“少年”から“青年”へと成長! 『暗殺教室』シリーズは山田涼介のターニングポイントだった

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2020年03月30日 15:01  リアルサウンド

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 本日3月30日にフジテレビ系列で地上波初放送を迎える『暗殺教室〜卒業編〜』。その前作にあたる『暗殺教室』が、山田涼介にとって初の映画主演作であり、同時に映画出演自体も初めてであったということは、いま振り返ってみるととても意外に思えてならない。さらに遡ればその9年前にドラマ『探偵学園Q』(日本テレビ系)で初演技でありながら、あの神木隆之介や志田未来と対等に渡り合い、その後も『左目探偵EYE』(日本テレビ系)や『金田一少年の事件簿N』(日本テレビ系)といった代表作をすでに獲得していたことを考えると、いくらHey! Say! JMPとしての活動が本業であったとしても遅すぎるくらいだ。


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 この『暗殺教室』と『暗殺教室〜卒業編〜』は、『週刊少年ジャンプ』で連載されていた同名コミックを原作に、ある日突然地球にやってきた謎の生物“殺せんせー”を暗殺するという極秘任務を任された落ちこぼれの中学生たちが、さまざまな手を駆使して音速で動き回る“殺せんせー”に立ち向かっていく姿を描いた物語だ。ジャンルで言えば、学園モノとコメディ、SF、アクションと、まさに全部乗せの娯楽映画と呼ぶにふさわしい。しかもメガホンを取ったのが『海猿』シリーズや『MOZU』の羽住英一郎監督となれば、ゲームライクなアクションシーンの見応えも抜群であり、そして山田を筆頭に菅田将暉や山本舞香、橋本環奈といった後にブレイクする若手キャストたちの共演といった点でも非常に価値のある作品になったといえよう。


 そんなキャスト陣を主演として牽引した山田にとって、このシリーズは俳優としての大きな転機になったのではないだろうか。もちろん1作目で日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞したという点も忘れてはならない部分ではあるが、改めて両作品を観直してみると、わずか1年ほどの短い間隔しかなかったとは思えないほど大きな成長が見受けられる。“『暗殺教室』”以前、つまり前述したドラマ作品から1作目までの山田は、ジャニーズアイドルらしい華やかさと持ち前の愛嬌が前面に押し出された、まぎれもない“少年”であった。


 しかし『卒業編』になると、それまでの“らしさ”を最小限に抑え、共演の若手俳優たちをしっかりと引き立てるような演技に徹する。もちろんそれ以前から過度な主張をするタイプの俳優ではなかったが、否が応でも際立ってしまう絶対的なオーラを有していることは否定しようがない。それを理解した上でしか作り上げることができない一歩引いた立ち居振る舞いというものは、現状に甘んじず、単なる売れっ子の“アイドル俳優”に留まらずに上を目指そうとする姿勢の表れと感じるほどだ。しかもそこに、この2作の間に出演した『グラスホッパー』で演じたダークな役柄を彷彿とさせるような、切れ味抜群のアクションシーンも繰り出すのだ。


 そうして幕を開けた“『暗殺教室』以後”の、“青年”への成長を遂げた山田の活躍ぶりは言わずもがな。テレビドラマでは『カインとアベル』(フジテレビ系)を皮切りに『もみ消して冬 〜わが家の問題なかったことに〜』(日本テレビ系)や『セミオトコ』(テレビ朝日系)といった、これまでとは異なる役柄に果敢に挑み、映画でも次々と大役を任されるようになる。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』では若手俳優界のサラブレッドである村上虹郎と寛一郎に加え、名優・西田敏行をも率いて堂々座長を務めあげる。また世界公開された超大作『鋼の錬金術師』でも主役をこなす。そんな中でも、音楽番組やバラエティ番組ではこれまで通りHey! Say! JUMPの山田涼介としての朗らかなキャラクターを変わらず保ち続けているのだからなおさら好感度は高い。


 今年5月に公開される、岡田准一主演の『燃えよ剣』で山田が演じるのは沖田総司役。新選組を題材にした作品はこれまでも数えきれないほど存在しているが、常に美青年として描かれてきた沖田総司役を過去に演じてきた俳優の名前を見れば、郷ひろみや田原俊彦、東山紀之といったジャニーズのレジェンドたちをはじめ錚々たる顔ぶれが並ぶ。ともなれば、山田もその例にならい、順調にスター俳優としての道を駆け抜けていくことになるだろう。 (文=久保田和馬)


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