ee221872127)。


 iPhone 11は、9月に発売され最初の数ヶ月で売り上げを伸ばし、Appleの株価を押し上げた。しかし、iPhone 11 Proと、おそらくiPhone 11は、かなり深刻な位置プライバシーの問題に直面している。


 iPhone 11 Proを所有している場合、この問題を回避できる唯一の方法は、設定で位置情報サービスを完全に無効にすることだ。携帯電話の操作性に深刻な影響を及ぼすが、懸念がある場合は、マップなどの特定のサービスの機能をオフ・オン切り替える価値がある。


・広報は「今後のiOSアップデートで修正」と発言
 Appleは『TechCrunch』に対して、位置情報のプライバシー問題はiPhone 11シリーズの超広帯域チップによるものだと認め、今後のiOSアップデートで修正すると述べた(参考:https://techcrunch.com/2019/12/05/apple-ultra-wideband-newer-iphones-location/)。


 Appleのスポークスマンは、同記事内において、ほかにもこのように発言している。


「超広帯域チップ技術は業界標準の技術で、特定の場所では無効にする必要がある国際的な規制の対象。iOSはロケーションサービスを使用して、超広帯域を無効にして規制に準拠するために、iPhoneがこれらの禁止された場所にあるかどうかを判断している。超広帯域準の管理と位置データの使用は全てデバイス上で行われ、Appleはユーザーの位置データを収集していない」


 テロ攻撃で数十人が死傷した際に、実行犯のiPhoneのセキュリティ機能をバイパスできるソフトウェアを開発するように迫ったFBIの要求を拒否し、法廷闘争にまで挑み、セキュリティーで妥協しない姿勢を見せたApple。今回の件は、それらに対する姿勢に比べると、彼らにしては緩い対応だった、と言わざるを得ない。


(Nagata Tombo)


このニュースに関するつぶやき

  • ちょっと考えたら犯罪に利用されるって分かるだろう。何よりも改めないのが問題
    • イイネ!5
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(38件)

ランキングIT・インターネット

前日のランキングへ

ニュース設定