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「好き嫌い」は生き残るために必要な感覚だった! 人類が滅亡しなかった理由 <子どもの素朴な疑問に学者が本気で答える>

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2019年12月14日 16:00  AERA dot.

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写真大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)
大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)
「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」

 発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの素朴な疑問に学者が本気で答える」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第6回の質問は「人によって好きな食べものと嫌いな食べものがあるのはなぜ?」です。

【石川先生の愛猫・マリリンはこちら】

*  *  *
【Q】人によって好きな食べものと嫌いな食べものがあるのはなぜですか?

【A】好き嫌いは食べものに毒が入っていても人類が滅亡しないようにする知恵です

 皆さんには食べものの好き嫌いがありますか。私は子どものころシイタケとセロリがきらいでした。どちらもその独特のにおいが苦手だったのです。大人になってシイタケは食べられるようになり、今ではその「うま味」が結構気に入っていて、焼いたシイタケに醤油をたらして食べています。一方のセロリは、いまだに苦手です。

 シイタケやセロリがきらいという人は多いのではないでしょうか。それは生まれながらに、それらの種類の食べものに含まれる可能性の高い、毒を警戒するからです。自然界の生き物には、毒があることが多いのです。山で見つかるキノコの多くに毒があることは、ご存じですよね。日本でもときどきキノコ狩りで過って毒キノコを食べて亡くなる例が報告されています。とくに植物は、動物と違って逃げることができないので、食べられないようにするために毒を作る習性があります。

 人間は雑食性でいろいろな食べものを食べるように進化しました。それはいろいろな食べものを食べて栄養をつけ、生き残る可能性を高める手段でした。ところが、逆に毒を食べて死んでしまうリスクも背負ったのです。そこで危なそうな食べものは、好き嫌いがなく食べる人と好き嫌いがあって食べない人を作り、人類全体として「毒はないだろうか」と様子を見ながら食料にする手段をとりました。

 これが「嫌いな食べもの」の生物学的な始まりです。「嫌い」の要因は、においや味や食感など多種あるので、人によって、それぞれの要因を「嫌い」と感じる度合いが違うのです。セロリが嫌いな人は、セロリが持つ何らかの要因が苦手なのです。そしてこのセロリ好きかどうかが、セロリの持つ栄養を重視するか、毒を警戒するかの選択になっているのです。

 つまり、周囲に食べるものがセロリしかなかったら、まずセロリ好きがそれを食べ、餓死をまぬがれるということです。逆に、もしセロリに毒が入っていたら、セロリ好きが先に死に、セロリ嫌いが生き残ります。でも生き残っても、どこか別の土地に食べものを探しに放浪しないといけませんね。私は、そうやって放浪した祖先の生き残りなのかもしれません。

 物騒な話になりましたが、ご安心ください。現在の野菜は、毒が非常に少なくなるように品種改良されているので、売られている「よく知られた食べもの」は、毒よりも栄養が豊富なので、どれも食べたほうがよいのです。だから、「好き嫌いせずに何でも食べなさい」と大人は子どもに言うのです。今では、いろいろな食べものを食べたほうが、栄養が偏らずに長生きできることが知られています。嫌いな食べものでも、少しずつ口にして慣れれば、食べられるようになります。同じにおいをかぎ続けているとわからなくなるのと同様の現象です。

 さて、食べものの好き嫌いがあるのは人間だけでしょうか。私のうちではネコを飼っていて、マリリンと言いますが、すごく好き嫌いが激しいです。CMで「ネコまっしぐら」とされる餌を買い与えても見向きもしません。特定の餌しか食べないのです。マリリンが食べない餌を隣のネコにあげると、こちらはよく食べるのです。最近マリリンは、腎臓を悪くして獣医師さんから腎臓によい餌を勧められたのですが、これもあまり好きではないようで困っています。このように、多くの動物にも食べものの好き嫌いがあります。

 最後にクイズです。

 ほとんどの人間は大好きなのにネコはめったに食べないものはなんでしょうか?

 答えは、オレンジやリンゴなどの果物です。果物にはビタミンCが豊富に含まれており、人間はビタミンCを主に果物から取り入れています。これは、身体を維持するのに必要なビタミンCを体内で合成する仕組みが退化したための対処です。一方のネコは、その体内合成の仕組みを維持していますので、果物を食べる必要がなく、めったに食べないのです。

 人間の祖先は、果物が豊富なジャングルに長らく生活していたので、ビタミンCを体内で合成する仕組みが必要なく、退化させてしまったようです。そのため、ジャングルに生活しなくなった文明社会でも、果物などのビタミンCが豊富な食べものを食べ続ける必要が生じているのです。果物嫌いなどと言っていると、ビタミンCが欠乏して壊血病(ビタミンCの継続的な欠乏によって発症する出血性の障害)になる恐れがあります。果物嫌いは生死にかかわるので、果物嫌いはめったにいないのです。

【今回の結論】多様な毒に対応するため、人類には生まれながらに多様な好き嫌いがある。しかし現代では毒を極限まで減らす努力がされているので、好き嫌いを克服するほうが健康によい

このニュースに関するつぶやき

  • あんなに嫌いだったミョウガが食べられるようになったのには自身で驚いた。味覚の変化だな https://mixi.at/ajAJqjO
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  • 嫌いな食べ物があっても否定しないことが大切ですね。好き嫌いがあって当然ですね。
    • イイネ!98
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