嘘つきオオカミちゃんの正体と衝撃的な“真実” 美しくも哀しすぎる『月とオオカミちゃんには騙されない』最終話

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2020年03月30日 05:01  リアルサウンド

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『月とオオカミちゃんには騙されない』(c)AbemaTV

 「女子高生の3人に1人が見ている」と言われる、AbemaTVの恋愛リアリティショーシリーズ最新作『月とオオカミちゃんには騙されない』。


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 真実の恋を探す男性5人・女性6人の等身大の姿を追いつつ、女子メンバーの中に紛れ込んでいる「絶対恋をしない嘘つき“オオカミ”ちゃん」をめぐる心理戦を含んだ恋愛模様が人気を博している。


 3月29日に放送された最終話の第13話。その内容は、「11人の恋が、ついに終わってしまう……」という寂しさを軽く吹き飛ばしてしまうほど衝撃的なものだった。男子メンバーが最終告白した相手は? “オオカミちゃん”は誰なのか? そして、第12話ラストの“LINEラッシュ”の行方は? すべての真実が明らかになったとき、大げさではなく、本エピソードは『オオカミ』シリーズの歴史に残る“神ラスト”に到達したといえるだろう。


 12エピソードにわたって描かれてきた『月とオオカミちゃんには騙されない』も、いよいよフィナーレ。多くの方が、「オオカミちゃんは誰なのか?」と思案を巡らせながらこの日を迎えたことだろう。しかし、今回の“核”はそこにはなかった。観ているこちらが情緒不安定になるほど、あまりにも劇的な展開の連続……。順を追って紹介していこう。


 まず、第12話のおさらいから。終盤でLINEを連発したメンバーたち。ななか(松川菜々花)が太陽LINEで「しょうたろう(岡田翔大郎)くん、最後の時間を一緒に過ごしたいです」とメッセージを送り、あずさ(大原梓)とりょうすけ(曽田陵介)も月LINEを使用。2人がメッセージを送った相手が誰なのかは、最終回に持ち越しとなっていた。


 そのヒントは、ななかとしょうたろうのデートで判明する。もともと卓球部員だったというななかの誘いで、卓球場デートをする2人。デートの中で、「あずさちゃんの月LINE来たのかなって」と探りを入れるななかに対し、しょうたろうは「俺? 来てないよ」と返答。しょうたろうはあずさにアタック中だったが、彼女が月LINEを送ったのはとおる(堀江亨)だったのか……?


 気になるところだが、ななかとしょうたろうの進展も忘れてはいけない。「目、閉じててくれる?」と言い、しょうたろうの隣で月LINEを使うななか。「しょうたろうくんのことが、好きです」という直球のメッセージを送り、「もし、あずさちゃんがしょうたろうくんのことを好きでも、私の方がしょうたろうくんのこと好きだって思ってる」と精いっぱいに気持ちを伝える。はにかみまくるしょうたろうだが、ななかの想いは届いたのか


 一方、りょうすけが月LINEを使った相手は、安定のりこ(莉子)。「作業ばっかで、2人でいられなかったから」とバレンタインデーで“騙された”橋にりこを連れ出し、「なんで月LINE使ったと思いますか?」と問いかけるりょうすけ。「え?」と戸惑うりこに、りょうすけは「渡したいものがありまして。ホワイトデーのお返し」とチョコをプレゼントする。サプライズ返しが無事成功し、微笑み合う2人。とても幸せそうなシーンだが、ここは後々の“伏線”となるため、ぜひしっかりと観ておいていただきたい。


 結局あずさが月LINEを送った相手が明かされないまま、最終告白がスタート! 舞台は、群馬県の水上高原スキーリゾートだ。白銀に覆われた世界で、どれだけのカップルが生まれ、いくつの涙が流れるのだろうか。気にかかるのは、オープニングで表示された「もう1人のオオカミちゃん」というワード。つまり、今回のオオカミちゃんは複数いる……?


 さて、1人目のメンバーはりおん(岡本莉音)。彼女を告白する相手に選んだのは、ここ数エピソードで急速に距離が近づいたルーク(岸本ルーク)だ。告白にOKの場合は風船を渡す、オオカミちゃんの場合は風船を手放すというルール。「話してるうちに、俺の中でりおんが気になる存在になっていきました。りおんがオオカミちゃんじゃないって信じてます」と想いを告げたルークだったが……結果は「OK」! 「オオカミちゃんじゃないです」と笑顔を浮かべるりおんに、思わず涙ぐむルーク。「スケボー一緒にしてくれたり、釣り堀連れて行ってくれたり……ルークといるときが本当に楽しかった」とりおんは声を弾ませ、2人は「いっぱい遊ぼう」と握手するのだった。


 続く2人目のメンバーはヒナ(Hina)。これにはスタジオからも驚きの声が上がる。というのも、初回からヒナは“オオカミちゃん疑惑”が常に消えない人物だったからだ。彼女に告白するのは、一途に想いを伝え続けてきたコア(Novel Core)。真正面から愛情を届け、時に隣で支え、後ろから見守るなどヒナを一番に考え続けてきたコアの恋心は報われるのだろうか? 「最初に振り返ったときに直感があった。これからももっと知りたいし、出来たら隣にいたい。『オオカミちゃんじゃないって信じてる』とかじゃなくて、俺は(オオカミちゃんじゃないと)知ってるから」と力強く語りかけるコア。長い長い沈黙の後、ヒナから風船が渡される!


