“アイドル戦国時代”がシーンにもたらしたもの AKB48、モー娘。、ももクロの10年ぶり共演から考える

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2020年04月10日 06:01  リアルサウンド

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写真AKB48『失恋、ありがとう』(初回限定盤 Type-A)
AKB48『失恋、ありがとう』(初回限定盤 Type-A)

 「アイドル戦国時代」とはいったいなんだったのか? 番組を楽しみながら、ふとそんな思いに駆られた。


 3月28日に放送された『RAGAZZE!〜少女たちよ!』(NHK総合)。ももいろクローバーZ、AKB48、モーニング娘。’20(登場順)の3組をはじめとして計7組のガールズグループが出演、それぞれパフォーマンスを披露した。


(関連:AKB48 山内瑞葵、村山彩希、小栗有以……成長を遂げた“新たなグループの顔” 「失恋、ありがとう」フロントメンバーを解説


 今回の企画の発端は、10年前にさかのぼる。当時同じNHKで放送されていた音楽番組『MUSIC JAPAN』で「女性アイドル特集」が組まれた。そこにやはり、ももいろクローバー(以下、ももクロと表記)、AKB48、モーニング娘。(以下、モー娘。と表記)が出演していた。今回の番組は、いわば再集結ということになる。


 2010年と言えば、グループアイドルが多数頭角を現し、「アイドル戦国時代」というフレーズがメディアを賑わせていた頃だ。とりわけ、ももクロ、AKB48、モー娘。の3組は、三国志の3大勢力に例えられたりするなどその中心にいた。


 そしてそれから10年、女性アイドルの世界にもさまざまな変化があった。前回の共演時点ではまだ誕生していなかった乃木坂46、欅坂46、日向坂46の「坂道シリーズ」が相次いでブレイクし、またTWICEやIZ*ONEなど多国籍ガールズグループも存在感を増している。


 ももクロ、AKB48、モー娘。にもまた、色々なことがあった。


 ももいろクローバーは2011年に早見あかりがグループを脱退。それを機にグループ名を「ももいろクローバーZ」に変更した。だがライブ活動を通じてますます人気を得た彼女たちは、2012年には『NHK紅白歌合戦』に初出場、2014年には女性グループとしては初となる国立競技場でのライブを開催した。その後2018年には有安杏果の卒業があり、現在は4人で活動を続けている。


 AKB48は、女性アイドルシーンにおいてひと際目立つ存在になった。「ヘビーローテーション」(2010年発売)や「恋するフォーチュンクッキー」(2013年発売)などのミリオンヒットもあったが、なかでも年一度のイベントである『AKB48選抜総選挙』によって世間への知名度が大きく上がった。ただ、昨年は始まって以来初めてその開催が見送られるなど、次のステップへの過渡期を迎えた印象もある。


 そしてモー娘。は、女性アイドルグループの老舗的存在として我が道を歩んできた。ただその一方で、メンバーの卒業と加入を繰り返しながら自らをアップデートもしてきた。代名詞にもなったEDMやフォーメーションダンスは、その一端だ。そのなかで、グループの生みの親であるつんく♂が2014年の秋頃モー娘。も所属するハロー!プロジェクトの総合プロデューサーの職を辞したのは、ひとつ大きな出来事だった。


 このように、3組すべてがさまざまな変化を経験した10年だった。だがだからこそ、今回この3組が再び一堂に会したことは、とても意義深い。


 またそれぞれのパフォーマンスからは、各グループの現在地も垣間見えた。


 ももクロと言えば、いつも「全力」であることが人びとを惹きつけてきた。むろんその基本はいまも変わらないが、今回のステージではそのなかにも余裕が感じられた。


 4人バージョンで披露されたおなじみの「走れ!-ZZver.-」や「Chai Maxx」もそうだが、1990年代のユーロビート曲をサンプリングした「ロードショー」も盛り上がりのなかの端々にちょっと大人びた雰囲気があった。「笑一笑 〜シャオイーシャオ!〜」のフレーズを借りれば、いつのまにか「僕らは大人になっている」ということなのだろう。そのあたりは、他の2組と異なり、オリジナルメンバーのままで活動を続けている強みなのかもしれない。


 AKB48は、「会いたかった」「大声ダイヤモンド」「言い訳Maybe」「RIVER」「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテーション」のメドレー、そして最新シングル「失恋、ありがとう」を披露した。


 連続ミリオンセラーの記録がなにかと話題になるAKB48だが、いまあげたメドレー曲はその記録以前の楽曲である。そこには単に代表曲を並べるというだけでなく、彼女たちが自分たちの記憶、さらに原点を再確認しようとしているように思えた。


 記録ばかりを気にしていては過去のパターンにとらわれ、思い切った挑戦は難しくなる。むしろそういったときに必要なのは、記憶をたどり初心に戻ることだろう。その点、山内瑞葵が初センターを務める「失恋、ありがとう」には、そんな初心の魅力があった。


 そして現在14名からなるモー娘。は、スタジオでも「アスリート」のようだと称賛されたようにエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げた。


 今回番組中では4曲が紹介された。現在のモー娘。のスタイルが確立されるきっかけになったともいえる「One・Two・Three(updated)」、さらに「ジェラシー ジェラシー」「愛の軍団」といずれもライブ映えする楽曲。フォーメーションダンスの円熟味も増してきた。そしていまやクラシックとも言える「LOVEマシーン(updated)」が挟まる。そこからは、1990年代の後半に誕生し、現在まで途切れることなく活動を続けてきたパイオニアとしての自負がうかがえた。


 3組のパフォーマンスはいずれも、グループの過去と現在をそれぞれの流儀で伝えるものだった。そこには、番組自体がフェスをイメージした企画だったこともある。つまり、普段の単独ライブとは違って自分たちのファン以外にもアピールするセットリストが求められた。


 ただ今回は、新型コロナウイルスの影響によって結局無観客での収録となった。それは残念なことだったが、一方で3組の歴史、そしてパフォーマンスの成熟度合いをじっくり堪能することができた部分もあった。


 かつて「アイドル戦国時代」というフレーズは、確かにアイドルシーンを活気づかせた。自分の推すグループに天下を取らせたいと、ファンの応援にも一層熱が入った。


 しかし、10年という時を経たいま、誰が天下を取るかということは実は本質的なことではなかったように思える。むしろそれぞれのグループが自立し、共存共栄していくことこそが大事であり、アイドルが一過性のブームに終わらず文化として根付いていくために必要なのではないか。今回の3組は、言葉ではなくパフォーマンスでそのことを教えてくれたと言えるだろう。(太田省一)


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  • 2011年から48グループのファンになり2015年くらい(本格的にだったら2016年からになるけど)にアイドルほぼ全般好き(ハロプロ系除く)になる�ۤäȤ�����
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  • ももクロやハロプロは女性アイドルの女性ファンの増加に貢献しました。
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