【松下信治インタビュー(1)】封鎖直前にイタリアを出国。予想外の事態も「レースさえ再開すれば何とかなる」

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2020年04月15日 19:41  AUTOSPORT web

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松下信治(MPモータースポーツ)
FIA-F2参戦継続を決断し、チームも移籍して新たな挑戦に乗り出した松下信治選手。3月上旬のバーレーンテストではかなりの手応えを感じたが、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、F2選手権開幕は無期延期となってしまった。

 松下選手も暮らし始めたばかりのイタリアから感染爆発直前に脱出し、現在は埼玉県内の実家で過ごしている。

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──元気に暮らしていますか?

松下信治(以下、松下):今、実家で畑作業中です(笑)。

──今日はいろいろ、話を聴かせてください。

松下:何でもどうぞ。

──バーレーンでテストをしたのがまだほんの1ヶ月前の3月上旬。あれからあっという間に状況が変わってしまったわけですが、今年はイタリアで暮らし始めたのですよね。

松下:ええ。2月1日にイタリアに行って、そこからバーレーンのテスト現場に飛びました。

──イタリアで、アパートを見つけて?

松下:アパートというか、ホストファミリーですね。友達の家族です。そこからテストに出かけて普通に帰ってきて、そうしたらF2開幕戦自体が延期が決まって、そのうちイタリア国内でも感染爆発が起きました。

──イタリア北部から感染爆発が始まったわけですが、住んでいたのはその辺りですか?

松下:いえ、フィレンツェでした。でもイタリア全土がロックダウンされる可能性が出てきたので、とりあえず国外に出ようとオランダに移動しました。脱出したのは、ロックダウンの前日でした。

──そうでしたか。オランダに出たのはどうしてですか?

松下:まだ比較的感染者が少なかったのと、チームの本拠地がオランダでしたから。そこで開幕まで滞在しようと。でも結局延期になって、最初はオランダにずっと滞在しようと思っていたんですけど、ここもロックダウンされるかもしれないと言われて、ジムも開いてないし、帰国を決めました。

──それが3月中旬辺り?

松下:そうですね。それ以降はずっと日本です。基本は実家で暮らして、(スポンサーのいる)大阪に行ったりしていました。トレーニングの毎日です。

──もう1年F2挑戦を決めて、新チームにも移籍した。松下選手にとっては賭けるものが非常に大きかったと思うのですが、予想もしなかった事態で出鼻をくじかれてしまいました。

松下:これからどうなるかという不安がないわけではないです。でもレースさえ再開してくれれば、何とかなると思っています。おそらく早くとも夏になるでしょうけど、再開さえしてくれれば。

──1日でも早く再開してほしいと。

松下:『1日も早く』よりも、『1レースでも多く』ですね。そうなってほしいです。

──チームとは連絡を取り合っていますか?

松下:はい。スカイプでミーティングもしていますし。ただファクトリーにももう誰もいないんですね。なのでここ2週間は話していません。

──チームもそうですが、F2全体も経営的に大丈夫でしょうか?

松下:う〜ん。よくはないでしょうね。サーキットも含めて。僕にしても、全額ではありませんがすでにチームにお金を払ってますし、そういう意味でも中止だけは避けたい。遅くなってもいいので、再開してほしいです。今シーズンなし、というのが最悪ですね。

──ヨーロッパは感染拡大にある程度歯止めがかかっているとはいえ、収束の気配は見えません。独自に情報収集してると思いますが、どんな見通しを持っていますか?

松下:噂はいっぱいあって、たとえばポールリカールはF2のカレンダーには入ってないんですけど、フランスGPの際にあそこに入れるとか。あるいは1月までシーズンを延ばして、アブダビやバーレーンで2レースぐらいするとか。いずれにしても、1レースもしないで今季が終わるというのはないのではと思っています。

 日本はこれからピークじゃないですか。ヨーロッパの方が、終息は早いでしょうね。

──とりあえずヨーロッパが落ち着くまでは、日本滞在を続けるということですね。

松下:はい。

──近所のジムは閉まってるんでしょう?

松下:そうなんです。なので実家にあるゴムチューブでトレーニングしてますよ。あとは自転車で田舎道を走ったり。

 ところで東京は、外出自粛は守られていますか?

──比較的ね。新宿や渋谷の人出はずいぶん減っています。

松下:埼玉は全然ですね。ベッドタウン周辺は人が普通に歩いて、店も営業しています。閉店しても、ヨーロッパほど補償が手厚くないですしね。

──今はヨーロッパの方が大変だけど、終息は日本より早いかもしれません。早めにヨーロッパに戻ることを考えた方がいいかもしれないですね。

松下:そうですね。チームとも緊密に連絡を取りながら、最善の方法を考えて行きます。

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