伊藤英明が涙で訴えた“生きてほしい”という願い 『念唱』は心を浄化させる時間

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2020年02月29日 09:01  リアルサウンド

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『病室で念仏を唱えないでください』(c)TBS

 松本(伊藤英明)の医師でも僧侶でもない立場からの本音、そして濱田(ムロツヨシ)の誰にも言えなかった秘密が明らかになった『病室で念仏を唱えないでください』(TBS系)第7話。最期を迎えるにあたって、どう振る舞うかが問われる回となった。


 肺がんを患う憲次(泉谷しげる)に治療を受けてもらうために、松本は何度も憲次の元を訪れる。だが憲次はなかなか首を縦に降らなかった。そんな憲次の気持ちを解きほぐすために、松本は2人でキャンプに行くのだが、そこでもお互いに本音でぶつかり合うことはできなかった。


 しかしある時、松本は憲次の書いているブログを目にすることになる。そこには「私は醜態を見せることなく、正しく死んでいきたい」と記されていた。それを読んだ松本は後日、憲次の元を訪れ、医師でも僧侶でもなく一人の人間として、憲次に生きてほしいと涙ながらに語った。これに心を打たれた憲次は治療を受け入れる。


【写真】ロッカールームで壁ドンされるムロツヨシ


 一方、あおば台病院では、濱田が秘密裏に“あること”について動いていた。医療コンサルタントや投資家と面会し、水面下で進行していたプロジェクトだったが、うっかり瀬川(安井順平)がこの企みについて玉井(萩原聖人)に話してしまう。このことで濱田は激怒し、瀬川とつかみ合いになる。偶然居合わせた松本はあわてて止めに入るが、そこで濱田の胸に手術痕があることに気付いてしまうのであった。濱田が企んでいたプロジェクトは小児ハートセンターを設立することだった。患者を選ぶような善良さに欠ける医師に見せてきた濱田だが、実はこどもの心臓の外科手術をできる場所を作ろうと奮闘していたのだった。


 濱田の過去、そして企みが明らかになった第7話では、濱田が実は根っからの悪人ではないのではという疑惑が浮上する。やり方に問題はあるかもしれないが、全力でこどもの命を救おうとしているようにも見受けられた。さらに自身も幼い頃に心臓の手術をしている。こうした過去が、今の濱田の考えに関わっているのではないだろうか。努力を重ねてきた濱田が瀬川に対して激情するシーンでは、濱田らしくない冷静さを欠いた姿に、鬼気迫るものを感じた。普段の冷徹な姿にもピリピリしたものを感じるが、激怒する濱田の緊張感はこの上ない。ムロは芝居を通して感情をコントロールする迫真の演技を見せた。


 さらに今回は、いつも熱く前向きな松本が、自分の気持ちを吐露し涙を流すシーンもあった。松本は、自身が憲次の息子を遊びに誘ったことで水難事故に巻き込んでしまったことで未だに自分を責めている。憲次も同じように思っているのではないか、本音を聞かせてほしいと頼んだ。しかし、憲次はそんな風に思っていないという家族でも親子でもない2人が本気でお互いを想い合う強い愛情を感じさせられるシーンとなった。伊藤の溢れ出るような涙は、自責の念からくる情けなさを包み込んでくれた憲次への感謝と、憲次に長生きしてほしい愛情と、様々な感情が含まれている。そんな姿に思わず一緒に涙した視聴者も多いことだろう。


 命を題材にした本作は、自分の体験や、生き方と重なる部分を見つけることで一緒に救われたり、涙を流して気持ちをリフレッシュすることができる。まるでお寺で説法を聞くように、自分と向き合い心を浄化させる時間になるのだ。松本の奔走を追いながら、視聴者自身もまた“生き方”と向き合える作品でもあるのだ。


(Nana Numoto)


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