まだ今週もくっつかない? 中川大志、『G線上のあなたと私』の恋の進展に「散々僕もツッコミました」

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2019年12月10日 17:02  リアルサウンド

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中川大志(撮影:池村隆司)

 「大人のバイオリン教室」を舞台に年齢も、性別も、バラバラな男女3人が、友情とも愛情とも言える関係を築いてきた火曜ドラマ 『G線上のあなたと私』(TBS系)。


 元OLの也映子(波瑠)、主婦の幸恵(松下由樹)が抱えるリアルな痛みに多くの共感が集まる中、もどかしい恋愛模様を展開する“めんどくさい系”男子大学生の理人(中川大志)に心をかき乱される視聴者が続出。キュンとする表情をしたかと思いきや、モヤッとさせられたり、オンエアを重ねるごとに、注目度は高まりSNS上では「理人」がトレンド入りするほど。また、早くも最終回のあとにやってくる「理人ロス」を心配する声も上がっている。


 そんな理人を演じている中川大志は、どう本作と向き合っているのだろうか。「理人は今までで一番共感できる役かも、だって好きな人に……」という意味深な言葉も飛び出した今回のインタビュー。理人を通じて、今度は中川大志という俳優に、大いに翻弄されてほしい。


【写真】中川大志の撮り下ろしカット


■「この3人じゃなかったら、理人もこうなってなかったかもしれない」


――以前、ドラマがスタートする直前に、波瑠さんと共に登場していただきました(参照:波瑠×中川大志『G線上のあなたと私』対談)。


中川大志(以下、中川):わー、あれから2カ月経ってるんですか。「仲良くなり始めた」って言ってたけど、今から思えばまだまだぎこちなかったかもしれないです(笑)。


――今は、どうですか?


中川:わりと早めの段階からすごく居心地がよかったんですけど、改めて、波瑠さんと松下さんとで良かったなって思っています。きっと、この3人じゃなかったら、あの空気感になってなかったんじゃないかな。僕の理人も、こうなってなかったかもしれない。本当に先輩2人にすごく引っ張っていただきました。


――3人で掛け合いのようにワチャワチャするシーンは、自然とできあがっていったんですか?


中川:そうですね。それぞれがまずはいろいろ好きにやってみて「あれはいらない」「じゃあこれはやろう」と監督とも相談して。あと、今回は楽器をやってきたのも大きかったかもしれません。それぞれ半年以上バイオリンを練習してきたリアルな時間が存在するわけじゃないですか。上手くなるだけじゃなくて、実際にやってきた時間、積み重ねたものが、弾いてるときに絶対出てくると思うので。ときどき「本当に弾いているの?」って聞かれることもあるんですけど、ちゃんと練習したので「弾いてます!」って書いておいてください!


――わかりました(笑)。たしかに、3人の間に流れる空気が、セリフ以上に物語るシーンが多いように思います。


中川:このドラマの台本には「……」のセリフがすごく多いんですよ。そこに何が入るはずだったのか、なんか国語の勉強をしているみたいで、毎回宿題の多い台本だなと思っていました。しっかり勉強していかないと、細かいメッセージを見落としてしまいそうで。それを読み取って、さらに芝居で伝えないといけないというのが難しかったです。こういう瞬間ってたぶん引っかかるだろうな、ちょっとチクっとするな、この言葉は嬉しいんだろうな、とか。何も言ってないけど……って自分の中で整理して、それをどう表現するかというところまでやらないといけないので、すごく鍛えられました。


■「言語化できない感じを全部明確にしようとしなくていいんじゃないの?」


――今回演じられた理人というキャラクターは、彼自身が自分でも整理がついていないところがありましたよね?


中川:まさにそうなんですよ。自分の中で整理したものを、そのまま出したら理人があざとくなってしまう。そうなると見ている人は一気に冷めてしまうじゃないですか。理人自身は、無自覚なところがいっぱいあって。だから、そこを演じるには僕がすごくピュアにやらないといけないなって、最初から決めてたんです。


――ピュアに演じるために、意識したことはありますか?


中川:監督と話して、自分の中で救われたというか、よかったなと思うのは、「言語化できない感じを全部明確にしようとしなくていいんじゃないの?」という言葉でした。恋愛だけじゃなくて、友情や家族、仕事も全部含めて、説明がつかないことって多いんだなって。人間の感情って、言葉にできないことばかりで、その説明がつかないものを見ている人と共有したいし、わかってもらいたいんですよね。例えば、4話で、急に也映子さんと理人が手を繋ぐシーンも、僕自身「これ何?」って思いましたもん。「何が起きてるの?」って。わけもわからず、説明もできず、ただ手を繋いでしばらく歩いて、何事もなかったように手を離して帰っていく。「え、何?」じゃないですか。でも、なんか見ていたらわかってもらえるものがあるだろうなって。だから、僕はあのシーンがすごく好きで。最初に台本を読んだ時、「うわー、この感じどうやろう」って。そこまで積み重ねたものがあって、あの瞬間の空気感でもあるし。一瞬の出来事の感じでもあるし。


――見ている私たちも「何が起きたの?」ってなりました(笑)。


中川:よかったです(笑)。もうそのグチャグチャ感が、理人の若さなので。彼の言動を全部明確にしようとすると、「全く筋が通ってないじゃん」みたいなこともいっぱいあるんですよ。そういうのを全部ひっくるめて「何これ〜!?」と自分の中で答えを探してる感じでそのままやったら、理人になるんじゃないかと思ったんです。もちろん、それは考えるのを止めるということじゃなくて、考えても考えても辿りつかないものがあることを、そのまま表現してみてもいいかもしれないって。だから、本当に人間の勉強になるドラマでした。


――その「何これ?」となる中でも、理人に中川さん自身が共感したところは?