 これまでに見せたことのないような笑顔で「コアは疑うとか疑わないとかじゃなくて、いつも助けてくれたし、いっぱい頑張ってくれてありがとうございます」と語るヒナを、コアは熱くハグ。そして2人は「大好き」と言い合い(!)、ラブラブの様子を見せる(コアに抱きしめられたまま、彼を見上げるヒナの甘々な姿は必見だ)。「デートしようぜ」「いいよ」「どこ行く?」「江ノ島!」と月LINEデートの場所を即答するヒナもかわいらしい。ヒナがオオカミちゃんだと予想していた視聴者も多かっただけに、このとてつもなく幸せな真相は驚きだったことだろう。だがこのあと、もっと凄まじい衝撃が待ち受けている――!


 3人目のメンバーはあずさ。彼女に会いに来たのは、しょうたろうだった。懸命にアピールしたななかの頑張りは、届かなかった……。そしてナナ(加藤ナナ)が脱落してしまったことで、気持ちに揺らぎを見せていたとおるも姿を見せず。そして、ここで事件が起こる――。しょうたろうを待っていたのは、あずさではなく彼女が宛てた手紙。「しょうたろうへ。初めて会った日、2人でイルミネーションを見たこと覚えてますか? 思えば私はその時から、ずっとしょうたろうに支えられていた気がします。ただ私には、今日この場所に立つ前にどうしてもやらなければいけないと決めていたことがありました」という意味深な文から始まるその手紙には、彼女が月LINEを送った相手が記されていた。


 その相手はとおるではなく、なんとナナ! アトリエにやってきたナナに、あずさは「ごめんね」と涙をこらえながら謝り、「私はオオカミです。本当にごめん」と真実を伝えて泣き崩れる。チームのリーダーでもあった彼女は、ナナが脱落してしまったことに対する責任をずっと感じていたのだ。オオカミちゃんの役割と、リーダーとしての感情の狭間で苦しみ続けたあずさが最後に選んだ、本当に想いを伝えたかった相手。『TGC』(『第30回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2020 SPRING/SUMMER』)に一緒に参加できなかったナナのため、あずさが独りでナナのぶんのドレスを作っていたことも明かされ、あずさは規定違反のため失格となる――。こんなにも切ない結末を、いったい誰が予想できただろう。


 残酷な『オオカミちゃん』の設定に翻ろうされ続け、とおるが選んだのは、ナナの手紙。「一緒に最後を迎えられなくて残念です。でもこの冬は楽しいことばっかりでした。私は少しの後悔もありません。ありがとう。(中略)こんな心境でいられるのはとおるくんが最後まで信じてくれたからです」と書かれた手紙と赤い風船を握りしめ、とおるは独りで去っていく。誰も悪くないだけに、切なさもひとしおだ。


 だが、物語はここで終わらない。りょうすけのりこに向けた告白で、さらなる切ないドラマが待っていた。「最初は面白い人だなと思ってて、だんだん好きな人に変わりました。これからも2人で笑えたらなって思います」と優しく伝えたりょうすけだったが、りこの手から風船は離れ、空に向かって無情に飛んでいく。これまでの安定ぶりから信じたくはないが、彼女はオオカミちゃんだった……。りこから渡された手紙を手に、涙を流しながら「つらかったよな」とつぶやくりょうすけ。その言葉の真意は? 2人の絆は、嘘だったのか……? そして、手紙に書かれていた「本来なら失格になってたはず」の意味は? すべては、ホワイトデーのシーンにさかのぼる。


 ベンチで話していた2人だが、幸せでいっぱいになったりょうすけが「泣きそう」と言ったのをきっかけに、感情があふれ出したりこが大粒の涙を流し始める。戸惑うと同時に、察してしまうりょうすけ。この時点で、りょうすけはりこがオオカミちゃんだと気づいていたのだ……。だが、絶望を飲み込み、努めて明るく振舞うりょうすけ。りこは「私の涙に気づかないふりして、私の役を全うさせようとしてくれた。やっぱりずるいよ、りょうすけくん」と手紙の中に感謝を綴る。


 そして、りこの手紙は「最後に一言だけ伝えさせてください。2人で手をつないで見上げたあの月は、私が今までに見た月の中で一番綺麗でした。これだけは100%だって信じてもらえたら嬉しいです」と締めくくられていた。これは何を示しているのか? 1つは、2人の関係が急速に近づいた第4話のプラネタリウムデート。そしてもう1つは――おそらくだが、第3話でヒナが「『月が綺麗』は昔の人にとって『愛してます』って意味だった」と2人に教えたシーンの伏線回収だろう。オオカミちゃんは「好きです」と伝えてはいけない。だからこそ、2人の思い出に想いを託したのだ。


 空を見上げて、「好きだったな、マジで」とつぶやくりょうすけ。確かに両想いだったのに、結ばれなかった2人。こうして、波乱の連続だった『月とオオカミちゃんには騙されない』は幕を閉じた。


 恋愛リアリティショーでありながら、恋をしてはいけない“オオカミ”がいることでスリルや切なさが倍増する『オオカミ』シリーズ。中でもとりわけ、今回は美しくも哀しいシーズンだったといえるだろう。


 ちなみに、スペシャルエピローグでは、りこの“その後”が描かれるという。彼女がどんな想いであの場に立っていたのか、本当の意味での“完結”がそこにはあるはずだ。ぜひ最後まで、見届けてほしい。(文=SYO(映画ライター))


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