【スーパーGT基礎講座】国内外8つのサーキットが持つ魅力。岡山、富士、SUGO、オートポリス編

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2020年04月18日 15:11  AUTOSPORT web

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例年、シリーズ戦が2度開催される富士スピードウェイ。首都圏からのアクセスもよく、もっとも多い動員数を誇る
年々観客動員数も増加し、2020年からドイツのツーリングカーシリーズ、DTMドイツ・ツーリングカー選手権との共通車両規定『Class1(クラス1)』も導入されるなど、世界的にも存在感を増しているスーパーGT。日本国内に目を向ければグランツーリスモSPORTにマシンが収録され、ゲームセンターではシリーズをイメージにしたゲーム機が稼働するなど、さらに認知度、ファン層が広がっている。

 4月6日時点で、2020年シーズンの開幕は7月11〜12日とされている。開幕までのおよそ3カ月の間、これからスーパーGTをチェックしようというかたのために、あらためてシリーズの歴史やレースフォーマットをおさらいしてみよう。熱心なスーパーGTファンのかたも、スーパーGTの魅力を再確認する機会になれば幸いだ。

 今回は2020年のスーパーGTが開催される国内外8つのサーキットを2回にわけて紹介しよう。まずは岡山国際サーキット、富士スピードウェイ、スポーツランドSUGO、オートポリスの4サーキットだ。

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 4月6日に発表された新たな2020年開催スケジュールは全8大会で構成され、岡山国際サーキット、富士スピードウェイ、スポーツランドSUGO、オートポリス、ツインリンクもてぎ、鈴鹿サーキットと国内6つのサーキットと、タイ・ブリーラムにあるチャン・インターナショナル・サーキット、マレーシアにあるセパン・インターナショナル・サーキットのふたつの海外サーキットで開催される予定となっている。

 今回はこの8サーキットの特徴やスーパーGTのコースレコードなどを紹介しよう。なお、4月6日発表の最新カレンダーでは具体的なラウンド数などは発表されていない。そのため本稿では便宜上、7月11〜12日の岡山大会を第1戦、以降すでに日程が決まっている11月7〜8日のもてぎ大会までを第2〜5戦、鈴鹿を第6戦、タイ・ブリーラム大会を第7戦、マレーシア・セパン大会を第8戦として紹介していく。

 さて開幕戦の舞台となる見込みの岡山国際サーキットは岡山県東部の美作市に位置する。1990年に『TIサーキット英田』として開業し、1994年と1995年にはF1パシフィックグランプリが開催された。現在の名称になったのは2005年のことだ。

 レーシングコースの全長は3703メートル。基本的にはストップ・アンド・ゴーのレイアウトで低速コーナーが多い。コーナー数は全部で13、そのほとんどに“モスエス”や“アトウッドカーブ”、“パイパーコーナー”など実在するレーシングドライバーの名前が冠されているのが特徴だ。

 例年、岡山でのスーパーGTシリーズ戦は4月の開幕戦として開催されることから、予想外の低気温に見舞われたり、花粉や黄砂の影響で路面がダスティなコンディションになることが多く、タイヤ選択がもっとも難しいコースのひとつでもある。

 また観戦エリアとコースの距離が近く、ファンにとってはスーパーGTマシンの速さや音といった迫力を間近に体験できるコースでもある。

 2020年3月時点でスーパーGTのレコードタイムは両クラスとも2019年大会で記録されており、GT500クラスはロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)の1分16秒602、GT300クラスは福住仁嶺(ARTA NSX GT3)の1分24秒889だ。ちなみにサーキット自体のコースレコードは1994年F1パシフィックグランプリでアイルトン・セナ(ウイリアムズ・ルノー)が記録した1分10秒218。

 第2戦は静岡県小山町の富士スピードウェイが舞台。トヨタ系列会社が運営する富士スピードウェイは鈴鹿サーキットと並んでFIAから現在のF1開催に必要なグレード1の称号を受けた世界規模のサーキットだ。