中川:たくさんありますね。もしかしたら、今までやった役の中で、一番自分に似てるのかなって思ったくらい、共感したところは多いです。普段の立ち振る舞いとか表面的なところというよりも、感情の動き方というか。やっぱり役を演じるときって、自分と共通する部分をどんどん大きくしていく感覚があるので、自分もこういう気持ちになったことあるなというところを大事にしています。好きな人の前で、自然体じゃいられなくなっちゃうところもそうですし、まわりが何を言っても止められない感じとか。「好きな人に簡単に好きって言えないってわかるでしょ」みたいなセリフとか。


――占い信じちゃうところとかはいかがでしょう?


中川:あー! 信じちゃいますね。気になる人が夢に出てきたら、夢占いとか調べちゃいます(笑)。こういうシチュエーションで出てきたら、こういう意味なんだとか、けっこう気にしちゃったりするところもあるし。僕も好きになったら自分から言いたいタイプで……って、あんまり解説すると僕の中身がバレますね(笑)。


■「ラストは、也映子さんと理人らしいラブラブが見たい」


――今回は、いくえみ綾さんの原作マンガを読まずに挑まれたとお聞きしました。何か意図があったのでしょうか?


中川:原作があるものに関しては、いろいろなやり方を試してみようと思っていて、読むときと読まないときと両方あるんですが、今回は、自分で考えて、自分で作っていくという分量を増やしたかったんです。理人のキャラクターが、原作にはある意味で答えとして出ちゃっているので。台本の情報量だけで、どこまで膨らませられるかを今回の課題としてやろうと思っていました。脚本のなかで文字になっていない部分も読み取れるようになりたくて。


――では、大きな話題を呼んだ壁ドンならぬ“シャッタードン”の台本を見たときは、いかがでしたか?


中川:「きゃーっ!」って声出ました(笑)。毎回台本を読むときは、本当に少女マンガを読んでいるときみたいな気分なので、個人的にこういうラブストーリーを見るのは好きなんですよ。で、普通に楽しんだあと「あ、そういえば自分がやるんだった」って(笑)。これを僕らがやって、テレビの視聴者の方にも同じように感じてもらいたいと、台本からプレッシャーを貰えるのはすごく幸せなことだと思いましたね。トータル的にすごく狭い世界観の話だからこそ、ニオイとか温度が伝わってくるくらいの細かなところを表現していきたいと思っています。


――あのシーンでは、もう理人の熱い吐息が画面を伝わってくるようでドキドキしました。実際に演じてみた感想は?


中川:最初台本には「壁ドン」って書いてあったのに、現場に行ったらシャッターの前だったんですよね。シャッターって、弾むんですよ。壁と違って手で押し込むとボヨンボヨン動いちゃって。しかも、ガシャーンって結構な音も鳴って。だから、実際にはちょっとした事故感がありました(笑)。


――では、桜井ユキさん演じる眞於先生に「時間を無駄にすることになります」と、バシッとフラれたときはいかがでしたか?


中川:ちょっと考えてくれてもいいじゃんって。1回持ち帰ってもいいじゃんっていう気持ちにはなりました。あれは、落ち込みますよ、男としては。だって、男から気持ちを伝えるって一大事なので。それは、もうちょっと考えるフリでもしてほしいって思っちゃいました。恋愛の可能性を抜きに関係は継続してきましょうっていうスタンスは、「理人キツイよな、わかるわー」って思っていました。


――そこから也映子さんの言う「人間愛」への移り変わりで意識したことは?


中川:でも、也映子さんも言っていたけど、それも優しさというか。ときに残酷なことが、その人への優しさだったりもするっていう部分を、明確にしたんですよね。そこまでいけたときに、本当の意味で吹っ切れる、進めたんだなって、7から8話のところで描けたらいいなと。6話はまだ「ほっとけないの正体」問題にグチャグチャでしたけど(笑)。


――原作も台本も、エンディングまで読んでいないという中川さんが、期待するラストは?


中川:想像つかないんですよね。也映子さんと理人がラブラブしてる感じが。でも、自分でやってて思ってましたけど、相当焦らして引っ張って引っ張って、ここまできたじゃないですか(笑)。「まだ今週もくっつかないですか?」って、台本読みながら散々僕もツッコミましたからね。だから、想像できないですけど、也映子さんと理人らしいラブラブが見たいなと思います。あのふたりが、ここまで来たか! というような最終回にしたいです。ワンクール見続けてよかったなと思ってもらえるようなラストになるよう、僕もちゃんと最後まで演じたいと思います! あ、あとバイオリンは最後までちゃんと弾いてるので、そこも注目してくださいね(笑)。


(取材・文=佐藤結衣)


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