カジサックチャンネルの料理対決動画に見た、芸能人×YouTuberコラボの到達点

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2019年12月15日 12:41  リアルサウンド

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リアルサウンド

動画サムネイルより

 12月9日、カジサック(キングコング・梶原雄太)によるYouTubeチャンネル「カジサックの部屋」で、お笑いコンビ・インパルスの堤下敦と、人気YouTuberの谷やんが料理対決をする動画が公開された。カジサックが掲げ続けてきた「芸能界(テレビ)とYouTuberの架け橋に」という目標が理想的な形で実現した企画として、その魅力を分析したい。


(参考:YouTuberカジサックが中田敦彦&ヒカラファと叶えた夢 ANN当日レポート&インタビュー


 本動画は、カジサックチャンネルの準レギュラーで料理上手の堤下が、料理を得意とするYouTuberと対決する企画の第3弾。往年の人気バラエティ『料理の鉄人』を模倣したパロディだ。第1弾はカジサックの妻・ヨメサック、第2弾はきまぐれクック(かねこ)と続き、第3弾は、大食いメニューを自分で作り、自分で平らげる異色の料理系YouTuber・谷やんとコラボを果たした。


 それにしてもこの動画、よくできている。尺はYouTubeの動画として長い約50分。企画が弱かったり、途中でダレたりしてしまうと、いささか視聴し続けるのがつらくなる長さだ。しかし50分間、まるでよくできたテレビ番組を視聴しているかのように、動画に没頭できる。その理由を分析すると、「料理というテーマ設定の妙」「カジサックのMC」「芸人とYouTuberの相互のリスペクト」の3点が挙げられる。


 まず、「料理」という対決テーマの設定。同じ芸人×YouTuberのコラボでも、運任せのゲームだったり、ゲストとなるYouTuberの得意分野での「対決モノ」だと、芸人サイドのリアクションが目立ったり、一芸を持つYouTuberを立てるかたちで、出来レースのようになりがちだ。しかし、お互い“料理自慢”の対決ならば真剣勝負を演出しやすく、また出演者に深い関心を持たない視聴者も、お腹を鳴らせながら最後まで楽しむことができる。


 そして、カジサックが番組のMC的ポジションを担っているのも大きなポイントだ。芸人とYouTuberの一対一の掛け合いは、本当に噛み合う2人でなければ、立場の違いからどうしてもどちらかの遠慮を生んでしまう。しかし、芸人でもありYouTubeでもあるカジサックがリンクマンを務めることで、芸人のトークスキルとYouTuberの個性を自然に共存させている。このあたりも実にうまい采配と言えよう。


 さらにカジサックはもちろん、堤下も対決相手である「谷やん」にリスペクトを示しているのが、YouTuberというシーンを追いかけているファンも気持ちよく視聴できるポイントだ。芸能人のYouTubeデビューが相次ぎ、一方でYouTuberのテレビ出演が当たり前になっている状況を鑑みると、芸能界(テレビ)とYouTubeのボーダレス化は一見進んでいるように見える。しかし、まだまだ「テレビ>YouTube」という固定観念は存在しており、オリエンタルラジオ・中田敦彦も、「『自分がそのYouTuberさんも知ってくれているタレント』ということで、兄貴風をふかしてしまったことがあった」として、上から目線だったことを反省していた。今回の動画には、そうした“壁”がまったく感じられず、“異色のコラボ”が行われていることを忘れ、自然に楽しめる内容になっているのだ。


 カジサックは芸人としての進退をかけ、心血を注ぎ、大きなリスペクトを持ってYouTuberというシーンを分析してきた。その努力が結実したのが、今回の動画だと思わざるを得ない。当然、クリエイター側もカジサックのYouTubeにかける情熱を理解し、リスペクトの気持ちを持って接することも知っている。


 さらに彼は、フジテレビ系のバラエティ番組『はねるのトびら』で一時代を築いたテレビスターでもある。人気YouTuber の中には20代前半〜後半の「はねトび世代」が多い。だからクリエイターサイドからも自然とリスペクトが集まり、大型のコラボが次々と実現していくのだろう。カジサックは本人が思い描いた目標の通り、現状で芸能界(テレビ)とYouTubeの架け橋になりうる唯一のタレントだと言えるかもしれない。


 本動画は「芸能人×YouTuber」というコラボの一つの到達点であり、かつ、カジサックにとっては芸能界(テレビ)とYouTubeをつなぐ一つの通過点的動画でもあると言える。今後もしかすると、芸人やYouTuberがごちゃまぜになって、かつての『笑っていいとも!』や『踊る!さんま御殿!!』のように出演するYouTube番組ができ、その中心にカジサックがいるかもしれない。カジサックチャンネルの次なる展開を楽しみにしよう。


(こじへい)


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