松下洸平が家を出る 『スカーレット』それでも諦められない穴窯の夢

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2020年01月29日 12:02  リアルサウンド

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『スカーレット』(写真提供=NHK)

 穴窯への気持ちが溢れて止められない喜美子(戸田恵梨香)。連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)第99話では、取り憑かれたように陶芸に心を奪われる喜美子と家庭のことを一番に考える八郎(松下洸平)がすれ違う姿が描かれた。


 お金がかかりすぎてしまうために穴窯を使うことを断念した方がいいと判断する八郎。しかし喜美子はどうしても挑戦する手を止める勇気が湧かなかった。八郎とすれ違いが続いている喜美子は、穴窯のことで悶々としている。そこに、結婚の挨拶をするために百合子(福田麻由子)と信作(林遣都)が訪ねてくる。結婚の報告を聞いた喜美子は急に泣き出してしまった。「わからへん」と繰り返し泣きじゃくる喜美子。実は喜美子が人前で号泣するときは、どうしても気持ちを諦められないときだ。過去に絵付けを諦められなかった時も、サニーのコーヒー茶碗を自分も手伝いたいと思った時も、涙を流してきた。喜美子にとってのかけらの色は、そうやすやすと諦められるようなものではないのだ。


【写真】喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)


 八郎には、生活しながら陶芸をする心得がある。お金を工面し、衝動的にならずにコツコツと制作を続けている安定した心があった。その一方で八郎には湧き出る衝動がない。それは陶芸を作るにあたっての苦労にも繋がっていた。こうして2人の陶芸家は作家性の違いから夫婦生活まですれ違っていく。


 喜美子と八郎がみかんを剥きながらお互いのみかんの剥き方について話す。「知らんことあんねんな、結婚して10年たっても」と言う八郎に、喜美子は今だから言えることを話そうと提案する。そこで喜美子は、改めて「穴窯やりたい、やめたくない」と本音をぶつけた。深々と頭を下げ、武志名義の積立に手をつけようとする喜美子。その姿は、どこか取り憑かれたような異様な雰囲気さえ垣間見える。この件で対立し、八郎は武志(中須翔真)を連れて川原家を出て行ってしまう。それにもかかわらず喜美子は、一人で薪を拾いに行って穴窯に挑戦しようとした。


 喜美子は諦めたくない気持ちを「八さんも陶芸家やん。なんでわからん?」と八郎にぶつける。しかし二人は初めから同じ“陶芸家”でありながら大きく違っていた。さらに喜美子には、より諦めたくない理由がある。性別や環境を理由に、手放してきたものがあまりに多かったからだ。喜美子にとって自分で主張してでも手に入れたいものは、決して多くはなかった。それでも陶芸に関しては、心の中で燃え盛る炎をコントロールできずにいた。喜美子のたった一人での穴窯での作業は果たして成功するのだろうか。陶芸の神は喜美子に微笑むか。


(Nana Numoto)


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