石橋貴明、「モテる」に重きを置かない若者とのギャップ――「40年ぶりレギュラーゼロ」報道に思うこと

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2020年02月21日 00:02  サイゾーウーマン

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羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「スマホやネットには負けない」石橋貴明
「女性自身」2020年3月3日号(光文社)

 一世を風靡した芸能人とて、永遠にそのポジションにいられる保証はない。静かに身を引く人もいれば、果敢に新しい芸風に挑む人もいることだろうが、成功するのはそう簡単なことではないだろう。

 関東お笑いコンビの筆頭格、とんねるず・石橋貴明のレギュラー番組『石橋貴明のたいむとんねる』(フジテレビ系)が今夏で打ち切られると「女性自身」(光文社)が報じている。同局の『とんねるずのみなさんのおかげでした』終了後、午後11時台で始まった同番組だが、石橋のギャラが高いわりに、数字(視聴率)が芳しくないのだそうだ。石橋はフジテレビ上層部に直談判して番組の継続を訴えたものの、フジ側は翻意しなかったという。こうして40年ぶりにレギュラー番組がゼロになりそうな石橋だが、テレビへの気持ちは強く、「スマホやネットには負けない。まだまだ面白いことができる!」と各局に新企画を売り込んでいると記事は結ばれていた。

 石橋の全盛期を知る者としては、レギュラーがゼロになることは想像もつかないが、それでは新しい企画を持ち込めば、石橋が“再生”できるかというと、首をひねらざるを得ない。

 というか、石橋の“敵”は本当にスマホやネットなのだろうか?

 石橋の出演番組を見ていると、彼の女性に対するスタンスが特徴的であると、私は感じる。石橋は最初の結婚をしている際も、妻ではない女性と親密な関係であることを自らほのめかし、女性に関する性的な冗談もよく口にしていた。また、モデルや女優といった女性共演者はほめそやす一方、芸人・友近のネタを『うたばん』(TBS系)で見た際、ネタの精度には触れずに、繰り返し「脚短い」と語るなど、女性を見たらまず容姿に触れるクセがあった。

 「それが許されていた時代だった」と言ってしまえばそれまでだが、石橋がオンナ遊びを隠さなかったり、女性の容姿に触れずにいられなかったのは、モテることや、美しい女性と交際することをステイタスと考えていたからではないだろうか。石橋のような数少ない“成功者”は、自分の中の「美しい」という枠にあてはまらない女性を「自分にふさわしくない存在」として、けなしてもいいと思っていたのかもしれない。

 ステイタスと言えば、石橋はかつてバラエティー番組で、「JJ」(光文社)の表紙を飾った女優・石原真理子と交際したかったと話していたことがある。石原と言えば、不思議ちゃん系の女優というイメージを持つ人もいるかもしれないが、大田区田園調布育ちの社長令嬢で、小学校から上皇后さまのご出身大学の付属校に通っていたお嬢さまなのである。芸能界に入ってからは清純派女優として人気を博した。石橋は、石原のように育ちと見た目が良く、人気者という高嶺の花のような女性が好みなのかもしれない。石原とは交際しなかったようだが、石橋の現在の妻、女優・鈴木保奈美も、トレンディードラマの女王として高い人気を誇っていた。お笑いの世界では、売れているタレントでも、一般人女性と交際および結婚することも珍しくないが、石橋の場合、ステイタスの高い女性を妻にして、さらに自分のステイタスを高めたいと思っているように感じるのだ。

 もし石橋が、そのように信じて、またモテることを是とするなら、若い世代と価値観が乖離していると言わざるを得ないだろう。「若者の恋愛離れ」という言葉を耳にしたことがある人も多いだろうが、結婚相談所「オーネット」が発表した、2020年に成人式を迎える男女を対象にした「恋愛・結婚に関する意識調査」によると、「現在、交際相手がいる」のは29.6%だそうだ。2017年〜19年には、交際相手がいる率は3割を超していたそうだから、数字で見ると、恋愛している若者は徐々に減っていることになる。交際相手がいないことの理由はいろいろあるだろうが、個人的には多くの若者は「モテること」に重きを置いていないように感じている。

 となると「売れてのしあがり、ステイタスの高い女性と交際もしくは結婚する」という、石橋の人生訓もしくは成功譚そのものが、若い人にはピンとこないのではないだろうか。

 世代で価値観が違うのは当たり前で、無理に相手におもねっても意味はないだろう。石橋はバブル時に一世を風靡したタレントで、同世代に同じ価値観を持つファンを抱えていると思われる。

 以前この連載で、元貴乃花親方の元妻・河野景子について、「バブル世代は、いつまでもモテたがっているのではないか」と書いたことがあるが、石橋はこの際、バブル世代向けの『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)を復活させたらどうだろうか。番組の最初に「タカさんチェック」と称して、女性参加者が石橋から一方的にいろいろ聞かれることや、男性参加者が女性参加者に告白する(女性には告白の権利がないので、男性に好かれないと終わり)仕組みなど、男女平等教育を受けた若い世代には「は?」と思われる番組かもしれないが、「アプリは怖いが、出会いはほしい」という恋愛したいバブル世代には人気が出るかもしれない。

 石橋のオンナ遊び話や女性に対する容姿いじりの芸風は、今では受け入れられないだろう。しかし、長年、芸能界の先頭を走ってきた石橋が、それだけの芸人だと私は思わない。熟成した新しい石橋を見たいと思うのは、私だけではないはずだ。

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  • …もはやとんねるずは“時の人”のようなものか…?
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