ヒト卵巣には卵子幹細胞が存在しない

ヒト卵巣と卵子幹細胞
カロリンスカ研究所(スウェーデン)は、「Nature Communications」にて、ヒト卵巣の全細胞タイプ(顆粒膜細胞、免疫細胞、内皮細胞、血管周囲細胞、間質細胞)を分析したところ、ヒト卵巣に卵子幹細胞は存在しないことが確認されたと発表した。

これまで、複数の先行研究において、卵巣に卵子幹細胞は存在すると報告されている。一方、卵巣に卵子幹細胞は存在しない、確認できないと結論付ける研究文献も少なくない。今回の研究は、ヒト卵巣における卵子幹細胞の存在を確認する目的にて実施された。

卵子幹細胞の確認を目的とした卵巣の細胞分析
研究チームは、被験者21人から卵巣皮質サンプルの提供を受け、卵巣皮質より採取した単細胞(24000個以上)を分析した。合わせて、卵巣髄質(中央部の血管や神経に富む部分)から採取した細胞も分析し、ヒト卵巣の完全な細胞マップを提示した。

ヒト卵巣の全細胞タイプを分析したところ、ヒト卵巣において、卵子幹細胞の存在は確認できなかった。なお、今回の研究は、動物の卵巣に卵子幹細胞は存在しないと報告した先行研究に続く。

幹細胞は他の細胞とは異なる性質をもち、卵子幹細胞の存在有無は、不妊治療に対して大きな影響を与える。それゆえ、今回の研究結果を活用することによって、不妊治療がより効果的に改善できると期待される。

（画像はプレスリリースより）

Karolinska Institutet