 首都圏からもアクセスしやすく、例年ゴールデンウイーク期間中の大会はシリーズ最大の動員数を記録する。残念ながら2021年に延期された東京オリンピック・パラリンピックでは自転車競技の会場としても使用される予定のサーキットだ。

 海外戦が1戦増えたため2020年のスーパーGTでは1戦のみの開催となるが、ここ数年、富士スピードウェイでは年2回、スーパーGTのシリーズ戦が行われてきた。このうちゴールデンウイーク中の1戦は他大会よりも200km長い500kmレースとして、そして夏に行われる1戦はシーズン最長の500マイル(約800km)レースとして開催されてきた。

 そんな富士スピードウェイのレーシングコース全長は4563メートルで、ホームストレートは1475メートルにもおよぶ。長いストレートの先に待つ1コーナー(TGRコーナー)に向けたスリップストリームバトル、そして1コーナー手前でのブレーキングバトルにコース幅いっぱいを使っての駆け引きは見どころのひとつだ。

 またコースの高低差は40メートルほどあり、もっとも低い地点にあるシケイン状のダンロップコーナーから最終コーナーにかけてはテクニカルな上りセクションが続いていく。

 ストレートスピードが求められる長いホームストレートと、テクニカルな上りセクションが同居するレイアウトのため各チーム、ドライバーはトップスピードとダウンフォースのバランスが取れたマシンセッティングを見つけ出す必要がある。

 現地でレースを観戦する際は、オーバーテイクポイントのひとつであるTGRコーナーやヘアピン状のアドバンコーナー、激しいブレーキングと繊細なステアリング捌きが楽しめるダンロップコーナー、ホームストレートの直線スピードにも影響するGRスープラコーナーなどでの観戦がおすすめだ。

 GT500クラスのレコードタイムは2019年の第2戦でロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)が記録した1分26秒871、GT300クラスは2016年の第2戦の小林崇志(ARTA BMW M6 GT3)の1分35秒707となっている。

 シリーズ第3戦の舞台は宮城県柴田郡のスポーツランドSUGO。全長3621メートル、標高差はスーパーGT開催サーキットで最大の69.83メートルにもおよぶ。

 このSUGOはもともと2輪用に作られたレイアウトのためコース幅が狭い上にエスケープゾーンも狭く、わずかなミスや接触が大きなクラッシュに発展しやすい。エスケープゾーンが狭い反面、観戦するには迫力満点でクルマの動きも見やすく、岡山と並んでコース上のマシンを見るには絶好のサーキットとも言える。

 ただ、観戦時に気をつけたいのが天候面。変わりやすい山の天候も相まって、雨具などの用意は必須で、コース上でも濡れ始めた路面や、路面に川ができた状況で例年クラッシュなどが多発し荒れた展開になりやすく“魔物が棲むサーキット”とも形容される。

 別途入場券(パドックパス)が必要だが、東ピットビルの屋上も観戦スポットとなっており、チームスタッフの会話が聞こえるほどの距離でピット作業を堪能できるのは、ファンにとってうれしいポイントだろう。

 スーパーGTでのレコードタイムは両クラスとも2019年大会で記録されており、GT500クラスは塚越広大(KEIHIN NSX-GT)の1分9秒676、GT300クラスは山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)の1分16秒834だ。

 第4戦が予定されているのは大分県日田市のオートポリス。スーパーGTとしては唯一の九州ラウンドとなる。レーシングコースの全長は4674メートル、高低差は52メートルとアップダウンが激しいほか、中高速コーナーが多く、ハイスピードで駆け抜けるGTマシンの迫力を体感でき、下り勾配のロングストレートでのバトルは必見だ。

 レコードタイムは両クラスとも2018年大会で記録されており、GT500クラスは野尻智紀(ARTA NSX-GT)の1分31秒441、GT300クラスは坪井翔(HOPPY 86 MC)の1分42秒498となっている。

 次回はツインリンクもてぎ、鈴鹿サーキット、タイのチャン・インターナショナル・サーキット、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットを紹介する。

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